ノルマンディ、ツジ村便り

辻村相談窓口、「裏切り」 Posted on 2026/05/16 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
では、早速、相談窓口を開かせてもらいます。

匿名希望Jさん
「辻さん、なぜ、人間というのはこうも簡単に人を裏切るのでしょうか。裏切っているという意識さえもなく、彼らは私を突き落とします。裏切られたことのある人間にしかわからないこの苦しみ、そこから逃れる術があるかわかりませんが、ご指導ください」

辻村相談窓口、「裏切り」

おこたえしまーす。

「なかなか重たいご相談で、何があったか、わかりませんが、これはよくないですね。よくないというのは、今のあなたのことが心配です。おっしゃる通り、人間というのは、悪気もなく、人を簡単に裏切ります。かくいうぼくも今日現在、大なり小なり、裏切りにあっていますよ。あっていながら、ことを荒げないで、冷静に対応しています。大人なんです・・・、あはは。
だいたい、裏切りを働く側に、裏切っているという意識がないのがわかります。でも、裏切られる側にはこれが分かっちゃうのが辛いですね。ぼくは裏切りにあった時、ええ、ああ、そうなるのか、といつも不意打ちをされて、一瞬、無かったことにしようとしちゃいます。でも、それは最善策ではありません。冷静になって、裏切った人間の行動を一度なぞってみることで、いろいろと見えてきたりもします。結論として、裏切る人間というのは、感情や欲望に流されているんです。そして、人を小ばかにしているから、裏切っているという意識も薄いわけです。その辺が整理できると、「なんだこいつ、くだらない奴だな」と思えてきます。こんな人間だったのか、と気が付くことが出来れば、もう、それでいいんじゃないですか。裏切られてがっかりしたのは、あなたがその人を信じていたからでしょ? 信じるに値する人間だと勘違いしていたから、でしょ? でも、そうじゃなかった。それだけのことですよ。この人の正義、真実、熱意ってこの程度だったのだな、と思って、ばっさりと関係を切断していいと思います。その方が身のためです。裏切った人間が「小物」だった、過大評価し過ぎた自分のせいもある、と思って、そこはもう穏やかに、すみやかに、断ち切ってしまうのが賢明です。いつまでも引きずっているとろくなことありません。なんなら、面倒くさいので、ブロックしてもいいんですよ。その面倒くさいことをいつまでも背負って我慢する理由がありますか? ぼくはいつも「誰の人生だよ」と自分に言い聞かせます。自分の人生じゃん、自分をもっと大切にしようよ、と言い聞かせて、完全にブロックしてしまうんです。そりゃあ、そうですよ、80億以上の人間がこの星の中で生きているのだから、あなたにとって完全にアウトな人は1000万人くらいはいるでしょう。その1000万人と、自分をへし折ってまでして繋がっている必要なんか、これっぽちもない。残り、79億9000万人の中から絶対裏切るようなことをしない100人くらいの人間たちと出会えばいいんです。これが、大事、です。一生はあなたのもの。自分が何も悪くない自信があるならば、裏切り者、にへつらう理由なんかあるでしょうか。ですよね? 裏切り者よ、さようなら。・・・で、けっこうです。どうぞ、ご自身をお大事になさってください」

辻村相談窓口、「裏切り」

近況のようなもの。
今日は、スタッフさんを叱りました。ちょっと叱り過ぎたかな、と思うし、もっと言い方があったんじゃないか、と反省もしています。いろいろな箇所で感情が先走って、反省をしています。でも、ぼくは、アーティストですし、神経が異常に細やか過ぎるんです。そのことを心底わかってくれる人は、なかなかいないんですよね。スタッフの皆さん、ごめんなさい。そのほかの皆さんにも謝ります。心の小さないたらない人間でごめんなさい。でも、ぼくは、ぼくを変えることが出来ないので、ご承知ください、ませ。笑。
1メートル×1メートルの大きな油絵作品の下絵が出来ました。ここから、です。乾燥するのを待って、じっくりと加筆していきます。これは、秋のモダンアートフェアに提出する作品になります。

8月5日から11日まで、三越日本橋本店、特選画廊にて、辻仁成展「鏡花水月」を開催します。どういう作品か気になる方は父ちゃんの美術サイトへ、どうぞ。数枚、すでに、出ています。

辻仁成 Art Gallery

辻村相談窓口、「裏切り」

帝京×パリ・オンラインアートカレッジ

辻村相談窓口、「裏切り」