PANORAMA STORIES
何食べているの~、父ちゃんのパリ・スイーツ Posted on 2025/09/28 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
今日は、パリで個展の打ち合わせと会場の下見があったのです。
10月13日から始まる個展、その会場となるギャラリー20トリニーのギャラリスト、トマさんと、ロランさんに会うため、マレ地区まで出かけたのでした。(マレは若者、アーティストが多い生き生きした街です)
ぼくが住んでいるノルマンディとは大違いで、活気があり、なんか、若い人が多くて、気分アゲアゲな父ちゃんでした。
絵の配置とか、絵の展示についてとか、いろいろと話し合って、画廊を出たのですが、せっかくマレまで足を運んだので、ぼくの大好きな「レ・トロワ・ショコラ」でチョコとケーキを買おうと思って、歩いたんですね。歩いた、楽しかった~。(その頃、さんちゃんは、美容院に。笑)
いや、ものすごい人でした。
※ ギャラリストのトマさんと、仲良しショット~。
☆
あ、余談ですが、途中で、ブティックに入ったんです。
なんか、ズボンがほしくて、ぼくはだいたいレディスしか着れない体形なので、レディース系のブティックに入って、服を眺めていたら、
「あの、ちょっと、これ、試着していい?」
と英語で、中国系のマダムに聞かれてしまった、父ちゃんでした。
今日は、ヨージヤマモト、着ていたからかなー。
ま、店員に生まれて初めて間違えられた父ちゃんでした。
そういえば、電車でマレまで行ったんですが、
「あのマダム、どうぞ」
と若い男性にまたしても席を譲られそうになって、はっと、我に返ったんですが、もしかして、おばあちゃんに見られた!?
ううう、人生の終焉が見えてまいりました。
でも、がんばる。
負けないよー。
こんなかっこいい街で、毎年個展が出来るのは、実に最高ですな。
このエリアにはたくさんのアーティストが暮らしているので、個展期間中は、仲間の芸術家たちで大賑わいになるでしょう。
ということで、カフェに入ったら、お隣にいたすっごくかっこいいおばあさんに見つめられたんです。
マジで、ずっと、父ちゃんの目を見つめる、超マダム~。ぼくの母親と同じくらいの世代でしょうね・・・。
「ボンジュール」
「あなた、アーティストでしょ」
一瞬で見抜かれてしまった、父ちゃん。
でも、アーティスト同士ですから、あっという間に、大の仲良しになってしまったのです。
ぼくの個展のフライヤーを渡したところ、
「ああ、わたしも画家なのよ」
ですって!
とまれ、超マダム、かっこよくない?
この帽子、すっごくない?
かぶれます?
海賊?
いったい何者?
ただものじゃないでしょ・・・。きっと。でも、マレ地区にはただものじゃない人間がうじゃうじゃいるんですよ。
☆
うわ、写真撮りたい。
「写真、いいですか?」
「いいわよ」
上品なのに、パンクなんです。
お名前を尋ねると、ジャネットよ、ジャクソン、と言われました。
えええ、と驚いてみせるのりのいい父ちゃん。笑。
こういう人もいるマレ地区、マジで、最高なんですよねー。
フライヤーを覗き込んで、ぼくの絵が好きだ、と言ってくれましたよ。
「個展にどうぞ」
「行くわ。ぼうや、行くわね」
やった!
さて、めっちゃ美しいマダムと別れたあと、その目の前にあった、ぼくのお気に入りの「レ・トロワ・ショコラ」に顔をだすと、外まで長蛇の列・・・。
やれやれ、並ぶの嫌だけれど、しょうがない。
なんと、20分以上、ぼくは並んで、大好きなケーキをゲットしました。
今回は、このゴマのケーキ。
ゴマが上品に使われていて、でも、口の中で、ふわっと消えてなくなるんですが、ううう、余韻がすごい。
ひゃあ、また、腕をあげている~。
チョコレートボックスも買って、帰りました。
並んでいる時、ぼくの前のフランス人が、ここがパリで一番だわ、と呟いているのが聞こえて、うんうん、と頷く父ちゃんでした。
※ 一緒に買った、黒糖のフランがこれまた、絶品で、甲乙つけがたい出来栄えに、脱帽。
やるやーん。
ということで、パリ、さすがです。
ノルマンディもすごいんですけれど、今日はパリの勝ちとしておきます。
えへへ。
※ ぼくはミルクチョコレートマニア!
ああ、パリもやっぱ、最高だわ!
はい、おつかれー。
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辻仁成、個展情報。
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パリ、10月13日から26日まで、パリ、ピカソ美術館そば、GALERIE20THORIGNYにて「辻仁成展」2週間、開催。
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1月中旬から3月中旬まで、パリの日動画廊において、グループ展に参加し、6点ほどを出展させてもらいます。
Posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。