PANORAMA STORIES

雨降りの夜、パリで詩人になる Posted on 2026/02/01 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
パリは雨の日が続いています。
昨日はピアニストのエリックとパリの中心部をそぞろ歩き、カフェ呑みをしました。
フランスは日本のようにバーというのがあまり無いんです。
カフェがその役目を果たします。
オペラ界隈で呑み、オデオン界隈で呑んで、いろいろと話し合いをしました。
ま、インスタレーションをやりたいので、どうやって、作品を作るのか、について。
エリックと分かれた後も呑み足らくて、一人で、雨の中、右岸から左岸へ、左岸から右岸へと移動したんです。
けっこう、雨のパリ、好きですね。
ロマンティックではないんですけれど、石畳に反射する街頭の光が好きです。

雨降りの夜、パリで詩人になる

雨降りの夜、パリで詩人になる

雨降りの夜、パリで詩人になる

雨降りの夜、パリで詩人になる



カフェの隅っこに陣取って、ウイスキーとかを舐めながら、小説の構想とか練るわけです。なかなか、小さなノートに、落書きをしたりして、酔って頭がふらふらになるのを待ちます。
三四郎はお留守番です。雨の日は、連れ出すと雑巾みたいになっちゃうので、笑。
で、だいたい、昔のことを思い出しています。過去を振り返らないのですが、泥酔をすると、なぜか、古傷が痛む感じで、いろいろなことを思い出しますね。
普段忘れているようなことが、脳裏を過ります。なんで、あの時、ああしなかったんだろう、とか、多少の後悔も持ちます。
そういうものを強いウイスキーで胃に流し込むわけです。
滅多に、やりませんが、パリに出てくると、なんか、呼ばれるんでしょうかね、田舎とは違うものに引っ張られます。

雨降りの夜、パリで詩人になる

雨降りの夜、パリで詩人になる

雨降りの夜、パリで詩人になる



泥酔して夜の街を彷徨うなんて珍しい父ちゃんですけれど、人間ですから、そういう時もあります。
見知らぬワインバーに入って、別にもう呑みたくもないのですけれど、ワインを注文したりするんです。
思い出を消すためです。
メモ帳を取り出して、単語を書いたりします。詩のようなものになっていきます。
ふりかえらない、とか、ひきかえす、とか、赦す、とか、生きてみる、とか、・・・。
詩は、そうやって生まれますが、酔っているので、書き上げたメモをカフェに置き忘れちゃいました。
ま、しょせん、そんなものです。

雨降りの夜、パリで詩人になる

雨降りの夜、パリで詩人になる

そういえば、雨降とかいて「アフリ」と読む日本酒のラベルに父ちゃんの絵、「WA KOSMOS」が使われることになったことは、前にちょっと話しましたが、新たなイメージ写真が届きました。なんかすごい箱に入っているじゃないですか・・・。ドンペリかと思い、びっくりしています。
理数系の蔵主さんが、力をこめて、とメッセージを添えて、おくって来てくださいました。ま、鬱っぽかったので、ちょっと上向きになっています。

雨降りの夜、パリで詩人になる

さて、眠ります。
明けない夜はないですからね・・・。
思い出に振り回されないように、気を付けて、熟睡を目指します。
こういう日もあるんです。いつもいつも熱血で、前向きなわけじゃないんです。
死にたくなったり、生きようとしたり、そういう波こそが、人生ですね。
それでも、生きないとならないのは、息子や三四郎がいるからかもしれないですね。
生き物というのは、仕方がないもの、ということです。
明日は晴れてほしいなぁ~。

雨降りの夜、パリで詩人になる

2026年のスケジュール。
現在は、パリの日動画廊でグループ展に参加中。電子書籍「海峡の光」パリのオランピア劇場ライブ盤配信中。
3月11日に、文庫「父ちゃんの料理教室」3月30日に、エッセイ集「キッチンとマルシェのあいだ」
8月5日から三越日本橋本店特選画廊A全面で「辻仁成展、鏡花水月」。
10月、パリ、アートフェア出展の予定
10月後半、仏文学イベント、予定。
11月、リヨンでの個展、予定。同月、パリでのライブ、予定。この頃、小説「泡」刊行予定。他、予定多数・・・。



自分流×帝京大学

Posted by 辻 仁成

辻 仁成

▷記事一覧

Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。