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フランスで保護猫を家族に。里親になるまでの流れ Posted on 2024/03/30 ルイヤール 聖子 ライター パリ

 
フランスでは今年2024年から、ペットショップでの犬・猫販売が完全禁止となりました。
そのためフランスでペットを迎え入れたい場合は、ブリーダーから直接購入するか、保護施設から引き取るかの二択になります。
以前から保護活動に興味のあった私たち家族は、暮らす街の保護施設から一匹の猫を引き取ることになりました。

フランスの動物保護施設は、ワンちゃん専門、猫専門、またはどちらもと、大小さまざま存在しています。
規模の大きいところでは譲渡会も定期的に行っており、たくさんの動物たちがここで新しい家族との出会いを待っています。
 

フランスで保護猫を家族に。里親になるまでの流れ

※保護施設のWEBサイト・SNSには、猫のキャラクターや他の動物との同居がOKかどうかが書かれています。
https://www.instagram.com/p/C39mCbtNh8W/?img_index=1
(Association Animacoeur Instagram)



 
私たちは保護団体に直接コンタクトを取りました。
団体からいただいた返信のメッセージには審査用紙も添付されていて、家の間取り・一日何時間在宅しているか・猫の飼育歴などを述べる必要がありました。
これは後で分かったことなのですが、お世話になった団体の方によれば、飼い主に求める条件は「在宅時間の長さ」と「脱走防止の対策が万全」であることが大切なのだそうです。※詳しい審査内容は保護団体によって異なります。
 

フランスで保護猫を家族に。里親になるまでの流れ

※保護施設のシャレーにて。



 
書類審査が通ると、保護施設に見学に行くことが許可されます。
こちらの場合、保護された猫ちゃんたちは「シャレー(山小屋)」と呼ばれる施設で皆で暮らしていて、スタッフの方たちが交代でお世話を担当していました。猫ちゃんたちもケージに入っておらず、中を自由に移動することができます。

ここでフランスの面白いルールを発見します。
フランスのワンちゃんと猫ちゃんは、生まれた年によって同じアルファベットで始まる名前を付けなくてはならないという、ユニークなルールです。
2023年は「U」の年でしたので、シャレーには「U」から始まる名前の子猫がたくさんいました。近年では日本の単語も人気だそうで、「Unagi(うなぎ)」ちゃんや「Ume(うめ)」ちゃんと名付けられた子もいました。
名前はもちろん、家族になってから自由に変更することが可能です。

今回ご縁があったのは、「ウンベルト(Umberto)」という黒猫でした。
しかし、すぐに譲渡というわけにはいきません。私たちの場合は保護団体のスタッフによる自宅訪問が必須で、脱走防止の対策がきちんとできているかなどを厳しくチェックされました。先方も一度では納得せず、その後しばらくは密なやりとりが続きます。
 



フランスで保護猫を家族に。里親になるまでの流れ

 
結果、最初の連絡からウンベルトを迎え入れるまでに約2か月の時間を要しましたが、これは衝動飼いを防ぐためにも必要なことだったと思います。引き取りにかかった費用は210ユーロ(約34200円)でした。

ただフランスの保護団体が手厚いと思ったのは、その後に関してです。
ウンベルトは小さい頃の猫風邪・感染症が原因で、左目の眼球が癒着していました。
保護団体側はこの通院費、薬代、手術費用を譲渡後もすべて負担するということです(費用はすべて寄付金)。それ以外にも、病院への送り迎えを毎度担当してくださいました。
知り合いの家族も心臓に疾患のあるワンちゃんを引き取った時に、亡くなるまでのお薬代を保護団体がすべて負担してくれたそうです。
これは場所にもよりますが、フランスにある多くの団体がこうした活動をされていると聞きます。譲渡前にあった健康問題は、譲渡後も保護団体が責任をもってケアをするという仕組みです。
 

フランスで保護猫を家族に。里親になるまでの流れ

※フランスのスーパーでよく見かける、ペットフードのドネーション。買い物客はペットフードを買って、その場で寄付することができます。
https://www.instagram.com/p/C4cdMo5Nad_/
(Association Animacoeur Instagram)



 
現在のウンベルトは目の手術を終え、元気に家の中を走りまわっています。
保護団体とは定期的な連絡を取ることが条件でしたので、これからも画像を送ったりする予定でいます。
と、このようにフランスの動物保護団体とは、引き取り後も長く関係が続いていきます。
募金活動も盛んで、それを受け入れるお店が多いことも印象的でした。フランスが動物と暮らしやすいと言われる理由には、こうした影の努力があるからだと思っています。
 

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Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

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2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。