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今日の献立、ボロネーゼ Posted on 2025/07/22 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
さて、今日の献立推奨料理は、ボロネーゼ、ということになります。
たまに、食べたくなりませんか?
英語とかポーランド語ではボロネーズだけど、もちろん、本場イタリアではボロネーゼ。
正確には、ラグー・アッラ・ボロニェーゼ(ragù alla bolognese)となるんですって。

ボロネーぜって、地域で味や作り方もまちまちだし、イタリア家庭一軒一軒で味が違うし、何なら、その日の気分でぜんぜん違ったボロネーゼが出来るわけです。
正直、父ちゃんの作るボロネーゼは父ちゃんのその日の気分と、あとは冷蔵庫さんとの相談で決まります。
そのくらい、逆に言うと、残り物の処分にも最適でありながら(笑)、めっちゃうまい一品なものだから、ありがたい料理になりますね。

今日の献立、ボロネーゼ



ところで、父ちゃんには、主に、二種類の作り方があります。
パスタの上からかけるスタイルと、もう鍋の中にパスタごと入れて、ぐちゃぐちゃ混ぜて完成させる、2パターン。
どっちも美味いのですが、これが、微妙な味の違いがあるのです。
胃袋に入っちゃえば一緒なのは当然ですが、大事なのは、やはり味わう時の歯ざわりとか、口腔における旨味の広がり方とか、・・・。
個人的には、煮込んだボロネーゼソースの中に茹で上がったパスタをぶっ込んで食べるスタイルが好きですな。

今日の献立、ボロネーゼ

辻仁成 Art Gallery

フランスにおけるボロネーゼの起源をさかのぼると、昔、フランスの煮込み料理をゆであがったパスタにかけて食べたら美味しかった、という時代にさかのぼるのだそうです。
しかし、イタリアでは、鍋の中で混ぜるスタイルがやっぱり多いですね。
コトコト煮込んだミートソースに絡まるパスタ、最高です。

さて、今日はちょっと長い蘊蓄ではありましたが、さっそく、作っていきます。
一緒にやってみましょう。
まずは、材料から、

牛挽肉  400g
塩    小さじ1/2
こしょう 少々
にんにく 1粒(潰しておく)
赤ワイン 1カップ強
トマト缶 1缶
セロリ     2本
にんじん    1本
玉ねぎ     2個(中サイズ)
オリーブオイル 適量

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ケチャップ  大さじ1
砂糖     小さじ2
醤油    大さじ1
塩・こしょう 適量
スパゲッティーニ    400g
パセリ・パルミジャーノ 適量

【レシピのようなもの】
まず、鍋とフライパンを用意し、野菜は粗みじん切りに、にんにくは潰しておく。
このみじん切り加減で家庭それぞれの違いが出てくる。
そしたら、その野菜は、鍋にオリーブオイル大さじ2を入れ、弱火でじっくり火を入れ、炒めてください。
じっくりと炒めるのがコツなのです。
ボールに挽肉を入れ、塩・こしょうして手でこねする。冷やした肉の方が粘り気が出る。それをまな板の上で平たく伸ばす。

フライパンにオリーブオイル大さじ2を引いて、包丁のへら部で押しつぶしたニンニクを弱火で火にかける。
香りがオリーブオイルに移ったらにんにくを取り出す。
平たくした挽肉を入れ、超強火で片側が少し焦げるくらいまで焼く。
この焦げ目が大事。
で、焦げ目が付いたら赤ワインを回しかけする。
で、木べらでほぐしながら焼いていく。
焦げた所こそ旨味なので、フライパンからこそぎ落としながら、丁寧に大胆に豪快に焼かなければなりません!

今日の献立、ボロネーゼ



炒めた肉を鍋に入れる。
そこにトマト缶を加え、ワインをここで足してもいい。
濃厚さが違ってくる、ここは、お好みでって感じですな。
潰しながら良く混ぜ、弱火で30分ほど煮る。
必ず、煮こむことが大事。☜ここが超大事です。
よく勘違いされているけど、ボロネーゼは煮込み料理なのですよ。煮込んでこそ、うまくなる、お料理です。

あくまでもお好みで、ケチャップ、醤油、砂糖などで味を調える。
ボロネーゼの1/3量を取り出し、残りのボロネーゼの中に茹でたてのパスタを入れてよく混ぜる。皿に人数分取り分け、上に残しておいたボロネーゼをのせ、パルメジャーノやパセリをふりかけ完成となります。
ボナペティ!

今日の献立、ボロネーゼ

今日の献立、ボロネーゼ

今日の献立、ボロネーゼ

今日の献立、ボロネーゼ

※こちらは上にかけるタイプのボロネーゼ!

自分流×帝京大学

今日の献立、ボロネーゼ


「Le Visiteur」展、
岡山、7月23日から28日まで、岡山天満屋本店、美術画廊にて。
パリ、10月13日から26日まで、パリ、ピカソ美術館そば、GALERIE20THORIGNYにて。
問い合わせは、各画廊へお願いします。

そして、毎月3回やっているラジオ・ツジビルはこちらから、です。どうぞ。

TSUJI VILLE



Posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。