JINSEI STORIES
長谷川夫妻がやってきたのでツナとマッシュルームのパスタ作った! Posted on 2025/04/20 辻 仁成 作家 パリ
一度、体調を崩して事務所をやめた弟子の長谷川さんが奥さんのコリンヌさんを連れて、ちょうどいまが、バカンス時期なので、ノルマンディまでやってきた。
この田舎にも電車が通っていて、といっても単線なのだけれど、駅のホームまでお迎えに行った、父ちゃんであった。
「センセー,オヒサシブリデゴザイマース」
コリンヌさんの笑顔と日本語に癒された。
長谷っちは、大病をしてから、やや老けてしまったが、それでも、まだまだ、先生には負けません、と相変わらずの皮肉屋ぶり、健在であった。
「先生、それにしても、すごい田舎ですね。電車で4時間もかかりました。エッフェル塔が恋しくなりませんか?」
「別に、エッフェル塔なんか、必要あるか」
「でも、レストランもなさそうだし、いやはや、なんにもない」
二人は笑っていた。ぼくも笑っていた。
「センセイー、アレ、カモ?」
コリンヌが横断歩道を歩く鴨のグループを指さして言った。
「ああ、あの四人は、ポール、ジョン、リンゴ、ジョージという名前だ。仲良しだよ。カメラむけても逃げないから、どうぞ」
「えええ、撮影していいんですか?」
「先生、ここ、つくしが凄いですね。つくしの里じゃないですか?」
都会からやってくるものたちは、鴨とか、つくしくらいで、大騒ぎをする。
ぼくは一軒の家を指さした。
遠くに見える家があるでしょ? あれが、お隣さんだよ。
「えええええええ! ド田舎」
駅出たところに、自転車売りの八百屋さんがいたので、葉っぱを買った。これで100円くらいかな・・・。田舎はとにかく、物価が安い。助かっている。食費は、パリの三分の一程度だ。
※ これは、長谷っちが弟子入りしたころに描いた似顔絵、二人はわけありなので、写真は掲載できません。あはは。たいしたわけではないので、ご安心ください。この頃よりは、かなり長谷っち、頭髪が薄くなっておりますー。すいません。でも、藤田嗣治先生に似ているかな・・・。
ということで、アトリエで新作の絵を二人に見せた。
白壁に、絵をかざっており、ちょっとした画廊のような感じになっている。
「進化してますね」
「うん。ノルマンディで絵を描いている日本人はぼくだけかもしれない。っていうか、この辺でアジア人に会わない。台湾人と韓国人の友だちが、少し離れた村にいるけれど、日本人は会わないな~」
「へー、先生、仙人みたいな世界に到達しましたね。小説はもう書かないんですか?」
「もちろん、書いているよ、6月25日締め切りで中編をひとつ。三田文学に出る」
「ノルマンディの話?」
「いいや、どこでもない世界の片隅の話だよ。浮浪者の男性の昨日を書いている」
「タノシミデス」
二人は、「先生のパスタ」が食べたいというので、
今日は、PIPE RIGATEというショートパスタを使った、ツナとマッシュルームのパスタにした。(ツナ缶を使うので、便利だよ)
主な材料はこんな感じ・・・。
エシャロットがあるといいけれど、なければ、玉ねぎで、代用してくださいな。
ベースはいつもの感じ。
にんにく、アンチョビ、そして、エシャロットの微塵切りにオリーブオイル、で、香りを移す、唐辛子入れてもいいよ、切らしちゃったから、使わなかっただけだもん。
カットした新鮮なブラウンマッシュルームをいれて、加熱。
ツナも好きなだけ、入れちゃう。(上に載せるから、ちょっと残しておこう。あ、マッシュルームも飾るから、生で少し残しておく)
あんど、塩胡椒・・・。
ゴルゴンゾーラをちょっと加えて、
パルメジャーノ・レジャーノも、ちょっと、ペコリーノロマーノも、あればいれちゃう。生クリームで、クリーミー感を出す。
ハンドミキサーで、こんなふうに。で、黒胡椒をたっぷり、いれちゃう。
ソースがだいたい完成をした。オリーブオイル、追いがけ、しておく。ええと、塩胡椒、最終確認をして、たりなければ、味を引き締めておく。
茹でたパイプリガーテを加える。リガトーニでも、なんでもええ。
さ、出来た!
お皿に盛って、サラダとかも、あと、スムールという柔らかいパンを買ったので、ハムサンドを作ってあげた。ゴーダチーズ入り、うまいんだよ。
まだ、テーブルとかないから、簡易テーブルに食器並べて、シードル(500円)で乾杯したのであった。
長谷川さんご夫妻は、ぼくのアパルトマンの方に宿泊してもらうことに。鍵を預けた。エアービーアンドビーが出来るね。あはは。
ぼくはアトリエの屋根裏で、寝ることに!!!
いつも働いてくれているから、ちょっと田舎でのんびりしたらいいね。電磁波のほぼない世界だから、深く眠ることが出来ます。
ボナペティ!!!!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
三四郎は尻尾が降りきれるくらい、長谷っちの登場を喜んでいたのです。知っている人が来るとやっぱりうれしいよね。このアトリエ周辺にはまだ知り合いがいないから、番犬はいつも、吠えています。(最近、吠えるようになった。責任感が芽生えたのだろうか?)
ピース!!!
※ 夏の日本滞在中、ツジビルのイベントをちょっとやる計画があります。久々、日本で大暴れの予感、詳しくは、ラジオ・ツジビルでご案内しますから、要チェック!
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そして、父ちゃんの日仏展覧会最新情報。
・2025年、5月15日から、パリのグループ展に立体作品を一つ発表します。会期は5月15日~6月中旬くらいまで、一か月、パリ、マレ地区の画廊20THORIGNY。
・7月9日から日本橋三越本店、コンテンポラリーギャラリーで、2週間、個展「LE VISITEUR TOKYO」開催。
・7月23日から、岡山天満屋本店で、六日間、「LE VISITEUR OKAYAMA」開催。
・10月13日から、パリ、20THORIGNY画廊で、2週間、個展開催。
・2026年、1月15日~3月15日くらいまで、二か月、パリ、日動画廊にて、グループ展に5作品展示予定。(詳細は決まり次第、発表します)