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冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」 Posted on 2025/02/02 堀内 ありさ 学生 サンジェルマン・アン・レー

冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

 
夏のバカンス、冬の避寒地として最適なフランスの観光都市、ニース。美しい地中海を臨む南仏の中でも、とりわけ人気の高いリゾート地として知られている。南仏といえばマルセイユも同じくらい有名なので、私の中ではどちらも一緒くたになっていたのだが、フランス人の中でも好みが二分されるほど対照的なのだそう(私のホストファミリーの中でも、どっち派かで意見が割れていた)。聞けばニースは比較的富裕層が多く、より洗練されたおしゃれな雰囲気があるとのこと。なるほど、迷うところではあるが、新年のバカンスにはまずニースを目指すことにした。
 



冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

 
パリのリヨン駅からTGV(高速鉄道)で約6時間の列車旅。少し長くはあるが、列車特有のワクワク感もあり、意外とあっという間に着いてしまう。飛行機だと1時間半ほどしかかからないけれど、費用も安く抑えられるので、時間に余裕があればTGVでゆっくり行くのもおすすめ。
 

冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

 
Nice-Villeの駅に着いたら、真っ先に海岸へ直行。目の前に広がる青、青、青!紺碧の海とはまさにこのこと。見渡す限りのコバルトブルーの世界に、ただただ見惚れてしまった。澄み渡る地中海。暖かい風に乗ってほのかに漂ってくる、潮の香りも心地良い。ここ数ヶ月はパリの白っぽい空ばかり見て暮らしていたので(これはこれでパリっぽくて好きではあるが)、ここまで清々しい青空を仰ぐのも久しぶりだった。着いて早々、もうこの瞬間だけで大満足。
 



冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

 
海岸沿いをぶらぶら歩いていると、穏やかな波しぶきの音に混ざって、どこからともなく美しい音楽が聞こえてきた。振り向くと、沈む夕日をバックに赤い小さなアップライトピアノの姿が。力強くも哀愁漂うメロディーに、辺り一帯が包まれていた。海とピアノ。なんて素敵な組み合わせ。ピアノは駅や空港のように設置されているものではなく、演奏している方のマイ楽器らしかった。張り出されていた彼のインスタグラムをのぞいてみたところ、どうやらニース各地に現れる神出鬼没のストリートミュージシャン、という感じ。ニースに来た際は少し耳を澄ましてみると、もしかしたら風に乗ってピアノの音が聞こえてくるかもしれない。
 



冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

 
こちらは旧市街地の東にある、城跡公園(Colline du Château)からの眺め。おそらく、ここへ来たらほとんどの人たちが訪れる有名な写真スポット。地上90メートルの丘の上にあるため階段を登らないといけないが、息を切らしながら登った先には海岸線や停泊船の美しい眺望が待っている。この高台、実はニース発祥の地とも言われていて、元々は古代ケルト系の民族がこの丘に城塞を築いたとされている。海を見渡せることから、防衛拠点としてふさわしい立地だったのだろう。「城跡公園」という名前はここに由来している。
 



冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

 
マセナ広場周辺に行くと、カフェやレストランが多く立ち並んでいる。地中海料理やフレンチもあるが、全体的にイタリアンが結構多い。ニースとイタリアはほとんど隣接していると言っていいほど近いため、歩いているとかなりの頻度でイタリア人観光客とすれ違う。歴史的に見ても、ニースは1860年頃までイタリアの一部だったようなので、美味しいイタリアンがたくさんあるのも頷ける。
入ったレストランは、海岸近くにあるRestaurant Chez RiTho. “Portovenere”というところ。お店の人たちはほとんどがイタリア人で、始終陽気でフレンドリーに接客してくれた。注文したボンゴレのパスタとパンナコッタはどちらもとても美味しくて、あっという間にペロリと完食。価格帯もパリのイタリアンと比べると、断然リーズナブルなのが嬉しい。
 



冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

※雨が降った最終日。岸辺から沖合にかけて青のグラデーションになっていたのが神秘的。この日は風もあって波は少し荒々しかった。

冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」



冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

冬の南仏ニース旅「海と青空を求めて」

 
朝、昼、夜と、どの瞬間を切り取っても美しいニース。滞在中は、晴れ、曇り、雨と天候が変わり、その度にそれぞれ違った海の表情を見て楽しむことができた。特に何をするわけでもなく、海岸沿いを散歩し、ただぼーっと海を眺めて過ごした贅沢な時間。透き通るようなクリスタルブルーの景色に、心が洗われるようだった。また将来いつかのバカンスで、きっと必ず戻ってきたい、そう願わずにはいられない。
 

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Posted by 堀内 ありさ

堀内 ありさ

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大学4年生、文学部。フランス、サンジェルマン・アン・レーに交換留学(2024-2025)。
ピアノと外国の児童文学が好き。