PANORAMA STORIES
辻村相談窓口、「犬」 Posted on 2026/02/05 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
辻村相談窓口の時間です。
今日は、犬を飼いたいが悩んでいる、という方からのご相談です。
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匿名希望Hさん
「三四郎くん、可愛いですよね。それで、私も犬を飼いたいと思いはじめているのですが、まだ、踏ん切りがつかないので、相談させてください。最初は、どういう犬が飼いやすいでしょうか? 犬種など。あと、犬との向き合い方とか分からないのですが、そこも心配しています。大丈夫でしょうか?よろしくお願いいたします」

おこたえしまーす。
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「ええと、もちろん、犬は可愛いですし、癒されます。でも、このご相談を読んでいるかぎり、ちょっと心配になりますね。あくまでも、参考ということで、聞いてください。
犬を飼うのは思っている以上に大変です。その大変をいくつか列挙いたしますので、目を通して、ご自分の心と相談をしてみてください。
1,朝、どんなに眠くても、真冬でも、雨でも、8時には犬の散歩に行かないとなりません。大丈夫ですか? 犬は生きているので、朝はおしっこもうんちもさせないとならないので、運動もさせないとならないし、・・・。できますか?
2,食事をすると、必ず、足元に座って、食べている顔を覗かれますが、大丈夫ですか? 犬に人間の食べ物を与えると寿命が縮むと知り合いに言われたので、ぼくは人間のたべものは絶対に犬に与えません。だから、けっこう、下からずっと覗かれながら食事をするのが、ストレスなんです。大丈夫ですか?
3,仕事をしていると、小説とか書いて神経を使っていても、足元にきて、ふんふん、言います。膝にのりたいので、載せろという合図ですが、大丈夫ですか?
4,散歩は昼、夕方、夜と3,4回しないとなりませんが、大丈夫ですか?
5,散歩から戻ると、衛生的な問題で、脚を洗わないとなりませんが、毎回、お風呂に入れて足を洗うの、とか、冬だと結構辛いんですけれど、大丈夫ですか?
6,食事の時間になると、もう、我慢できなくなって、一時間くらい前から、ふんふん、要求してきますが、耐えられますか?
7,けっこう、病気になるので、お医者さんに見せたり、たまには、身体も全身洗わないとならないですが、大丈夫ですか?
8,三四郎も犬なので、犬臭というのがあって、大丈夫ですか?
9,郵便局の人が来るだけで、めっちゃ吠えますし、家の前を誰かが過るだけでがんがん吠えるので、それもいきなり、吠えて心臓の弱い父ちゃんはその都度、ひっくり返りそうになりますが、大丈夫でしょうか?
10,夜も散歩があります。真冬は結構、寒いですが、大丈夫ですか?
11,年々、自我が強くなって、自分には権利がある、という顔をしてきますが、大丈夫ですよね?
12,ふんふんは、要望だけじゃなく、甘えでもあります。大丈夫?
13,散歩なんですが、歩かないんですよ。他の犬は結構歩きますが、三四郎は、歩くのを拒否します。大丈夫ですかね?
14,夕方、17時を過ぎると、ご飯を食べるぞ、的なオーラが凄いですが、大丈夫でしょうか?
15,自由度が減ります。旅行に連れていけないこともあるので、大丈夫でしょうか?
16,長期間、犬のトレーナーさんとかに預ける場合、家賃くらい支出が出ますが、大丈夫でしょうか?
17,当然、すべてを含んで、意外に出費がありますが、大丈夫?
ともかく、もっとありますが、それでも犬を飼いたいと思われましたか? 犬は生き物なので、相当な覚悟が必要です。でも、かけがえのない存在であることは間違いありません。人間みたいだな、と思うこともあります。お金では買えないものすごく深い愛を貰うことは出来るかもしれませんが、損得ではないので、そこも、大丈夫かな?」


父ちゃんの2026年のスケジュール。
現在は、パリの日動画廊でグループ展に参加中。電子書籍「海峡の光」パリのオランピア劇場ライブ盤、各配信サイトで配信中。
3月11日に、文庫「父ちゃんの料理教室」3月18日に、エッセイ集「キッチンとマルシェのあいだ」
8月5日から三越日本橋本店特選画廊A全面で「辻仁成展、鏡花水月」。
10月、パリ、アートフェア出展の予定
同時期、仏文学イベント、予定。
11月、リヨンでの個展、予定。同月、パリでのライブ、予定。この頃、小説「泡」刊行予定。他、予定多数・・・。
Posted by 辻 仁成
辻 仁成
▷記事一覧Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。


