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父ちゃん、パリ個展日記(ギャラリストになった父ちゃん) Posted on 2025/10/24 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
父ちゃんのパリ個展ですが、残り、3日となりました!!!

別に、ぼくが画廊に行く必要はないわけですが、やはり、気になって毎日、出かけている感じです。
日本だと、入場制限とかもあって、なんか、ぼく自身、近寄りにくい感じなんですけれど、パリですからね、呑気に顔を出しています。
フランス人でぼくを知っている人は少ないので気楽です。
スタッフさんみたいな感じで、接客とかも普通にしたりしています。
「この作家は、独特のタッチがあり、ナイフでしか描かないんです」
「へー」
「ノルマンディにアトリエがあるそうで、犬と暮らしています。孤高なアーティストです」
「ほー」

今日も雨でしたからね、どこの画廊もガラガラで、絵のビジネスって成り立っているのか、と心配になるくらい、超静かな世界ですね。
そういう中では、父ちゃんの個展、人が入っている方かもしれません。
ただ、ふらっと入って、絵を買われる、というのはなかなか、ありませんね。
でも、一日に一枚くらいな感じで、買う買わないとは関係なく、交渉はあるので、ま、凄いことです。

あと、絵を買われる方も、とにかく、慎重で、縁を感じるまでの時間が長いというのか、決め切るまで何度も足を運ぶ方がフランスでは普通です。
もう、3回くらい顔を見た人がいたりするんです。
友だちみたいです、すでに。

ということで、・・・。
父ちゃんのパリ個展も、残すところ日曜日までとなりました。
早いものですね、金曜、土曜、日曜、で終わります。
そして、毎日、なんか、誰かが、なんらかのドラマを連れてくるので楽しい。

この方、一つの絵の前で15分くらい動かないんです。もっとかな・・・。
何を考えているのでしょう。
入って来て、すっと出て行く人もいるんですが、動かない人はいつまでも絵の前で考えていらっしゃいます。
声をかけていいのか、どうか、悩みますが、声をかけないことが多いです。
絵というのは、説明が必要ないので、そこが魅力ですね。
出来た作品がすべてなので、何を感じるかは、見る側の判断になります。
でも、穴が開くくらい絵を見て貰えるの、嬉しいですよ、作家としては・・・。

父ちゃん、パリ個展日記(ギャラリストになった父ちゃん)

父ちゃん、パリ個展日記(ギャラリストになった父ちゃん)



父ちゃん、パリ個展日記(ギャラリストになった父ちゃん)

父ちゃん、パリ個展日記(ギャラリストになった父ちゃん)

そして、今日は個展も後半、最終コーナーを曲がった、ということもあるのでしょうが、パリ在住の日本人芸術家の方々がたくさん観に来てくださいました。

父ちゃん、パリ個展日記(ギャラリストになった父ちゃん)

日本画家の釘町さん。
この絵が好きなのだ、ということで記念撮影をしたい、と・・・。
褒められると嬉しいですね~。

父ちゃん、パリ個展日記(ギャラリストになった父ちゃん)

ぼくの左手にいらっしゃるのが、洋画家のYOKO・KUMEさんです。素晴らしい油彩画を描かれます。はじめてお会いしたんですが、気が合いました。パリで生きる日本人アーティスト同士。

父ちゃん、パリ個展日記(ギャラリストになった父ちゃん)

仲間の画家、たなかまきこさんとは、近くのカフェに行って、軽くアペロをしながら芸術談義に花を咲かせました。個展中って、こういう交流が持てるのもいいっすねー。今度ワルシャワでグループ展があるそうでよ。ワルシャワの皆さん、ぜひ!
仲間たち、増えました。パリ日本人アート集団。あはは。



会社員を経験したことがない父ちゃんですが、帰りは地下鉄で帰ります。満員でした。
ギューギュー詰めのメトロに載るんですが、フランスの地下鉄ってドア周辺はものすごく込むんです。
もう、息が出来ない感じ・・・。
だから、真ん中の四人席に座るとギューギュー詰めから逃げることが出来ます。
アトリエで絵と向き合う静かな人生ですからね、こういう経験は貴重です。

明日から最終日まで、ちょっと慌ただしくなるのかな、と想像しています。
すべてはご縁ですからね、ぼくはニコニコ、楽しんで画廊活動に精を出しますよー。
はい、今日も精一杯生きたりましょう。
えいえいおー。

父ちゃん、パリ個展日記(ギャラリストになった父ちゃん)

父ちゃん、パリ個展日記(ギャラリストになった父ちゃん)

満席のメトロは、中央の窓際が安全地帯ですよー。えへへ。ここでも自撮り。自撮りはアートだ。

自分流×帝京大学



辻仁成、個展情報。

パリ、10月26日まで、パリ、ピカソ美術館そば、GALERIE20THORIGNYにて「辻仁成展」現在開催中です。
住所、20 rue de THORIGNY 75003 PAROS
地下鉄8番線にゆられ、画廊のある駅、サンセバスチャン・フォアッサー駅から徒歩5分。
全32点展示。残り数点になりました。

1月中旬から3月中旬まで、パリの日動画廊において、グループ展に参加し、6点ほどを出展させてもらいます。

父ちゃん、パリ個展日記(ギャラリストになった父ちゃん)

辻仁成 Art Gallery



Posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。