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養子縁組、同性婚、どんどん進むフランスの新しい親子関係 Posted on 2020/02/18 Design Stories  

パリに住む2組のタイプの違う友人カップルのもとに、養子縁組などを通して、子供がやってきた。今回はフランスで広がりつつある新しい親子関係についてご紹介したい。

まず1組目は、不妊治療を続けたが子供を授かることができず、養子縁組をしたカップル。私の古くからの友だちである。
2人はまず養子縁組協会に登録したが、なかなか順番が回ってこず、ベトナムに行って養子縁組を試みたりしたが、結局縁あって、養子縁組協会から1人の男の子を受け入れることになった。
その子の実母は妊娠した時からお腹の子を養子に出すと決めて出産した。それを「Accouchement sous X(内密出産)」と呼び、フランスでは1973年より法制化されている。実母についての情報は最低限しか伝えられず、その子に関してはお母さんがモロッコ人であることだけがわかっていた(お父さんについては一切わからない)ので、友人夫婦はその子にアラブ系(マグレブ)の名前をつけることにしていた。そして、その子が生まれ、3ヶ月になった時、友人夫婦はその子を迎えた。とはいえ、法的に親子関係になるまでにはそれからさらに半年の監察期間が必要となる。
残念ながら、その子のお父さんは子供を迎えるのと同時期に、末期の癌が発覚し、その子が法的に家族と認められて間もなく、若くして他界してしまった。この子が法的に自分の子供になるまでは死ねない、と言っていたのが印象に残っている。それから14年。シングルマザーとなったお母さんはお父さんの分まで愛情を注いでその子を育てている。

もう1組は、フランス人男性とイタリア人男性のLGBTカップル。私のアパルトマンの上の階に住んでいるご近所さんである。モード関係で働くこの2人はアメリカ、ロサンジェルスに代理母出産(Gestation pour autrui:GPA)を申請し、1年ほど前、男の子を迎えた。確認はしていないが、おそらく、血の繋がりのない方の父親はその息子を養子縁組しているのだろう。その子はお父さん2人の元でスクスクと育っている。                                                                                                                                                                                                                                                            

養子縁組、同性婚、どんどん進むフランスの新しい親子関係



カトリックの国、フランスでは代理母出産は禁止されているが、代理母出産が合法な国で生まれた子供をフランスに連れ帰るケースが後を絶たない。2018年には代理母出産や人工授精・体外受精への賛成派が反対派を上回ったという結果もでており、実際に、この友人カップルのように、男性同士の同性婚カップルで血の繋がらない方の父親の養子縁組が裁判で認められ始めている。私の息子の学校にもお母さんが2人いる子がいたり、(フランスで)2013年に同性婚が合法になってから「同性カップルの子供」も身近な存在になりつつあるのがフランスの現状であろう。もちろん、倫理的な問題や課題は山積みだけれど・・・。

このように、血の繋がりのない親子の関係というものもある。子供を育てたいけど育てられない、子供を授かったけれど育てられない、そこで悩んでいる人々はたくさんいる。フランスで根強く広がる養子制度や、同性婚カップルの新しい家族制度は国や市町村、国民や隣人の理解がないと成熟しない。私は隣人として彼らを穏やかに見守りたいと思う。


*フランス語で養子のことを「Adoption(アドプション)」というが、「Adoption simple」単純養子縁組と「Adoption Plénière」完全養子縁組がある。違いは日本の普通養子縁組と特別養子縁組とほぼ一緒(細かい条件は違う)で、単純養子縁組は 実親との親子関係を解消せず養子となり、2組を親を持つことができ、完全養子縁組は実親との親子関係を解消し、養親のみが法律上の親となる。養子をもらうための条件は非常に細かく設定されていて、ここには到底書ききれない__。



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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
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