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自分流塾「朝、起きてやるべき、五つのこと」 Posted on 2023/10/24 辻 仁成 作家 パリ

朝、起きてすぐに携帯をみない。(寝る一時間前から見ない)
朝、起きたら、まず、コップいっぱいの水を飲む。
朝、ヨガマットの上で身体をストレッチする。
朝、まず、今日という日に感謝し、一日をわくわくしながら迎える。
朝、自分の可能性を最大限、信じてみる。

自分流塾「朝、起きてやるべき、五つのこと」



ぼくはこうやって、今日まで、どんな朝であろうとむかえてきました。
問題を抱えて苦しんでいる時も、逆に憂鬱であれば憂鬱な日こそ、この朝の五か条を守って生きてきたのです。
人間の身体は、当然生きているので、無理やり動かすと壊れてしまいます。それと、人間の身体と心は実際は素直なので、まず、優しくはじめてあげることが大事。
そうすると、必ず、開いてくれます。
スポーツ選手が、いきなり試合をしないように、人生にも準備運動が必要なのです。

自分流塾「朝、起きてやるべき、五つのこと」



さらに言うならば、朝、起きてから30分以内の自分管理こそがその日を決定します。
ぼく自身は、朝食は基本とらない主義で、夜ごはんのあとから、次の日の昼食まではプチ断食をしていますが、これはその人によるので、推奨しません。
ただ、胃も休ませないといけません。しかし、水は必要です。
朝のコップいっぱいの水を飲む習慣は、母が昔からやっていました。
ぼくはそれを真似しているだけですが、母は寝る前に水をコップにいれ、一晩置いた水を毎朝飲んでいました。それがいいのよ、と母は言ってました。
細かいことは人それぞれで決めていくことですが、この朝の五つのやるべきことは、長く生きていく上で非常に有益です。
人間の心と身体は密接です。
朝、起きた時に、心と身体を調整してあげることで、両者が最高のバランスを獲得し、開いた状態でゆっくりと日常が稼働しはじめるからです。
寝る前と朝、寝起きの前後に携帯を通して情報を入れないのも重要です。
構え、というものが整ってから世の中と向かうべきなのです。
忙しいことに振り回されやすい人こそ、ここを遵守することが健康管理の一番大切なことかと思います。

自分流塾「朝、起きてやるべき、五つのこと」



そして、最も大事なことですが、朝、起きたら、今日という二度とないたった一度の日を、楽しもう、と思う気持ちです。
辛いことが続く時でも、朝、ちょっと前向きに心を開くことで、流れはいつか変わります。
辛いことも、一年後には過去の出来事になります。振り回されないで、乗り越えていこうと、自分に言い聞かせることだけでも、いいわけです。
また、今日も目覚めた。
新しい一日だ、さぁ、今日は何をやってみせよう、と自分をわくわくさせること、これが健康の一番の方法であることは間違いないでしょう。
ぼくは今、この文章を、初ロンドンライブの当日の朝、9時に書いています。
五か条が終わった後、最初の仕事として、取り組んでいます。
こうやって、書くことでぼくの五感は、このメッセージを自身に伝達し、身体と心全体が、了解してくれるわけです。
きっと、ベストな一日いなるでしょう。
それを自分が疑ってないのは、ここまで毎日、この朝の習慣を続けて生きてきたからです。
それは世にいう、努力とは違います。
自分を励まし、自分にわくわくし、自分を楽しく生きる、コツです。
これは本来、人間に与えられた可能性なのだと思います。
それを開くのも、閉ざすのも、自分次第なのです。
開いていくことだけを考えて、よい朝をお迎えください。

自分流塾「朝、起きてやるべき、五つのこと」



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posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。