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必要は発明の母 〜オランダ発、水上農園〜 Posted on 2019/04/27 まきの ななこ ライフスタイルキュレーター アムステルダム

オランダと聞いて思い浮かべるものに、風車や運河を上げる方も多いでしょう。でもそれは、オランダの国土の約30パーセントが海面よりも低い位置にあるから。オランダの歴史は水を征することとの戰いの連続でもありました。
そのためか、こちらでの日常生活は水ととても近しいものでもあります。運河の両わきにはハウスボートなるものが軒? を連ね、屋上ではガーデニングを楽しみ、夏ともなれば、カフェやレストランもボートの上をテラス席さながら客席として活用します。また運河に浮かべたボートの上にショベルカーなどの機材を乗せて、陸地側の工事やメンテナンスを行うのもオランダならではの光景でしょう。
そんな古くから水との上手な付き合いかたを確立して来たオランダですが、昨今の地球温暖化などの影響により海面水位の上昇という問題に直面していることも事実です。
従来のような、埋め立てによる開拓には限界がある。そんな中、新しい試みとして”埋立地をつくるのではなく、水の上に建物や農場をうかべてしまおう”という活動が、今注目を集めています。
 



必要は発明の母 〜オランダ発、水上農園〜

場所は有数の港湾都市しても有名な、オランダ第2の都市ロッテルダム。その港近くに浮かぶのが、高さ3階建て、広さ約1,000平米の”Floating Farm”という水上農園。そこで40頭の牛を飼育し、1日に800リットルの牛乳を取ろうというもの。
第一歩として、LEDライトの下で育てられた、青々と茂る牧草地。そこに牛が放たれます。牧草以外の餌には、地元のビール工場から出た穀物などの廃棄物を活用し、さらに将来的には、牛乳だけではなくヨーグルトやチーズなどの加工食品も生産し、直接、地元の消費者に提供する予定だそうです。
もちろん環境保全への対応にもぬかりがありません。例えば、牛から排泄された糞はロボットによって収集され、尿は特別に設計された床ぞこにかき集められます。さらにこれらの排泄物はその場で分解され、発電エネルギーや牧草用の肥料に生まれかわるというのです。
 

必要は発明の母 〜オランダ発、水上農園〜

Photo by Beladon

 
パートナーのひとりであるvan WIngerden氏によれば、すでに水上養鶏場やvertical農園のデザインのプロジェクトもスタートしており、中国やシンガポールなど世界中から多くの人が視察に訪れているといいます。
また新たな土地活用というだけでなく、水上農園にはもう一つ、都市部での農作物の生産が可能になることで、食糧の地産地消が推進されるというメリットもあるようです。オランダでも都市部への人口集中が加速していますが、都市の近くに新しい農地を作り出すことで、輸送時間とコストを削減することができ、何よりも都会にいながらにして地元の美味しい食材を楽しむことができるというのです。
 

必要は発明の母 〜オランダ発、水上農園〜

なんだか少し出来すぎた話のような気もするけれど、じつはオランダは農業においても昔から先進国。持ち前の柔軟性と開拓精神で、世界をリードするような技術が生まれてくることもあるかも知れません。
かく言う私も都市生活者のひとり。オランダに住みはじめてすぐに感じたことは、品物の種類は少ないかも知れないけれど、確かにオランダ産の野菜やフルーツは、格段に味が濃くて美味しい!ということ。地元で採れたものをどんどん取り入れて、美味しく、健康に、シンプルに、世界の食を継続して支援していければ良いなとつくづく思う、そんなうららかな春の日差しを感じる今日この頃です。
すべてが芽吹く季節って、どこにいても本当に幸せですね。
 

必要は発明の母 〜オランダ発、水上農園〜

 



 

Posted by まきの ななこ

まきの ななこ

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Nanako Makino
ライフスタイルキュレーター。シカゴ、東京、モスクワ、ロンドン、、、一期一会に生かされて。新しいホテルやブランドなどの立ち上げに携わりながら様々な都市を巡り、2014年よりアムステルダム在住。オランダ語見習い中。放浪癖あり。