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「創刊からひと月。駆け抜ける編集長」 辻 仁成 Posted on 2016/11/23 辻 仁成 作家 パリ

創刊からひと月が経ちました。
まさに怒涛のような30日間、駆け抜けているという感じです。

取材のために赴いた国はスウェーデン、デンマーク、ミラノ、モスクワ、ロンドン、ウィーン、と僅かひと月で六か国にも及びました。これから取材してみたい国は、アイスランド、キューバ、ポルトガル、イスラエル、スペインなどあげたらきりがありません。

「創刊からひと月。駆け抜ける編集長」 辻 仁成

(ウィーンの路地)



編集部は4人。東京2人、パリ2人です。+アソシエートのスタッフが数名います。

執筆者は現時点で30名前後ですが、世界各地に増殖中。
夢としては地球を隅々まで網羅し、世界各地、いまだ踏破できずにいる最果ての街からも記事を発信してもらうことにあります。このウェブを開くと、世界中から今の熱い声が届く。

素晴らしくないですか? 

刻々と変化する地球の素顔をそこで暮らす人々の目線でお伝えするDesign Storiesはまさに人生をデザインするライフスタイルマガジンなのです。

「創刊からひと月。駆け抜ける編集長」 辻 仁成

(デンマークの広場)



創刊後、大きく変化した編集意図は、より人生に寄り添うマガジンを目指すということ。

さりげなく生きる人、でも、そこに熱い思いがあり、ガッツがあり、だからこそ日本を飛び出し、ある意味日本を背負って、ボーダーレスで、純粋に生き抜く人たちの声を集めたい。

「創刊からひと月。駆け抜ける編集長」 辻 仁成

(スウェーデンのマルメにて)



商品の宣伝やモノをただ紹介するだけの雑誌ではありません。

中身? 

何をもって生きているのかが大事であって、そういう人が着る服や乗ってる車や住んでる家はきっと素敵なんだろうなぁと思うわけです。

紹介するなら、そういう素晴らしき連中が愛するモノを紹介したいじゃないですか? 

「創刊からひと月。駆け抜ける編集長」 辻 仁成

(ミラノの大聖堂)



世界各地でこだわりをもって、モノづくりをしている人がいます。
そういう人の本当の声を拾いたいし、そこには哲学や人生のドラマがあるでしょう。

なんであなたはそんな遠くで暮らしながら頑張ってるんですか? って訊いてみたいからこのマガジンは創刊されたのだと思います。
それを読者の皆さんにも明確に届けたい。

ぼく自身も自分のためにそういう人たちに会ってみたい。

「創刊からひと月。駆け抜ける編集長」 辻 仁成

(ウイーンの路地)



世界は嘘で蔓延しています。すごく操作され統制された世界です。
そういう嘘を信じちゃいけないし、人々が話題にすることをそのまま鵜呑みにするのも危険です。

疑問があればそれを調べ、考え、判断すること、これは今の地球にとって必要なことです。
そのためには世界にこんな人がいて、こんな価値観もあるんだよ、と知ることからはじめないとなりません。

それがこのプラットホーム開設の動機です。笑。

「創刊からひと月。駆け抜ける編集長」 辻 仁成

(ロンドンの路上)



創刊からひと月、Design Storiesの旅は続いています。
それはぼく自身の旅でもあり、それはぼくと息子の旅でもあります。

ぼくらは飛行機に乗り、あるいは自家用車で欧州を横断し、様々な価値観、風習、歴史、文化、美味しいもの、政治問題などを目撃していきます。12歳の息子はぼくの相棒です。彼も編集者の一人かもしれません。少年編集者ですね。少年の純粋な目線で見ています。決して馬鹿にできないものがありますよ。

移民問題がくすぶり続ける欧州では意見がいくつにも分かれています。この波は少なからず日本に押し寄せます。

すでに? 

世界の意識とか考え方の違いなんかを知っておくためにも本誌は幅広く世界の今を届ける必要があるのです。

でも、いわゆるジャーナリズムとはちょっと違う方法で。
記事と言っていますが、正確には記事ではないのです。執筆者のドラマでしょう。

「創刊からひと月。駆け抜ける編集長」 辻 仁成

(パリの子供たち)



息子は言います。

パパ、ボクはDesign Storiesが大好きだよ。

なぜなら、そこには人間のドラマがたくさんあって、ドキュメンタリーみたいだからさ。

「創刊からひと月。駆け抜ける編集長」 辻 仁成

(フィンユールハウスの屋外カフェ)



まずは楽しむことです。「面白いこと」の中にこそ発見はあります。
そして、面白いは必ず人間が生み出しているのです。

人間がデザイナーです、この世界の。

しかし、この世界のデザインのほとんどに対して、絶賛できるわけではありません。
いいデザインもありますけど、そうじゃないものの方が多くはないでしょうか? 
いいモノを、より良い世界の在り方を、見極める力が大事です。

「創刊からひと月。駆け抜ける編集長」 辻 仁成

(コペンハーゲンの交差点)



Design Storiesはそういう旅の道先案内人でありたいと思っています。

創刊ふた月目に向け、邁進していきますよ。
スポンサーはあなたです。あなたの応援が私たちを勇気づけてくれます。

毎日更新される記事を楽しみにしてもらえるとありがたいです。
待っています、何度もここを訪れてください。

世界の今を、熱い息吹を、感じ取っていただけたら最高です。

「創刊からひと月。駆け抜ける編集長」 辻 仁成

(モスクワ、赤の広場。左、でかくなった息子。笑。)

 

Photography by Hitonari Tsuji

posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。