PANORAMA STORIES
フランスのコスメショップで発見、“あなた次第”の美容文化 Posted on 2026/02/17 ルイヤール 聖子 ライター パリ
乾燥が激しいフランスの冬。硬水ということもあって、肌にとっては過酷な状況が続いています。そんな2026年の冬、フランスの女性たちはどんなベースメイクで肌を守っているのかを知りたくて、パリのコスメショップを訪れてみました。


※フランスのスキンケア・コスメブランド「Avril(アブリル)」
「フランスの女性はオンの日でも基本ノーメイク、やって薄化粧」というのは、すでによく知られた話かもしれません。
ただ、今回訪れたコスメショップでは、店員さんもまったくのノーメイクでした。美容部員さんがすっぴんでいることに驚いた、というよりは、自然体で働けるのはいいことだな、と逆に嬉しく感じてしまいます。
大型デパートのBAさんたちはもちろん完璧なメイクで働いていますが、個人的には、こうした彼女たちの姿の方が、フランス女性の自然体により近いと思います。

と、そんなスタッフさんを横目に待つこと5分。夕方にお邪魔したので、店内は仕事帰りの女性たちでいっぱいです。
客である女性たちは思い思いにリップを塗ったり、指でアイシャドーを乗せてみたりと自由な雰囲気。店員さんにはとくに断りも入れずに、みな楽しそうに(勝手に)試しています。店員さんたちも隣で見守るか、製品の違いについて質問されたときに応える、といった絶妙な距離感をたもっていました。

※使い捨てのコットンはなし。フランスのテスター台では洗って繰り返し使える布コットンが増えてきました
かつての記事でも触れたことがあるのですが、フランスの女性はこうして「どの色が似合うか?」を誰かに尋ねることがほとんどありません。自分の好みは自分で絶対に把握しておきたい、美容においても主導権を握るのはこの自分、という印象があります。

さて、手の空いたスタッフさんが質問に答えてくださいました。「冬におすすめのファンデーションについて」です。
答えは、「おすすめというのは特にないが、保湿力があるのはこれ、厚塗りが嫌ならBBクリーム、崩れにくいのはこっちのファンデーション」とのこと。「乾燥が気になるのであれば、洗顔方法も見直してみて」という言葉もいただきました。では洗顔は何がいいか? と聞いてみるものの、これまたごく軽い商品説明で終わります。

しかし、こうして何度か質問するうちに気づいたことがありました。どの問いに対しても、最終的には「Ça dépend de ce que vous aimez……」 とスタッフさんから言われることです。その意味は、日本語で「あなたが何を好むかにもよるけれど……」です。
実はこれは、フランスのコスメショップでよく聞く言いまわしの一つ。商品の選択と決定権を、いったん客側に戻すような感覚です。「正解はなく、どんなつけ心地を求めているか、すべてはあなた次第」ということです。
そのため、冬用のファンデーションを探しにきたはずが、最後には「自分はどんなテクスチャーが好きだったか」「何を塗ったときに快適か?」と、自身に問いかける時間になっていました。
つまり、
日本:悩みを言う→正解を提示される
フランス:悩みを言う→「あなたはどうしたい?」に戻される

フランスではこのように、商品を選ぶときの主導権がいつも客側にあります。それがフランスの美容文化の特徴でもあり、日常の接客スタイルにも表れているように感じました。
※今回は結局、いつも使用しているBBクリームを購入。新しいことは何も起きていませんが、あらためて印象に残る体験になりました。

※日焼け止めスティック。近年よく見かける形状
この日は、帰り道になってもあの「ça dépend de ce que vous aimez…」が頭から離れませんでした。
正解を求めない、自分の好みを貫く、おすすめは聞かない、教えてもらうスタンスでは基本行かない。分かっていたこととはいえ、客と店員の関係性も文化によってだいぶ異なるな、としみじみ感じています。
フランスで買いものをしていると、香水でもファッションでも(家具でも何でも)、こうした場面に出会うことが本当によくあります。
Posted by ルイヤール 聖子
ルイヤール 聖子
▷記事一覧2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。


