PANORAMA STORIES

風に吹かれて ベルリン ナウ Posted on 2020/06/25 エロチカ・バンブー バーレスクダンサー ベルリン

ベルリンも徐々にロックダウンが解除されレストランやバーが営業再開され始めました。いつものカフェを覗いたら閉店が長すぎたのかよりファンキーでパンクになっていた! まあ毎回書いてるけど、このゆるさやボロさを許容しちゃうのはベルリンならでは。テーブルも椅子もそこらへんに落ちているものよりひどい(笑)。コロナだってこれじゃあ逃げちゃうね!

ベルリンにはもちろんモダンなお洒落カフェも沢山あります。上質で清潔でお洒落な装いの若い男性二人が私の斜め前で静かにコーヒーを飲んでいたりします。ちなみに街を歩く人でマスクしている人は20%くらい。

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さてコロナ騒動が始まってから緩和された今日まで、私の知っているベルリンの住民は常に穏やかでした。このパンデミックの最中でさえ緑の多い公園で距離をそれぞれ取りながらもピクニック。その情景はここは天国? と思うくらい穏やかで笑顔が溢れていました。もともとゆるい街だけど以前に増してより空気が軽くなったように見えたの。なぜ? アンゲラ・メルケル女史の「芸術を守り、フリーランサーを決して見捨てない」と言う宣言が、まずベルリナーに心強く響き、安心させてくれたことが大きかったと思います。なんと言ってもこの町を構成するのは芸術家、ミュージシャン、テクノDJ、フリーランサ ー、学者、詩人、ボヘミアンなのだから。

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2月の終わりには即支援金のシステムが確立され、国籍関わらずフリーランサーへの補助金が即日振り込まれた時はドイツの底力に皆が感謝しました。中には今まで自分の口座にこんな大金見たことないよと涙する人もいたくらい。まさしく彼女の名前「アンゲラ」の意味する通り本当のエンジェル。そして偉大なるお母さん! 血がつながっていない外国籍の私たちも愛の手を差し伸べてくれました。ありがとう! それとは別に支援金の種類も豊富で、ミュージシャン、芸術家、舞台関係者とそれぞれそのジャンルの支援が細かくあり、まさにクリエイターや何かを生み出そうとする若い人達のまだ形にはなっていない創造力を絶賛応援する希な街だと思います。

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緑の多い都会でも有名なベルリン。街から人が消えた時にも行き場のない人は小鳥のさえずるガーデンや公園へ。そこに行けば誰かしらがいて、私達は一人ではないと確認しあっていた様に思えました。メルケル女史の「距離を保とう」と言う一声を、公園でもきちんと守る真面目さはさすがドイツ人だと感心しました。私も近所のあまり手入れされていない公園にちょくちょく出かけ、お日様を浴びて風に吹かれている木々や野草、花々がただそこで揺れている、そのただそこにあるその存在達のおかげで孤独は癒されました。ギター片手に歌っている人、読書している人、スケートボードの若者、ヨガをやっている人、スケッチをしてる人、野草を採集している人など、それぞれの時間を日没近い22時頃まで楽しむのがベルリン流。この自然と繋がる緩やかな日常が他人を助ける余裕や芸術を生んでいる様に見えます。

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この緑を大切にする心は、ベルリンのスタートアップに斬新な発想を与えています。その一つは捜索サイト”Ecosia”。 Ecosiaで検索するとその検索数だけ世界22ヶ所の植樹プロジェクトが動き出すと言う素敵なシステム。すでにユーザーの参加によって9千600万本の木が植えられているそう。検索する度にサイトの右上に描かれた可愛らしい木の数が増えていき、45件検索するごとに1本、地球のどこかに植樹されるのが嬉しくて、私は最近はググるよりエコっています。

クリエイティブな人達が多く住む街はキラキラとした何かが起こりそうで、常にワクワクするエネルギーを発しています。経済至上主義な街ではなく創造性至上主義。次に出てくるのは何かしら! ドイツの芸術家ヨーゼフボイスの言う社会彫刻、誰もが持つ創造力を使って共に美しい社会を自分達で彫刻していこう。まさしくそれはコロナを共に乗り越え協力しあえた私たち、それぞれが創造主となって次へ歩み続けるのではないかしらと信じています。楽天家過ぎかな? もう少し自由に行き来できるようになったら、若い人は一度ベルリンを体感しに来るといいわ。
今、日々美しく移り変わる公園を眺めながらこの文章を書いています。ではまたね、ご機嫌よう!

https://www.ecosia.org/

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Posted by エロチカ・バンブー

エロチカ・バンブー

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Erochica Bamboo
バーレスクダンサー。日本の各都市のクラブやキャバレーでショー活動した後、2003年にラスベガスにある世界で唯一のバーレスクミュージアム、Burlesque Hall of Fameで開かれるバーレスクの祭典で最優秀賞を獲得。それを機にLAに拠点を移す。2011年よりベルリンへ移りヨーロッパ、北欧で活動中。ドイツのキャバレー音楽ショー”Let’s Burlesque”のメンバーとしてドイツ各地をツアー中。