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ファスター アナーキー ゲイシャ Kiss kiss ! Posted on 2017/03/08 エロチカ・バンブー バーレスクダンサー ベルリン

海外でのマジックワード、「ゲイシャ」。
この響きにエロチィックな妄想やロマンチックなファンタジーを抱く人も多い。
最近、私はよくアナーキーなゲイシャがテーマのショーをする。
ドイツで参加しているショーでは、会場のエネルギーをガラッと上昇させ、すぐには自由になれないドイツのお客さんの心を開かせる役目としてこの演目を任された。
 

ファスター アナーキー ゲイシャ Kiss kiss !

そもそもこのショーはアメリカで生まれたものだった。
失恋がきっかけで作ったショー。私は夢見る遅咲きの乙女だった。

男性経験もなくこの世界に入ってしまった十代。すごくシャイで恋愛に奥手。バーレスクダンサーになりたての頃は、芸能社や先輩のお姐さんたちから「恋をしてはいけない」、「男性と関係を持ってはいけない」という掟を作られ、「変な色気が出る」、「体が崩れる」、「それより芸事に集中せよ」と言い聞かされた。
有り難いことに、それはある意味「恋せよ乙女!」と書き立てる女性誌やトレンディ・ドラマ、周りの女子達のボーイフレンドの話について行けない自分に、ああ、別に恋なんてしなくてもいいのね、という都合の良い言い訳となった。
自意識過剰で恥ずかしがり屋だった私。こつこつと真面目にバーレスクダンサーをしていた。
 

ファスター アナーキー ゲイシャ Kiss kiss !

そんな私がやっと恋に自由になれたのがアメリカ。そこで性の解放運動が始まった!
日本人相手じゃないから恥ずかしくない。甘い言葉を聞いてみたい。男性の体の仕組みってどうなってるの? 言葉がわからない分、想像力はマックス。
夢のような恋ができる。ここは自由の国アメリカ! 自分が今まで禁じてきた恋の主人公になりたい。

きっとバーレスクダンサーは ”フェムファタール” 。誰もが思い描きそうな人物設定を自分につけた。バーレスクで覚えた動きを恋愛生活に取り入れてみよう。男を手玉にとるのだ。やってみよう。飛び込んでみよう。瞳の奥にハートきらきら。
物静かで(言葉ができないだけ)優しそう(日本人特有のいつもニコニコ)に見える珍しい日本人バーレスクダンサー。興味を持つ男性がゴロゴロ寄ってきた。私は恋のハンターになった。
 

ファスター アナーキー ゲイシャ Kiss kiss !

恋愛するにはもってこいの西海岸。
しかし、人を愛しているのではなく、状況を楽しんでいるのだから恋愛とは程遠い。そもそも普通の女性が十代で通過する恋愛経験がほとんどなく、10年以上の遅れをとっている。言葉の通じない国で、その上、「男を手玉にとる」という脚本を書くこと自体が間違っていた。
手玉にとるどころか、ある男性の甘く切ない恋の罠にハマり、見事、悲恋ドラマクィーンに・・・。
そして、あっさり終了。その時言われたお別れの言葉。

君はこわいね。

え? こわい? 初めて言われて己を知る。
それをヒントに新しいショーを作ることにした。セックスピストルズのアナーキー・イン・ザUKで踊り、西洋人が持つ日本人女性のファンタジーをぶち壊すゲイシャ。こわいだって? なによ失礼ね、お黙りっ!
こんな勢いであっという間に出来上がった。ごめんあそばせ。

ところが、それがLAでウケてしまった。私のショーはトリを飾り、大きな会場がピストルズの歌を大合唱する。悲恋クィーンからロックスターになった気分。
NYではなぜか「政治的なショー」と言われ、世間に何を訴えようとしてるのかと問われた。男性よりも女性に応援され、泣けるショーと評判になった。

あれから10年。
私は相変わらず大ヒット演歌のようにこの演目を踊り続けている。曲がピストルズからレッド・ツェッペリンに変わったくらい。その間に、私はいつの間にか人に恋するのではなく、人を愛するようになっていた。

3月は桃の節句。ヘルシンキでお雛様がご乱心したようなゲイシャのショーしてくるわ。

Kiss kiss.

Posted by エロチカ・バンブー

エロチカ・バンブー

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Erochica Bamboo
バーレスクダンサー。日本の各都市のクラブやキャバレーでショー活動した後、2003年にラスベガスにある世界で唯一のバーレスクミュージアム、Burlesque Hall of Fameで開かれるバーレスクの祭典で最優秀賞を獲得。それを機にLAに拠点を移す。2011年よりベルリンへ移りヨーロッパ、北欧で活動中。ドイツのキャバレー音楽ショー”Let’s Burlesque”のメンバーとしてドイツ各地をツアー中。