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父ちゃんの普段着飯、「献立に困った時には、ナポリタン」 Posted on 2026/09/28 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
毎日の献立、大変ですよね。しかし、
やっぱり、困った時はナポリタンですよ、奥さん、お父さん。
育ち盛りの子供を黙らせるには、ナポリタンしかありません。

うちの子が一番喜んでくれたのも、手の込んだ料理より、シンプルイズウマイのナポリタンだったんです。
老若男女問わず、日本人はカレーライスやチャーハン、ハンバーグなど喫茶店の味が大好きですから、その王様的な存在がナポリタン…。
父ちゃんが作る家庭料理の中でも、手っ取り早く作ることができて、もっとも息子受けするのが、このナポリタンなのです。たかがナポリタンですが、されどナポリターーーーーン。

キッチンは、裏切りまっせーーーーーーーん!

父ちゃんの普段着飯、「献立に困った時には、ナポリタン」



そもそも、ナポリで「ナポリタン」といえばピザですからね。
ナポリに行って、「ナポリタンください」というと笑われます。確かに、トマトソースをかけたスパゲッティはナポリが発祥。
17世紀くらいでしょうか。
ナポリ人はトマトソースをパスタにかけて食べ始めました。
他所の土地の人たちがそれを「ナポリ風」と呼んだわけです。
フランスあたりに渡ってトマトソースをかけるパスタがスパゲッティ・ア・ラ・ナポリテーヌとなるんですね。
なんだって、ってな、話しでございますですな。

でも、日本で我々が食べるナポリタンとは違います。
時が流れ、戦後、進駐軍がトマトケチャップでパスタを作っていたのを日本人のシェフがこれじゃつまらんと生トマトとトマトペーストを使って編み出したのが日本におけるナポリタンの起源とされていますね。
これじゃあ、つまらん、と言い切った日本人のシェフが凄い。
その人、7割がた茹でたパスタを5時間放置することでもっちりとした食感を作っていたのだとか、やるな日本人。



 
蘊蓄はさておき、ぼくは5時間も放置はしません。
なぜなら、辻家のナポリタンは今すぐ食べたい息子の胃袋を速攻で大満足させる使命があるからであります。
麺は太めの麺が合うと思いますが、今日はスパゲットーニを使います。父ちゃん推薦の最強麺ですよ。
バリラの7番!
この面、けっこうゴン太で歯ごたえがうまいんです

父ちゃんの普段着飯、「献立に困った時には、ナポリタン」



では、在りゅおうです。
もちろん、和製ナポリタンには、玉ねぎは欠かせない。ハム、ソーセージ(もしくはシーチキン)、ピーマン、マッシュルーム、パルメジャーノ粉チーズは最低必要です。
トマトがあれば生トマトを入れることもあります。
フライパンにオイルをひいて潰したニンニクと種を抜いた唐辛子を放り込み低温で香りをじっくり移したら火力をあげカットした野菜を放り込んでザザっと炒めます。
うちは隠し味でここに昆布茶をひと匙もしくはふた匙振りかけます。
ふふふ。



さて、ここで一度塩胡椒をしたらトマトペーストを加えて、待機。麺が茹であがったらここに加え、白ワイン、ゆで汁(欠かせません)、を和えます。
最後にケチャップと濃厚めのソース(ソースはちょっとね)とバター、あ、粉チーズも少々加えてください。
食感が膨らみます。そして隠し味に醤油を絡め、完成です。

あえてそれぞれの量は書いておりませんが、お好きな量で。バターはちょっと多めです。
お好みで塩胡椒、タバスコで味を調えてください。
そして食べる時に粉チーズを上からふりかけてくださいね。ここまでの所要時間は手慣れてくれば15分から20分くらいで出来ますよ。
 

父ちゃんの普段着飯、「献立に困った時には、ナポリタン」

 
なぜ、ハムとソーセージ? 

ハムで肉味感をもたらせ、ソーセージは子供の舌先を喜ばせるために、です。今日はシーチキンしかなかったから、ソーセージの代わりにシーチキンを入れました。
風味が変わるからどっちもおすすめです。


なぜ生トマトじゃないの? 

それは単に簡単にするためです。
トマトペーストがあればケチャップで十分。
醤油が食べやすい味わいをもたらせます。
生トマトでソースを作ると時間がとってもかかるからです。
その分、高級になりますが、ぼくはB級も好き。


なんで茹で汁?

茹で汁を最後にいれることでもちっとした触感が出ますし、お蕎麦と一緒でとろみがでてうまいです。
実は茹で汁を入れることが「乳化」(水と油を混ぜ合わせてくれること)を促します。
でんぷんは高温になるとトロミが出るんです。
しかも茹で汁にはうまみ成分も若干入っています。
必ず茹で汁を入れることをお勧めします。
残ったパスタの茹で汁で野菜を茹でるとさらに美味しくなりますよ。


なんでバター? 

バターはぐわ~っと口腔に風味を広げます。
札幌塩コーンラーメンにはバターじゃないですか? 
茹でたじゃがいもにもバターですよね? 
子供受けします。


な、なんで昆布茶? 

ブイヨンとか出汁をいれるより手軽だし、ちょっと海感が加わるでしょ。
とろみも出るし。うちは、昆布茶は飲むためじゃなく、料理に使うためにつねにキッチンに業務用が配備されています。チャーハンとか、各種スパゲティとか、なんでも多様できるので、やってみてください。

ということで今日は困った時のエクスプレス・ナポリタンについてお話をしました。
家庭の味は家庭それぞれで工夫して作られたらいいと思います。パスタをいれてから最後に味付けでもいいですし、なんでもありです。
この赤いナポリタン、フォークを突き刺してほじくればぶっとい麺が出てきて、もちもちっとうまいんです!
ナポリターン、ボナペティ。
 

父ちゃんの普段着飯、「献立に困った時には、ナポリタン」



父ちゃんの普段着飯、「献立に困った時には、ナポリタン」

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父ちゃんの普段着飯、「献立に困った時には、ナポリタン」

Posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。