PANORAMA STORIES
今日の献立、暗殺者のパスタと暗殺しきれない男のパスタ Posted on 2025/12/14 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
今日はスパゲッティ・ア・ラ・サッシーナ、通称、暗殺者のパスタ、を作りたいと思います。
が、通常の「暗殺者のパスタ」はかなりのバリカタで、めっちゃ美味いのですが、もう少し柔らかければどうなるか、ということを追求した父ちゃんが、正統的なものと、アレンジした、二種類の「暗殺者のパスタ」を作ってみたいと思います。
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これ、SNSでバズってましたよね。
南イタリアのプーリア州バーリという地方都市の名物料理なんです。
おこげのパスタですからね、おこげ好きな日本人には大変人気があります。
ちなみに、今度、このバーリを取材して、絵を描く予定なんです。ふふふ。
イタリアの建築物好きですからね、たまりません。プーリア州は食べ物が最高に美味しいんですよねー。
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さっそく、作りましょう。
まずは、「暗殺しきれない男のスパゲッティ」となります。あはは。
いろいろなつくり方がありますが、父ちゃんのはちょっと違っていますので、あまりおこげを作り過ぎないやつ、と思ってください。前までは、おこげたくさん、焦げすぎのをまかないに出していたんですが、弟子の長谷っちが、ここまで焦げていると食べにくいですよ先生、と偉そうなことをいうので、ちょっと控えました。笑。

フライパンにオリーブオイル、にんにく、唐辛子、アンチョビ一尾、をいれて、香りが移ったら、半分に折ったパスタを入れて、そのまま、焦がし焼きします。
普通は、ここで、ケチャップを入れるのですが、ぼくはケチャップ使いません。
あはは。

このくらいの焦げがいいですね。もう少し、焦がしてもいいです。
そこに、パッサータをいれちゃいます。
パッサータとは、トマトを潰して濾し、種や皮を取り除いたピューレ状のソースのことで、もちろん、手作りでも出来るんですが、これがかなりめんどうくちゃい。
だから、瓶詰のパッサータを買ってください。イタリアでは普通に普及していて、どこでも買えます。
ええと、日本だとキッコーマンさんから出ている、デルモンテさんのパッサータがいいんじゃないでしょうか?
☟(こちら、検索してください)
「デルモンテ パッサータ・ハイブリックス」
あらごししたトマト100%のパッサータです。
もちろん、イタリア産のパッサータでもいいですよ。ええと、イタリア食材店なら、ありますね。
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ホールトマトを潰して一からつくるソースは最高に美味しいんですが、けっこう、大変です。そこで、イタリアでは、あらごしした100%のトマトのパッサータが日常的につかわれています。
パッサータ、よろしくです。新しい世界がひろがりまっせ。


で、ぼくは直接、パッサータをここで焦がし目のパスタに絡めます。適当に何度かにわけて、やりますが、茹で時間にあわせて、2,3回に分けます。で、そこに、ケチャップでもいいんですが、ぼくはトマトピューレを加え、より濃厚にさせます。
パッサータって、トマトピューレを薄めた感じのものだから、なんかパンチがないんです。だから、トマトピューレなんだけれど、ケチャップでもいいかもしれません、加えます。

カリカリの麺が、パッサータの中で、茹で上がっていくイメージです。ただ、あまりパッサータを入れすぎると、カリカリ焦げ麺感が弱まるので、バランスをみてね。

よく、SNSとかで見るものはもうバリカタ、鋼のようなパスタになりますが、あれね、長谷っちが苦手なので、そこまでバリカタではないくらいの食感、目指しています。
これが美味いです。
普通のスパゲッティよりも食感が強く、でも、鋼のような硬いパスタじゃない。
そこです。父ちゃん風「暗殺者にはなりきれない男のパスタ」という名前にしておきましょうか・・・。
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ということで、下の、こちらが完成になります。
そこに生ハムを載せたのが上の写真になります。
歯ごたえがたまりませんね。バーリでは、暗殺されちゃうのか、と思いながら、食べておりました。
グラッチェ。

さて、それでは、王道の「暗殺者のパスタ」をもう一つ、ご紹介したします。
見た目も、やっぱり、こっちが美味そうに見えます。実際、かなり美味いす。

1,にんにくと鷹の爪をオリーブオイルにじっくりと移す。弱火推奨。
一度、ニンニクと鷹の爪は取り出しておきます。

2,フライパンにケチャップ大匙1~2をいれて、馴染ませます。そこに、半分に折ったパスタを並べ、絡ませ、絡んだら、平らに広げて焦げ目がつくまで中火程度で、焼きをいれていきます。

3,焼き色がきれいについたら、それをひっくり返し、また、焼きをいれていきます。おっす。

4,そしたら、パッサータを投入、最初は半分くらい、150g程度、あ、パスタは120gに対してです。パッサータは継ぎ足していきます。同時に、白ワインと、水を加えます。
リゾットを作る方法に似ています。少しずつ水を加え、麺を緩めていくという寸法です。

5,追いパッサータをし、水を加え、麺が食べやすくなるまで、根気強く続けます。けっこう、時間がかかる場合もございます。麺の太さによるので・・・・。

6,味見をしてください。水分が飛んでちょうどよくなるように、麺の硬さはお好みのところまで・・・・。ということで、麺を緩めるのに、お水はちょっとずつ、加えていきましょう。

7,このバリカタ感がいいいんですね。ぼくは個人的には、ここまで行かないのが好きですが、若いスタッフさんらには、こっちが好評です。長谷っちとか父ちゃんのような年齢増し増し人間には、先のがおすすめ。

でも、最高に美味しかったっす。出来上がる直前に、醤油とか、パルメジャーノ・レジャーノとか(必須)、お好きに味変してくださいね。
ボナペティ!!!

2023年、フランスの音楽の殿堂、パリ、オランピア劇場で、単独ワンマンライブをやり遂げた、父ちゃんの、その記念碑的なライブ盤が配信されました。父ちゃんも、買いました。笑。携帯にいつもいれておくのです。
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こちらから、聞けますので、お好きなプラットホームでお聞きください。
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グループ展、もうすぐですね。作品はすでに完成しています。11作品も展示しますよ。パリ在住の皆さん、どうぞ。
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2026年の1月、パリの日動画廊で開催されるグループ展に参加します。
1月15日から3月7日まで。結局、11作品の展示となりました。フランス人3人とのグループ展なのに、11作品も、・・・。笑。
場所は、パリ8区ですね。エリゼ宮殿の傍です。
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それから、8月前半に一週間程度、東京で個展を開催いたいます。
今回のタイトルは「鏡花水月」です。(予定)
タイトルは突然かわることがございますので、ご注意ください。
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そして、11月初旬から3週間程度、リヨン市で個展を開催いたします。詳細はどちらも、決まり次第、お知らせいたしますね。
お愉しみに!
Posted by 辻 仁成
辻 仁成
▷記事一覧Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。


