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日本とこんなに違う、ゆっくり流れるフレンチ・タイム Posted on 2023/06/19 ルイヤール 聖子 ライター パリ

 
フランスにおける時間は、本当にゆっくり流れています。
一日の時間は日本と同じ24時間のはずなのに、「ここは違う惑星か」と思うほど時の流れがゆっくりしているのです。

たとえば待ち合わせ時間。
「5分前行動」という言葉があるように、待ち合わせには時間通り、もしくはそれ以前にいらっしゃる日本の方が多いと思います。
しかしこちらフランスでは5〜15分遅れるのはほぼ常で、それ以上遅れる人も結構多いです。
そんな時に来るメールはだいたい「Je suis sur la route(今向かってる)」なのですが、これを鵜呑みにしてはいけない、というのをフランスに来て学びました。
本当に電車に乗っている人もいれば、「今家を出た」「今起きた」なんて意味合いの時もしばしばあります。

ただそこでイライラしてしまうとこちらが神経をすり減らしてしまうことになります。
皆が遅れるからといって自分も遅れて良い…という気持ちにはなりませんが、「フランスでは自分が外国人なのだ」と肝に銘じて、待ち合わせには文庫本を一冊持っていくなど時間をつぶせる工夫をしています。
 

日本とこんなに違う、ゆっくり流れるフレンチ・タイム



 
ところで、時間に遅れてもフランス人はほとんど謝りません。
「謝らない文化」というのは在仏日本人の多くが「?!」と(初期に)思ったところではないでしょうか。
実際、フランス人の主人は夫婦喧嘩で一度も謝ったことがありません。(私の全敗です)
電車の中で見知らぬ人の足を踏んでしまった、などは「Pardon(失礼)」と言ったりするのですが、「本当にすみません」といった本気の謝罪はフランス社会ではほとんど聞かないですね。
ただこれも文化の違いなので、あまり目くじらを立てず「仕方ない」と受け流したり、もしくはこちらも謝りすぎない、といった気持ちの切り替えが必要となります。
 

地球カレッジ



日本とこんなに違う、ゆっくり流れるフレンチ・タイム

 
その他にもあれ?と思ったことがあります。
それは、エレベーターに「閉まるボタン」がないこと。
私は未だにこの閉まるボタンをフランスで発見できていないのですが、この国にはそもそも閉まるボタンが存在しないのでしょうか。
それを主人に言ったところ、「ここはゆっくりフランス」と返ってきました。
そのため、ホテルやアパート、デパートのエレベーターはドアが閉まるまで皆がゆっくりと待っている状態になります。
 



日本とこんなに違う、ゆっくり流れるフレンチ・タイム

 
それから電車の発車案内板も、日本の表記とは違います。
日本ではたとえば「13:58」など、正確な到着時刻が表示されています。
ところがフランスでは「あと○○分」といった表示方法になります。
もちろん、本当にきっかり○○分後に到着する、ということもあるのですが、割とアバウトなのは確かです。
よってこの意味は「だいだい○○分後」と解釈した方が良いかもしれません。

ということで、フランスの役所や病院の手続きも大変な時間がかかります。
私の場合ですと、結婚申請から受理されるまでは約2ヶ月、公立病院の不妊治療の予約待ち時間は約3〜4ヶ月、保険証の発行には約8か月もかかりました。
特にバカンス最盛期の8月は要注意で、フランスにおける時間が最もゆっくり流れる月、と言って良いでしょう。
フランス人はバカンス明けの9月に仕事を回すことが多いので、8月に重要な手続きを避ける、というのはこちらで学んだことの一つでもあります。
 



 
それでも彼らは仕事には(あまり)遅れません。
社外ミーティングなどはちゃんと時間を守っているようです。
ただ社内になると少し緩くなるようで、お昼休みはだいたい1時間〜2時間であるほか、タイムカードといったものも存在しないです。
主人の上司などはお昼休みにチュイルリー公園でランニングするのが好きらしく、午後の会議になかなか戻ってこない…と言っていました。
といっても個人差があるのは確かです。フランス人でも時間厳守な人はいますし、そういう人たちは待ち合わせ時間を30分前に設定するなど、誰がどれくらい遅れてくるか?をあらかじめ把握して工夫するようです。

フランスにおける時の流れは、本当に日本と異なるものだと思います。
フランスでこれほどゆっくりなので、それより南のスペインやイタリアではどうなのでしょう?色々知りたくなりました。
 

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Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

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2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。