PANORAMA STORIES

カフェオレにバゲットを浸して食べるのがフランス・スタイル! Posted on 2023/10/18 辻 仁成 作家 パリ

三四郎がやって来てから、規則的な生活をおくるようになったので、ことのほか、朝が早い。
朝の犬散歩にはじまり、寝る前の犬散歩で一日が終わる。
いい面もある。三四郎がいるおかげで、夜、飲み歩かなくなった。
とにかく、犬を飼うと人間関係や生活のリズムが激変する。
一日に数回(最低、3回)、トイレ散歩に連れ出さないといけないし、特に、朝は小一時間歩き続けるので、こっちもいい運動にはなるが、その分、夜更かしが出来なくなった。

カフェオレにバゲットを浸して食べるのがフランス・スタイル!

田舎にいる間は、朝と夜、一時間近く、浜辺を歩く。(首輪を外すので、三四郎は走り回っている。犬仲間たちが駆け寄って来て、とにかく、楽しそうだ)
何キロも歩いて、村の入り口に戻っても、まだ、朝の9時!三四郎がやって来てから、一日が長くなった。
規則正しくなった。生き物を通して世界を優しく見つめることが出来るようになった。
朝散歩のあと、犬カフェに行き、カフェオレを飲むわけだが、今たまに、モーニングセットを頼む。
調子のいい時、晴れた日、今日は頑張るぞ、という日は、モーニングセットにする。
カフェオレ、バゲット半分、パンオショコラ、オレンジジュース、マーマレードなどのジャムとバターが、ついて、約10ユーロ。
お腹いっぱいになる。

カフェオレにバゲットを浸して食べるのがフランス・スタイル!

TSUJI VILLE

カフェオレにバゲットを浸して食べるのがフランス・スタイル!



行きつけの「犬カフェ」じゃなく、行きつけのレストランに行くこともある。
大きなカフェ・ビストロは朝から営業をしている。
どこのカフェにも、仲良しの給仕長がいる。
パリのカフェの給仕長は、ケビン、ポール、など店ごとのカラーがあって、生真面目な人、冗談ばかりの人、気さくな人、司令官のような人、と様々なだが、かなりのプロフェッショナルなのである。
ノルマンディで、最初に親しくなったギャルソンのトマ君は、あちこちに引き抜かれ、最近、この10月から、ノルマンディで一番大きなカフェを任されている、若干、33歳の青年だ。
その店には20人くらいの冗談好きで屈強なギャルソンが働いており、昼食時ともなれば近隣から客が集まり、満席になる。
その豪快なギャルソンらを小柄なトマが束ねているのである。
聡明で、しっかりしているし、礼儀正しく、ちゃんとしている。
トマにはファンがいるので、(ぼくも)、だから、行くと、知り合いばかりが集まっている。
たとえば、先週は、ライバルレストランを経営するチャールズ夫妻もテラスでお子さんたちとお茶をしていた。
この写真を撮影し、奥さんのミハーに、送ったら、慌てて、こっちを振り返り、やって来た。
「この店にも来るんだね?」
ぼくが言うと、
「だって、みんな友だちだからよ」
あはは。その通り、仲良く生きることが大事だね、こういう時代はとくに・・・。

カフェオレにバゲットを浸して食べるのがフランス・スタイル!

※ 隠し撮りをしたのだ。それをすぐに送って、気が付くのを暫く待つ、いたずらっ子の父ちゃんなのであった。この地域に、友だちが増えた・・・。

実は、チャールズが給仕長を探している時、真っ先に思い付いたのが、トマだった。
でも、トマは引っ張りだこ、一生生きていくことが出来る人脈を持っている。
他の子たちが冗談ばかりいうのにトマは一人黙々と仕事をこなすのだ。
そして、三四郎にはいつも水を持ってきてくれる。
「ムッシュ。珍しいですね、朝からこんなに食べるの」
「なんか、たまに、あるよね? 無性に食べたくなる時って」
「わかります」
ぼくは最近はじめた日本紹介サイト、JapanStoriesのQRコードを取り出し、トマに教えてあげたのだった。携帯を取り出し、トマが、読み込んだ・・・。おおお!
「これ、やってるんですか?」
「そうなんだよ。まだ、はじめたばかりで人気ないけど、来年の春には、本格稼働させたい。今、少しずつ記事をアップしているんだ。読んで、感想教えてよ」
「もちろんです!」
えへへ、読者を一人ゲット。地道な宣伝活動である。
でも、日本の文化や情報をちょっとずつ、届けていきたい。ぼくの老後の愉しみなのである。

カフェオレにバゲットを浸して食べるのがフランス・スタイル!

カフェオレにバゲットを浸して食べるのがフランス・スタイル!



ところで、話はかわるが、ぼくはバケットにバターとマーマレードを塗り、それをカフェオレに浸して、食べるのが好き。
これは別に下品なことじゃなく、フランスの伝統的な風習で、(ほんとうはあまり品がよくないのかもしれないけれど)みんながやってること・・・・。最初は、めっちゃ、驚いた。「下品な人がおるな」と思ったら、みんな、やっていた!!!
これがね、美味いのだ。
マーマレードの、オレンジの皮の苦み部分とバターの油分に、カフェオレのミルクコーヒー感が加わり、口にいれると、オーマイガっとなる。
なかなか、想像できない味だとは思うが、これを古いカフェのホールとかで、背中を丸めて、バゲットを握りしめ、カフェオレに浸し、ちょっとふやかしたところをパク、パクッとするのが、父ちゃんは好き・・・しあわせ~。
見回すと、ぼくの周辺のおじさん、おばさまたちは皆さんやっている・・・。
ぜんぜん、似てないが、白ご飯に卵の黄身をといた納豆をかけてじゃじゃっと胃袋に入れる感覚に近いのだろうか? 
いや、味噌汁にでかい麩が浮いてるのをじゅるっと一気に食べるのとか、似ているだろうか。
あはは。
フランスの朝はこんな風に始まる。パリもノルマンディも、朝はどこも一緒。
みんなバゲットをカフェオレに浸して、食べている。
東洋人のロン毛のおじさんが、カフェオレにバゲット浸して喰ってる姿も悪くない???
さて、今日をがんばろっと。

カフェオレにバゲットを浸して食べるのがフランス・スタイル!



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
朝ごはんを食べていたら、ポール卿から連絡があり、最初の回はソールドアウトになったが、セカンドステージ(追加公演)もあと10枚くらいだから、こっちもソールドアウトだね! よっしゃ。ロンドンの朝ごはんも紹介しますね!!!
ということで、・・・・
10月23日のロンドンライブ、ご来場希望の皆さん、20時45分からのセカンドステージでお願いします。
☟☟☟

https://www.universe.com/events/tsuji-mon-23rd-october-2023-at-qt-covent-garden-2045pm-extra-concert-tickets-JBSF3D

ラジオ・ツジビルは、毎週、オンライン村、ツジビルで放送されています。こちらへ、どうぞ!!!

↓こちらURLになります
https://www.tsujiville.com

そして、一時間に及ぶ、熱血パパさんの、貴重なライブ映像!!!!
こちらのURLをクリックしてね。
☟☟☟

https://youtu.be/YIi9N-6kt5g?si=l3SPg4Wt-jpOqToS

地球カレッジ

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自分流×帝京大学

Posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。