連載小説
連載小説「泡」について、作者の想い。 Posted on 2025/12/07 辻 仁成 作家 パリ
連載小説「泡」、第四部完結いたしました。
作者としては、いつも心に、しゅうとアカリ、がおりまして、ものすごく、充実した日々でございました。
第四部で終わる予定でしたが、彼らの生い立ちや人生などを考えると、いわゆるありきたりの結末というのもよくないというか、そこで片づけられないドラマがあるのだ、と、書いている中で気づかされ、愛おしくなってきたのも事実で、まだまだ終わりが見えない現在です。
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でも、なんとか、この世界をただの「泡」にしないために、もうひと努力をしないとならないかな、と思っています。
同時に、いつまでも終わらないでほしい、という願いもあります。
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長年、作家をやってきましたが、SNSとかサイトで小説の連載をここまで真剣にやってきたことはありませんでした。
それだけ、楽しかったし、刺激的です。
書くぞと決めて、三日後から向こう見ずに連載がスタート、そこからはジェットコースターのような生活になりました。笑。午前中は執筆、午後は絵描き、夜は愛犬の世話、という三つ巴生活・・・。
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ここから、第一巻の最終コーナーへと突き進む感じになりますが、一週間ほどの猶予をください。
単行本の話もあるようでない現状ですが、いつか、単行本にしたいと思っていて、その場合は、大幅な加筆修正がなされると思います。
デザインストーリーズには、毎日、この作品を読むために数万人の読者が遊びに来てくださっていることもわかりました。こういうことも、かつて経験のないことです。ありがとうございます。
みなさんの中に、しゅう、と、アカリが生きているのだ、と思うと、作者冥利につきますね。
どういう大団円を用意しようか、作家は悩みもがき苦しみ楽しんでおるところでございます。
しかし、最高のラストを迎えられるように、これから少しのあいだ、数日か、一週間か、最終軌道修正に入らせてください。
これ以外ないベストなラストシーンをイメージしているところです。
それでは、連載の再開までしばしのご猶予を・・・。
えいえいおー。

辻仁成展覧会情報。
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来月、パリにある日動画廊、グループ展に参加します。
1月15日から3月7日まで、場所、パリ8区の日動画廊。
それから、8月前半に一週間程度、東京にてちょっと大きめの個展を開催いたいます。
今回のタイトルは「鏡花水月」です。(予定)
タイトルは突然かわることがございますので、ご注意ください。
そして、11月初旬から3週間程度、リヨン市で個展を開催する予定です。
詳細はどちらも、決まり次第、お知らせいたしますね。
おたのしみに!
posted by 辻 仁成
辻 仁成
▷記事一覧Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。



