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コロナウイルスの猛威、オーストラリア政府の武漢帰還者クリスマス島への隔離計画 Posted on 2020/02/01 ふ〜みん 会社員 オーストラリア・ブリスベン

1月29日水曜日夕方ごろ、ゴールドコースト大学病院で検査を受けた中国人男性(44才)がコロナウィルスに感染していることが確認されました。この男性は武漢から来た方で、現在病状は安定しているそうです。
現時点で、オーストラリアではニューサウスウェールス州、ビクトリア州での感染者を含め、合計7名のコロナウイルス感染者が確認されています。
ブリスベンでは、チャイニーズフェスティバル(春節)期間に計画されているお寺のオープンなどが延期になりましたし、また、ブリスベンのホテルでは、中国女性ナショナルフットボールティーム(32人のプレイヤーとそのスタッフ)が隔離されています。このチームは武漢エリアで1週間トレーニングした後、29日にブリスベンには入ったそうで、検疫のため、武漢を出てから2週間(2月5日まで)、ホテルに隔離されることになりました。実はこのチームは、シドニーのスタジアムにて、2月3日にタイランドチームと、4日に台湾チームとのゲームが予定されていました。東京2020オリンピックに出られるかどうかのゲームでしたので、出場事態も危ぶまれているようです。



同じ1月29日に、スコット・モリソン首相が、武漢地域にいるオーストラリア人(およそ600人)をクリスマス島のディテンションセンター(移民勾留施設、ボートピープル難民など留め置く施設)へ避難させ、14日間そこで隔離するという計画を発表しました。本土での隔離が理想ではありますが、迅速な対応をするためには、例えば、シドニー、メルボルン、ブリスベンの病院を空けて用意することは不可能なので、もともと一時避難、隔離の目的で作られた施設のあるクリスマス島への避難隔離計画となったようです。
武漢にいるオーストラリア人やその家族たちは、政府の迅速な対応に感謝していましたが、クリスマス島のディテンションセンターに子供に対応する医療施設が充実していないことが判明すると、政府の申し出を断り武漢に留まることを選ぶ家族も出てきました。

武漢にいるオーストラリア人は、ほぼ中国バックグラウンドのチャイニーズオーストラリアンです。現在、この計画の対象者は、オーストラリアの市民権を持つオーストラリア国籍保持者のみとなり、さらに、オーストラリア国籍を持っていても、中国パスポートで中国へ入国した者は対象外となっています。オーストラリアの永住権保持者の場合については、現在、中国当局(決定権がある)が避難対象になる合意をしていない状態で、在中国オーストラリア領事館が、中国当局と交渉中とのことです。15歳以下の子供は保護者がいないと避難計画に参加できませんので、たとえ子供がオーストラリア国籍を持っていても、その両親が国籍を持たない永住権保持者の場合、彼らは避難できないことになります。

ちなみに、この計画にかかる費用は、1人につき(子どもも幼児も一律で)1000豪ドル(約72500円)。避難前後の移動費用も個人負担になるということです。現在、世界各国が自国民を武漢から帰還させていますが、その条件はさまざま。各国のお国事情が伺えます。

コロナウイルスの猛威、オーストラリア政府の武漢帰還者クリスマス島への隔離計画

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ふ〜みん

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1989年、オーストラリアに移住。メルボルン3年、ケアンズ24年、ブリスベン4年在住、NZ人ダンナ、独立した娘1人、某会社経理課勤務、オーストラリア国籍、今までに訪問した国45ヶ国。