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日本とこんなに違う、傘をささないフランス人 Posted on 2023/06/09 ルイヤール 聖子 ライター パリ

 
フランスに来て使用頻度が減ったものの一つに、傘があります。
コンビニがないので「気軽に傘が手に入らない」という理由もありますが、雨でも傘をささないフランスの方々に大きく影響を受けました。
フランス・特にパリでは、雨が降り出すとフードを被って早足で歩き出す人が増えます。
予め用意していた折り畳み傘をバッグから取り出す、という人はあまりいません。
何人も傘をさしているのであれば、それはかなりの土砂降り(しかも一日中)を意味しています。
 

日本とこんなに違う、傘をささないフランス人

よくある雨の日のパリの風景。



 
渡仏したての頃には、これを疑問に思っていました。
なぜ傘をささないのだろう? 服が濡れて寒くないのか? バッグもビショビショではないか…と、日本との違いに小さなカルチャーショックを覚えたものです。
理由をフランス人に訊いてみました。
答えは中々にシンプルで、「面倒だから」「フードがあるから大丈夫」「天気予報が当たらないから」「どうせすぐ止む」、でした。

傘をさすかささないかは、降雨量(個人)によって大分異なります。
ただパリなどは天候が変わりやすく、天気予報もあまり当てになりません。
降っても小雨であることが多く、一日中土砂降り、というのは珍しい。
そのような訳で傘を携帯しないフランス人が多いのですが、日傘に至っては「ほぼ皆無」と言えるでしょう。
冬に不足したビタミンDのため・小麦色の肌を目指すため。
彼らは初夏になると、太陽を全身に浴びるようになります。
 

日本とこんなに違う、傘をささないフランス人

冬のパリ。曇天が続き、小雨や霧雨が降ることが多いです。

日本とこんなに違う、傘をささないフランス人

一方で春・秋は天候がかなり変わりやすいです。

地球カレッジ



 
もう一つ、傘を持たない理由に「値段が高い」というのがあります。
先日、某スーパーで見かけたビニール傘が27,99ユーロ(約4198円)もしました。
これには思わず二度見してしまいました。
隣の立派な傘が高いのかと確認しましたが、どう見てもビニール傘の値段です。
帰宅してインターネットで調べても、送料含めて10ユーロ(約1500円)以下のビニール傘はフランスで見つけることができませんでした。
インフレの影響が傘にもあるのかもしれません。
 

日本とこんなに違う、傘をささないフランス人



 
ということで、雨が降り出しても気軽に傘を買えないのがフランスです。
影響を受けた私としては、小雨なら携帯電話だけを守って走って帰ります。
まとまった雨でしたら、パリによくある写真のひさし部分に飛び移りながら、ちょっと雨宿りをして落ち着くのを待ちます。
つまり傘を持っていくのは、朝から続く大雨の日となります。
 

日本とこんなに違う、傘をささないフランス人



 
ショップの前に置かれる傘ぽん、傘立て、傘カバーもフランスにはありません。(傘立ては自宅に)
これも周囲を気遣う日本文化の一つだと思います。
誰かの荷物が濡れないよう、床が滑ってしまわないよう、濡れた傘をきちんとガードしていますね。
フランスでは大雨の日、隣の人の傘でよく濡れます。
混雑した地下鉄の中ではよくあることです。
しかしながら「先端が危ないからきちんと下を向けなさい」という教育は固く受けるようです。
湿度が関係しているのかもしれませんが、フランスの人は濡れることより(濡れてもすぐ乾く)、安全性を重視している印象を受けました。
 

日本とこんなに違う、傘をささないフランス人

日本の低価格・超軽量・コンパクトサイズの折り畳み傘は素晴らしいと今になって思います。

 
フランスの義理家族も、フード付きの撥水ジャンパーを着ながらビショビショになって帰宅します。
入り口付近の床は当然ながら汚れるのですが、(玄関という玄関がなく、スリッパに履き替えるまで土足のため)私がドア前で濡れた靴を脱ぐのに対して、「床なんか拭けばいいじゃないか」と逆に諭されてしまうことがあります。
このように傘はささなくなっても、雨の日の玄関周りにはまだまだ異文化を感じている次第です。
 

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Posted by ルイヤール 聖子

ルイヤール 聖子

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2018年渡仏。パリのディープな情報を発信。
猫と香りとアルザスの白ワインが好き。