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新プロジェクト「鏡花水月」が始動、一週間限りの美術館! Posted on 2026/01/17 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
去年から、ずっと計画していることがあります。
美術館のような個展を開催できないか、とずっと打診していたのです。画廊の個展の域を超えて、まるでオルセー美術館で辻仁成展が開催されるような、壮大なイベント・・・。
今日は、その計画を発表させてもらいます。ちょっと、ドキドキしています。
というのも、けっこう大きな挑戦になるからです。
【発表】
夏の日本での個展が決定しました。
会期は、8月5日から11日(火曜日、祝日)ただし(予定)です。まだ会期の完全な確定が出来ておりませんが、8月5日から一週間程度開催することになりそうです。
会場は、三越では一番大きな画廊で、三越日本橋本店の特選画廊Aを全面開放して、行われます。
もちろん、ぼくは分かっておりましたが、情報解禁が今日になった、ということです。
ぼくは、去年から、この個展に向けて、作品を制作していますが、全面というのは、二つの画廊を開放して一つの大きな会場にするわけです。どのくらい大きいいのか、というと、面積的には昨年夏に個展をさせて頂きました三越日本橋本店コンテンポラリーギャラリーの4倍ほど、かな、と思います。広いですよね。
そこに、約60点の作品が並ぶ予定なのです。
去年下見に行った時、特選画廊Aの右側でピカソ展、左側で日本人のグループ展が開催されておりました。今回は父ちゃん一人で、全面を利用して、個展をやることになります。
そこで、昨年、三越さんに、相談をしたわけです。
会場が広いので、美術館に足を運んでもらうような空域にしたい、と。パリの美術館巡りが好きな父ちゃん、やはり、経路に沿って、絵を見ていく、というのが、ここまで大きな画廊でやる場合、意味があるのじゃないか、と思った次第で提案させて頂きました。
下の図面はその時、関係者の皆さんに提示した、ぼくのアイデアになります。
美術館でやるような個展にしたい・・・。だから、入り口があり、出口がある。
お客さんは、入り口から入って、ぼくが考案した展示作品の経路に沿って、出口へと向かう。
そのために、三越さんと仲介画廊の新生堂さんに、美術館のような、パーテーションを拵えて頂く。
どうです?
なかなか大変な計画なので、実は即答での返事はありませんでした。皆さん、時間をかけて、図面をみて、検討してくださったのです。そして、OKが、出ました。
おおお、すごいじゃないか! 特選画廊A全面を美術館のようにするんですから!
みんなで力を出し合い、一味違う、オリジナルな画廊空間を演出しようという作戦です。
こちらのぼくの作戦図面をご覧ください。去年の9月にはこの図面が出来ておりました。

新プロジェクト「鏡花水月」が始動、一週間限りの美術館!



新プロジェクト「鏡花水月」が始動、一週間限りの美術館!

AIの時代に、この手書きの設計図、すごくないですか?
というのは、特選画廊があまりに大きすぎて、もったいない、と最初に思ったわけです。
ぼくは25年前、パリのモンパルナス美術館などによく絵を観に行っておりましたが、狭い階段をのぼりながら見る絵との距離感、だれにもじゃまされない空気感が、素晴らしかったです。
オルリー美術館の館長と対談をしたことがあったんですが、オルリーもくねくねと回廊のような道沿いに絵が展示されており、工夫されたということでした。素晴らしかったです。軽井沢の安東美術館も、あそこは藤田の専門美術館ですけれど、藤田嗣治が歩いた道程が経路に沿って、楽しめました。
そういう空域を作りたいとお願いしたところ、みなさんが真剣に協議をしてくださり、やろうということになったのです。やったー、すごい!!!
これはある種のインスタレーションなんです。入り口を入った瞬間から、ぼくの世界がみなさんを別次元に誘うような構造になっています。

図面の上の左側に、「辻仁成展、鏡花水月」という文字が踊りますが、ここが、いわゆる入り口です。
みなさんを小さな絵が出迎えます。
鏡花水月が今回のテーマなのです。「目で見ることは出来ても、手で触れると儚く消えてしまう世界」のことです。
この入り口に入る前に、赤い50号の大きな作品が、左右のウインドーで皆さんを見守ります。ここから、すでに宇宙が始まる仕掛けなんです。
ぼくの名前を見ながら、小さな作品から次第に大きな世界へと誘っていきます。素敵じゃないですか?
そして、特選画廊Aの左空域の真正面に、8枚の連なる連作絵画が並びます。このように、みなさんの経路に沿って、父ちゃん画人が描いてきたノルマンディの情景が次々と展開していく、という趣向なのです。

ノルマンディって、切なく儚く美しくそして、尊いんです。印象派の画家、モネなどがいました。最近まで、ホックニーも住んでました、ヴィクトル・ユゴー、モーパッサンもこの辺を舞台に作品を描いています。あのサガンの家もありましたね。エリックサティのピアノもここで棚引いておりました。そういう世界観を、日本人である辻仁成の目を通してキャンバスに落とし込み、描いて、みなさんにお届けしようという企画なのです。
一週間限りの、美術館のような個展、です。
出口まで行き、もっと見たければ左手の入り口からもう一度、どうぞ、おはいりください。ゆっくりと御覧ください。生々流転のように、回数を重ねるごとに見えてくる世界が変化していくことでしょう。
そういう作品が、60作品ほど並びます。そのうち、50号の作品が25枚ほど、あります。
コンセプト・エキシビジョンだということになります。一枚目の絵から、六十枚目の絵まで、壮大な絵巻を見るような個展、短い開催ですが、ぜひ、楽しんでもらいたいので、今、父ちゃんはめっちゃ、頑張っているところです。
わくわく、今年も止まらないですね。



新プロジェクト「鏡花水月」が始動、一週間限りの美術館!

もう少しだけ、解説いたしましょうね。
ここが入り口になります。メインテーマの「鏡花水月」の世界観についての短いメッセージをお読みください。入り口の右手に小さな入り口絵を配置します。そこから、管弦楽のはじまりです。経路に沿って、一枚一枚の作品を鑑賞ください。だんだん、作品は大きくなり、屏風絵ではないんですが、連作絵画がみなさんを待ち構えることになります。コーナーごとに、絵の世界、シリーズが異なります。日本では初お披露目のKOSMOSシリーズ、KOシリーズ、ノルマンディ情景画シリーズ、実験的な抽象画のシリーズなどが、続きます。
壁沿いに移動をし、小さな空域には、可愛い小品が、そして、再び、右空域の広大な画廊へと出るのです。ここの真正面には牧歌的なノルマンディの景色絵が並びます。きっと長大な映画を見ているような楽しみを持っていただけるかもしれません。或いは、大きな舞台を観劇しているような感じが起きるかもしれない。父ちゃんの宇宙で、想像力を広げてもらえることを期待してやみません。
いかがですか?
今は、仕上がりの手前まで出来上がっている60点の作品一つ一つの仕上げを行いながら、図面に何度も何度も、仮の配置を書き込んで、ああでもない、こうでもないと日がな、計画中、これが、楽しいのです。
ということで、今年はここに注力していきます。今、ぼくは興奮し、震えているわけです。
こういう世界観を三越日本橋本店で実行できるのが光栄ですね。

新プロジェクト「鏡花水月」が始動、一週間限りの美術館!

はい、情報解禁になった情報をもう一度、おさらいしておきます。
会期、
2026年8月5日から11日(火曜日祝日)まで。ただし、(予定)です。まだ、調整中らしいです。5日スタートは間違いありません。
場所、
三越日本橋本店、特選画廊A全面となります。
その他、のことはまた、決まり次第、お知らせいたしますね。
今日も精一杯生きたります。
えいえいおー。

新プロジェクト「鏡花水月」が始動、一週間限りの美術館!

展覧会、お知らせ。
現在、パリの日動画廊にてグループ展に参加中、3月7日まで。

日本、8月5日から、三越日本橋本店特選画廊A全面、

リヨン、11月4日から、約3週間、開催となります。

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新プロジェクト「鏡花水月」が始動、一週間限りの美術館!



自分流×帝京大学

Posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。