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雨天曇天Melbourne 「衝撃エマージェンシー 前編」 Posted on 2020/12/24 ムラカミ ネハン 漫画家 メルボルン

雨天曇天Melbourne 「衝撃エマージェンシー 前編」

世界で一番長いと言われたロックダウンもやっと終了したメルボルンよりこんにちは!ムラカミネハンです。

前回の記事(➡️ https://www.designstoriesinc.com/panorama/nehan_murakami13/#google_vignette)ではスクーターで華麗にすっ転び、メルボルンの爽やかな川沿いサイクリングロードを鼻血の海にしたワタクシ
周囲の親切なサイクリング中の人々からティッシュを差し出されたり、「救急車呼ぼうか?」と心配されたりしたものの、転んだだけだし、子供たちもいるし、救急車なんて乗るほどのことではないと、鼻血まみれの精一杯の笑顔で「アイムオーケー!」を連発して、突然のマミーのアクシデントにショックで泣きじゃくっているboyを抱えて家路に向かうことに。

しかし帰路の道中、転んだ時に突いた右手首の痛みがじわじわと増してきて、とてもboyを抱えることは不可能に…。「これはもしやボーンがブロークン…?」とおののきつつも、きってのインドア・パーソンで骨折などしたことが無い私、これがただ捻っただけの痛みなのかどうかも判断がつかず、GP(総合医)に電話。

しかし普段のかかりつけのGPではコロナのせいで先生は対面診療をしておらず、基本は電話での診察のみ、と言うので「手を捻っちゃったんだけど、骨折かどうか診てほしくて…」と言ったら、受付のマダムに半ば呆れられながら「何言ってんの?それはもうGPじゃなくて緊急でしょ?こんなとこに電話してる場合じゃないわよ!直接エマージェンシーに行って!」とお叱りを受けてしょんぼり。出産まで経験していながら、いまだオーストラリアの医療システム迷子のアラフォー
「日本だったらすぐに整形外科行けば済む話なのに!なんでエマージェンシーやねん!もう全てを投げ出して盗んだバイクで走り出したい!」と尾崎アゲインなやけっぱちモードの私を嘲笑うかのように、痛みはズン・ズン・ズンドコ☆ときよしのズンドコ節ばりに増すばかり

地球カレッジ

しかもこういう時、近所にネイティブの知り合いがいないので、救急病院もどこに行っていいのか皆目見当がつかない在豪12年選手のワテクシ。
GPが教えてくれたパブリックの病院はウチから行くにはやや遠いし、公立の救急はめっちゃ混んでて数時間待たされるのはザラ、という噂も聞いていたので、ここは「Google先生に聞くしかねえ!」とググって出てきたのは、近くて待ち時間が少なさそうなプライベート病院。
ネット上の辛辣レビューにビビりつつも、もうそんなことを言ってる場合でもないので腹をくくって突撃GO!することに。

とは言え突撃したくともダンナシは仕事中だったので、なんとか早退してもらい、帰ってくるのを待って子供たちを託してから、痛む腕を抱えてトラムとテクシー(←死語)で病院へ。

雨天曇天Melbourne 「衝撃エマージェンシー 前編」

1、通常は救急車で乗り付けるであろう裏口

病院裏口のエマージェンシーからしょぼしょぼと入って「マイ・リストがブロークンしたかもしれないんですけど…」と受付に申し出て、「そこで呼ばれるまで待ってて」と言われたのは人気の少ない待合室。ドラマで見るような医者と看護師が血塗れで担架に乗せられた患者と格闘しているER的エマージェンシー感はゼロで、この日は私以外にも老夫婦と若いカップルの2組が静かに診察に呼ばれるのを待っているのみ。「ほ、ほんまにこれがエマージェンシー…?」と疑心暗鬼になりつつも、一応レントゲンに回され、更に待合室に戻り待つこと数十分。



ケータイの充電も切れかけ、何も暇をつぶせるものがないところでぼんやり待ってると、そこへすーっと入ってきた医者(らしき白衣の小太り中年オーストラリア人)から突然「骨折だね〜。明日手術になったから!今日はとりあえず仮でプラスター(ギプス)するから、明日10時にまた来てね〜」とあっさり手術宣告
特に診察室に通されるわけでもない緊急の診察。ザッツ・オーストラリア

骨折だったことが判明しただけでも結構ショックだったのにまさかの手術。
看護師には骨折してる身でトラムで来たことをドン引きされ「痛かったでしょ〜!骨折してるのに帰りもトラムで帰るの!?誰も迎えがいないなんて可哀想に!」と大いに同情されつつギプスの応急処置を受け、その晩は帰路へ。

雨天曇天Melbourne 「衝撃エマージェンシー 前編」

2、『エマージェンシー』の受付は診療代も先払いでなんと$550(レントゲン代は別)

しかしアラフォーにして中二病が爆発してる私は「骨折してるのに一人でトラムに乗ってエマージェンシーへ行けるハードボイルドな俺」というシチュエーションに妙にハイになりつつ、
「痛いは痛いけど、なんかあっさり『手術だよ〜ん☆』ってノリで特に説明も無かったし、きっと日帰りで帰れるような簡単な手術なんじゃないかな〜?(←オーストラリアは日本と違って日帰り手術が多い)出産に比べたらそんなのヨユーっしょ!幸い明日はちょうどダンナも休みだったし、なんとかなるなる☆」と調子をぶっこいていた手術前夜
…からの更なる想定外な手術当日は待てtomorrow!→

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3、手術前夜ハイで撮った謎の自撮り(笑顔だけど乱れ髪&ピントもブレブレ)



自分流×帝京大学

Posted by ムラカミ ネハン

ムラカミ ネハン

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Nehan Murakami
漫画家。海外留学経験ゼロ、英語もほとんど話せない状態で2008年にオーストラリアはメルボルンへ。以来、日本語教師として教壇に立ってはいるものの、今だに英語は大の苦手。前職は全く畑違いの結婚式の音響スタッフ。ネコ中毒。Twitter:@murakami_nehan