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日本とこんなに違う、フランスの栗とその食し方 Posted on 2023/11/10 ルイヤール 聖子 ライター パリ

 
11月に入り、パリはすっかり寒くなりました。
マルシェにも秋の味覚が本格的に並ぶようになりましたが、「栗」の存在感はその中でも一段と際立っています。
 

日本とこんなに違う、フランスの栗とその食し方



 
だいだい10月中旬くらいからでしょうか、フランスではマルシェでもスーパーでも、写真のように栗がずらっと並び始めます。
この光景を毎年見ていると、栗は本当にフランス人から愛されているんだなあ…といつも実感します。
実は、フランスの栗の生産量は年間1万3千トンで、イタリア、ポルトガル、スペインに次いでヨーロッパ第4位に位置しているのだそうです。
フランス国内では南部アルデッシュ地方で一番採れるらしいですが、特にコルシカ島の場合は、栗の木の下で豚が直接消費することから、高品質のシャルキュトリー(生ハムやソーセージなどの加工肉)が伝統的に生産されるそうです。

日本にいた頃は、栗おこわや、おやつで食べる甘栗がこの季節の楽しみでもありました。
しかしフランスでは、栗の食べ方はちょっとだけ日本と違っています。
最も物珍しかったのは、秋になると街頭に現れる「焼き栗屋さん」でしょうか。
 

日本とこんなに違う、フランスの栗とその食し方

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こちらはフランスにおける秋の風物詩でもあります。
首都パリにもたくさんいらっしゃって、人通りの多いところにはこの季節、香ばしい匂いを伴った栗スタンドがあちこちに立ち始めます。
日本と違うのは、それが甘栗ならぬ「焼き栗」一択であることです。
 

日本とこんなに違う、フランスの栗とその食し方

 
フランスでは栗をそのまま食す場合、だいたいが焼き栗になりますね。
秋のバーベキューでもメインのあとに栗を焼く家庭があるほどです。
ただ焼くと少し硬さと渋さが残るため、甘いカフェオレ等と一緒にいただくと相性が良かったりします。
 

日本とこんなに違う、フランスの栗とその食し方

 
それからフランスでの栗といえば、あの「マロングラッセ」が挙げられるでしょう。
フランスはマロングラッセ発祥の地でもあります。
パリの有名なショコラトリー「ボワシエ」に至っては、マロングラッセを19世紀に初めて製品化しました。
味も一つだけではなく、コニャック入り、バニラ入り、ラム酒入りと実にさまざまです。
とはいえ、こちらのものはとても高価(実は一粒5ユーロ〈約700円〉前後!)なので、ほんのたまにの贅沢品として、ホットワインなどと一緒に大切に味わうようにしています。
 

日本とこんなに違う、フランスの栗とその食し方



 
その他の栗料理としては、鶏肉と煮込んだり、スープとして登場することが多いです。
ちなみにクリスマスには、七面鳥のローストに、栗や玉ネギ、ニンニクをバターで炒めたものが付け合わせとして登場したりします。
先のマロングラッセもクリスマス時期に食べたりと、栗はちょっとしたご馳走のサイドとして現れることが多いですね。

またフランスの栗のスープはこってりとしていて厚みがあり、一皿でも十分な満足感が得られます。
秋冬は前菜としてスープがよく出るので、栗はこの季節、家庭でもレストランでもメニューの主役と言えるかもしれません。
 

日本とこんなに違う、フランスの栗とその食し方

※ポティロン(カボチャの一種)と栗のスープ

 
フランスでは、栗の木は樹齢400年を超えるものもあるそうです。
中には1600年代に植えられた木も残っているらしく、非常に丈夫で長持ちすることから、栗はこの国で「長寿のシンボル」とされてきました。
このようにフランス人から愛されている栗は、レシピが本当に豊富で食べ方も日本と少しだけ異なっています。
日本の栗おこわが非常に恋しいところではありますが、フランスの収穫期は12月中旬まで続くということなので、引き続き栗の季節を楽しみたいと思います。
 

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Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

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2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。