PANORAMA STORIES

パリ日記(トイレ編) Posted on 2025/11/11 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
ロン毛の父ちゃん、ちびですしね、細いですしね、見た感じは、フランス人からすると、マダムに見えるようです。
だから、うちの隣の90歳になるミッシェルさんには、「マダム」と言われてしまうわけで、ちゃんと見てる人は「ムッシュ」と言ってくれるのですが、初対面の場合、だいたい、マダムになります。
このことはよくこの日記でネタにしておりますので、もう別に、みなさんにおかれましては、驚くことではない、でしょうな。

それはそれで、今更、生き方を変えたいとか、思わないし、心は岩よりも硬い強い男なんですが、問題は外見ですからね、外見ですね、バカにされる原因は・・・。あはは。
世の中は外見でまずは判断をいたします。
そこで、問題になるのが、いつもトイレということになるわけなんです。
今日は、そんな父ちゃんの壮絶なトイレ事情、ご笑読くださいまし。
というわけで、先ほど、大きな建物の男子トイレに入ったわけです、こんな感じで・・・。
やっほー。♪

パリ日記(トイレ編)



ま、日本人ならば、男性というのは一目瞭然なんですが、フランスでは、辻仁成なんて無名でございますしね、こういう作家がいるの、フランスのムッシュたちは知りませんわな。笑。
ということで、・・・。
ムッシュばかりのフランス人男性のトイレに、こんな感じで、入って行くのはなかなか大変なんですよね。
まず、そこらへんにいる方々が、こっちを見て、え? という顔をされます。
中には、あっち、女子トイレはあっち、と指をさしてくる優しい紳士もいますが、だいたいは、視線で追いかけてきます。
今日は、手を洗う場所に、4人ほどのおじさま方がいたので、全員の視線浴びてしまいました。あはは。
年齢的に、おばさま、だと思っている感じでした。中には、おばあさんと思われている人もいたかもしれませんね、年齢が年齢ですから・・・。
無視。
でも、長年、このスタイルで生きているので、もはや、スタイルですから、気にしません。
その視線の交差する中心をつっきり、男性の小の方のトイレに向かいます。
そこで、小をしていらっしゃる男性の横に立ち、小をする、わけです。
もちろん、確認なんかしませんが、うしろの4人は、あ、そうなんだね、あっちじゃないんだ、となっていると思います。
ここは、笑うところです。
なかなか、毎回、フランスでトイレに行くのは勇気がいります。

あ、でも、日本でも、これだけロン毛だと、温泉の男性浴場に行くのは勇気がいりますねー、日本だと、知っている人も稀にいますからね、やはり、いろんな意味で、視線を浴びちゃうこともあるわけです。
え?
辻仁成???
みたいな、こと、ありました。
すいません。
皆様のリラックスタイムを台無しにしてしまいかねない容姿なので、温泉、もう長いこと行ってないです。行きたいな~。

パリ日記(トイレ編)



ということで、フランスのスーパーとか、もはや、レジでも、「ボンジュール・マダム」が普通になっていますから、さりげなく、マダムで生きています。
どっちでも気にしなければ、それなりに、楽ちんですよ。
でも、時々、言うべき時には言います。
「あの、実はぼくムッシュなんです」
とね、すると、
「どっちでもええから、はよ払って」
と言われたりするんです。
なんとなく、ジェンダーレスな今日この頃でございます。
あはは。
はい、じゃあ、今日も元気にいきましょうかね。
えいえいおー。

パリ日記(トイレ編)


辻仁成の展覧会情報ですが、
2026年、1月15日から、パリ、日動画廊のグループ展に参加。他の作家3人は、フランス人です。なかなか、素敵な画家さんたちばかりのグループ展ですよ。
2026年、11月には、リヨン市で個展が決まりそうです。決まったかな・・・。情報解禁になったら、まっさきにお知らせいたしますので、リヨン周辺在住の皆さま、お楽しみに。11月前半から後半にかけて、3週間ほどを予定しているようです。

辻仁成 Art Gallery
自分流×帝京大学



Posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。