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London Music Life「推し活不要のチケット事情」 Posted on 2024/01/23 鈴木 みか 会社員 ロンドン

London Music Life「推し活不要のチケット事情」

ロンドンで、気になるミュージシャンのライブに行きたいと思ったら、よし行こう!とチケットを買うだけだ。生演奏やトークから、そのミュージシャンのことをもっと知ることができるのは、ライブの醍醐味だろう。

日本と大きく違うのは、ファンクラブという概念がほぼないこと。チケットを取るのに会費が必要ということはなく、超人気ミュージシャンのチケットでも、発売日にネットの前で待機すれば高い確率で買える。

「ファン優先購入」も、事前にメール登録した人だけが、購入用のリンクにアクセスできるという程度で、有料会員になる必要はない。ごく一部で、会場のサポート会員や、スポンサーのクレジットカード会員向けの優先販売もあるが、一般販売は必ず確保されていてる。

日常を推し活に捧げるという楽しみは少ないかもしれないが、どれだけファンなのかは関係なく、今聴きたいと思った人々に開かれているのは、様々アーティストのライブを観に行きたい人にとってはよい仕組みだと思う。会場に様々なファンレベルの人がいるのも、気が楽だ。ローリングストーンズのライブにAC/DCのTシャツを着て来る人がいても、誰も気にしない。



London Music Life「推し活不要のチケット事情」

ちなみにチケット料金は、座席の位置(近いか遠いか)よりも、快適度によって設定されることが多い。劇場型のホールであれば、ボックス席が一番高く、アリーナ型であれば、ステージを見下ろすバルコニー席(シャンパンなどを飲みながら見られる)、次に座れる席が高い。ステージに近いアリーナは、スタンディングのことが多く、比較的手頃な値段となり、音楽好きの熱い雰囲気を共有するには一番の場所だ。ただし、周囲の人がビールを片手に激しく踊ったり、肩車をしたりする可能性もある。ミュージカルやオペラ、クラシックコンサートなどは、後方に格安のチケットを用意して、お金のない学生でもライブパフォーマンスに触れる機会を提供しているのも、特徴だ。

London Music Life「推し活不要のチケット事情」

同じアーティストのライブでも、大規模なセットやダンサーを入れたステージは高いし、小さなライブハウスでのアコースティックなライブならチケットも安くなる。小さなライブの情報は、普段からアンテナを張っているファンしか気づかないので、おのずとファン度の高い人が集まり、アーティストも少しリラックスして、観客との近い距離を楽しんでいるように見える。

また、ここ数年で、特に進化しているのは、再販の仕組みだ。
過去は、第三者であるチケットブローカーを通じた非正規の転売が多かったが、最近では正規のチケット販売店(日本で言うと、チケットぴあやe+のような会社)が、自社サイトで、ユーザ間の転売をサポートしている。
ライブに行けなくなった購入者は、定価+手数料で販売でき(さらに安くすることは可能)、後から行きたくなった人が購入できる。電子チケットも即時で転送されるので、購入者間のトラブルもなく、コンサートの直前まで、チケットの流通が可能だ。ただキャンセル不可、転売禁止とするのではなく、双方を正規につないで、win-winにするのはよい取り組みだと思う。

先日、ブラジルから移住してきた友達と話をしていたら、子供の頃に同じ歌手を好きだったことが判明して、チケットを取ってライブに行った。地球の裏側同士に住んでいた二人が、20年以上の時を経て、思い出の曲を初めて生で聴くことができ、笑って一緒に飛び跳ねて、一気に友情が深まった気がした。後からこの国にきた移民の私達が、好きだった音楽に簡単にアクセスできることの寛容さに、幸せを感じたひとときだった。



London Music Life「推し活不要のチケット事情」

そして、4月に行われる辻仁成ロンドン限定ユニット2Gzのライブももちろん、熱いファンにも新しいオーディエンスにもオープンだ。

チケットはこちら↓
https://www.eventbrite.co.uk/e/2gz-tsuji-and-hide-live-japanese-music-in-london-tickets-790578039197?aff=oddtdtcreator

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Posted by 鈴木 みか

鈴木 みか

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会社員、元サウンドエンジニア。2017年よりロンドン在住。ライブ音楽が大好きで、インディペンデントミュージシャンやイベントのサポートもしている。