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「パリ男進め、パリ娘住め」第二回 、パリの穴場美術館をご紹介 Posted on 2019/09/18 Design Stories  

在仏歴8年のDS編集部、パリ娘です。美術館好きな私は時間が出来るとパリ市内の美術館やギャラリーを巡って素晴らしいアート作品を鑑賞して楽しんでいます。そんな私のおススメ美術館はといえば、ルーブルでもオルセーでもピカソ美術館でもありません。パリ左岸にあるマイヨール美術館をご存じでしょうか? 駅で言えば六区と七区の境目に位置するソルフェリーノ駅、もしくはリュー・ドュ・バック駅から歩いてすぐ、デパートのル・ボンマルシェから徒歩五分という距離にある、とても美術館らしからぬ美術館です。

「パリ男進め、パリ娘住め」第二回 、パリの穴場美術館をご紹介

何せ、コンパクトで2時間もあれば十分全てを鑑賞し尽くせるサイズ感もいいです。地下に詩人、プレベールの名前を冠したカフェ・レストランもあるし、敷地内中庭にもオープンカフェがくっついていますので、のどかに焦らず芸術と向かい合うことができます。企画展はプルミエエタージュ(日本風で言えば二階)で行われていて、他の美術館では出来ないようなそれほど有名ではないけど、これから名前が出てくるのかしら、と期待させるような芸術家の作品展が頻繁に企画されています。さらに二階(日本風三階)は常設展をこじんまりやっていて、マイヨール美術館が持っている絵がものすごく静かに巡回している感じです。無名の人の絵も多いのですが、とにかく、小さい絵だけど、ぐぐっと心に迫ってくるコレクションばっかりで、私がはじめて藤田嗣治の絵を見たのもこの常設会場ででした。(今回、藤田はなかったです)それも、狭い壁の後ろに、小さな人物画が飾ってあって、目が合ったので、覗いたら、「FOUJITA」とありました。そういうささやかな感動を連れて来てくれる観光地っぽくない美術館ですね。

「パリ男進め、パリ娘住め」第二回 、パリの穴場美術館をご紹介

そして、この美術館、小さいからか、観客と絵画との関係もものすごく濃密で、面白いんです。美術館なのに、何か絵画とかくれんぼうをしているような、「あ、見つけた~」と嬉しくなる瞬間がたくさんあります。それに、なぜか、他の美術館よりも、絵を見ている方々がユニークというのか、観光客が少なくて、半プロの人たちが多いからか、絵画を見ながら構図を描きとっている子たちや、絵の前で構造を研究して手を振りかざしている人とか、いろんな方々が好きなことをしていて、人間を見ていても飽きません。なかなかこんな美術館ないですよね?

「パリ男進め、パリ娘住め」第二回 、パリの穴場美術館をご紹介

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今の時期は「ナイーブ・アート(素朴派)の画家たち」という企画展をやっていて、ルソーなんかもいい作品が揃っていますが、個人的に目を引いたのはRENE RIMBERTです。1991年に亡くなったばかりの現代画家ですけど、この人の作風のどこにでもあるパリ風景を少し下手なカメラマンが切り取るような感じが素敵、「え、そこ」という画角で切り取っている見せる着眼点こそ、まさに、私が見てきたこのパリのイメージなのです。マイヨール美術館は、そういう視点の作品を多く展示していて、おススメですよ。

「パリ男進め、パリ娘住め」第二回 、パリの穴場美術館をご紹介

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最近、話題のボー・パッサージュと呼ばれる美食の複合施設のすぐ横にあるせいで、先鋭的な画家たちの絵で目と心が刺激を受けた後、その熱を静かにさますためにボー・パッサージュでゆったりとランチはいかがでしょう? ヤニック・アレノ、ピエール・エルメ、メルシー、プーラルドなど、話題のレストランがテラス席を解放して、待ち受けておりますよん。

芸術の秋、マイヨール美術館へ行ってみて。パリ娘のおススメです!!!! 

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デザインストーリーズ編集部(Paris/Tokyo)。
パリ編集部からパリの情報を時々配信。