PANORAMA STORIES

日本とこんなに違う、テーブルの上の自由なパン Posted on 2023/11/22 ルイヤール 聖子 ライター パリ

 
料理を順番にサーブする、甘いものが基本の朝食、そしてあっさりな夕食・・・と、フランスの食卓風景は日本のそれと異なるものばかりで、興味をそそります。
しかし中には日本人として、「えっ」と思うスタイルもあります。
 

日本とこんなに違う、テーブルの上の自由なパン

 
ユネスコの無形文化遺産にも登録された、フランスのバゲットです。
厳密に言うと、そのテーブルの上での姿、となるでしょうか。
「フランス人はテーブルの上にパンを直置きしている!」
こう思ったのが、フランス人の家庭で初めて食事をご馳走になった日のことでした。
パン皿はありません。バゲットを各自がちぎった後は、テーブルの上の空いているスペースに適当に置きます。
そしてもちろん、直置き後のテーブル上はパンくずだらけになってしまいます。
 



日本とこんなに違う、テーブルの上の自由なパン

 
家庭だけかと思っていましたが、実はレストランでもそうでした。
カジュアルなビストロに限るものの、フランス人の多くはここでもバゲットを直置きします。
一般的にレストランのバゲットは、スライスされた状態で、小さなカゴに入ってやってきます。
問題はその後です。彼らはバゲットを手に取った後、やはりテーブル上にポン!と置きます。
先の写真で言うと、右下の空いているスペースに置くイメージです。
 



日本とこんなに違う、テーブルの上の自由なパン

 
さらに驚くのが、それがバゲットに限らないということ。
フランスの朝食の代表格に「タルティーヌ」というものがあります。
スライスしたパンにバターやジャムを塗って、さらにカフェオレに浸して食べる・・・というあのスタイルです。
さてフランスの方々はここでも直置き。
バターやジャムでしっとりしたパンを、まさか、と思いましたがやっぱり直置き。

「どうしてパンを直接置くの?」
フランス人家族に訊いたところ、(1)「テーブルは別に汚くない」(2)「パンは固いから大丈夫(?)」と返ってきました。
(1)の理由としては、家でもレストランでも、テーブルをみんなきちんと拭いているから大丈夫、なのだそうです。
(2)は、パンの外皮が固いから大丈夫、という謎の答えだったのですが、フランス人曰く、カトラリーも直置きだから別に良いのではないか、ということです。
 

日本とこんなに違う、テーブルの上の自由なパン

※フランス人夫の朝食スタイル。



 
フランス生活6年目、まだまだ新参者の私にとっては、直置きスタイルは未だに慣れない事柄のひとつです。ですので自分は今でも、バゲットなら取り皿の上にちょこんと置いて、タルティーヌなら下にペーパータオルを引いてしまいます。
後片付けもちょっと大変。たくさん散らかったパンくずをミニ掃除機で吸って、ウェットシートでさらに拭く、ということを繰り返しています。
しかしフランス人はここでも豪快で、ランチョンマットごと流しの上でパンパンするか、庭に持って行ってパンパンとする人もいました。
このように、細かいことは気にしないのがフランスの人々です。
バゲットに関するマナーは数々ありますが、比較的緩いのがその置き方、でした。
 

自分流×帝京大学



Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

▷記事一覧

2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。