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「何か書きたい。でも、何を書けばいいか分からないでいるあなたへ」 Posted on 2022/03/01 辻 仁成 作家 パリ

文章を書きたいけど、書き方が今ひとつわからない、という皆さんは多いかと思います。
かく言うぼくも、毎回、新作小説に向かう時、書き方が思い出せなくなることがあるのです。笑。
100冊以上書いてきたぼくでさえも、そうなるのですから、経験があまりない皆さんが、書き方が分からなくなるのはとっても普通のこと。
ぼくの場合、書き方を思い出すために、自分の過去作に目を通すことからはじめて、「へー、自分、すごいな。こんなの書くことが出来たのか、じゃあ、きっと出来るね」
と自分を奮い立たせ、その本をパソコンの横に積み上げて、書きはじめたりしています。
プロの作家でさえ、毎回、このように書くことへの虞を感じて、挑んでいるのです。
ですから、皆さんが書くことに踏み出せないにしても何も問題はありません。
むしろ、その踏み出す勇気を一緒に探しましょう。

「何か書きたい。でも、何を書けばいいか分からないでいるあなたへ」



2022年3月13日に行われる地球カレッジは本年、2回目になります、「父ちゃんの気まぐれ文章教室」・・・。
なぜ、気まぐれなのかと申しますと、たぶん、ここにご参加されたい皆さまはプロを目指すというよりも、今よりももう少しだけ文章と向き合いたい、という方々が多いのではないでしょうか。
仮にセミプロの方がいらしても、初心に戻ることは常に大事ですし、先に述べたようにぼくも毎回、自分の過去作品を読み直して奮起している次第ですから、ある程度文章を生業にされている方には現時点の自分の再確認の場でよろしいかと思いますし、経験のない方には書くことの愉しみそのものを学べる場所になればと思っています。
そこに実はあまり差はありません。

「何か書きたい。でも、何を書けばいいか分からないでいるあなたへ」



ぼくが目指すここでの授業は、文学部や小説学校などで教えるようなちゃんとした(笑)、堅苦しい理論ではなく、もっとざっくりとした、全体像からのエッセイへの向かい方を目指したいと思っています。
エッセイと書きましたが、随筆でも、雑文でも、日記でもけっこうです。
日々、思った徒然なる思念をわかりやすく、言語化する訓練だと思ってください。
その根底には、まず楽しく書くこと、そして、日本語の豊かさを獲得する方法が横たわっているはずなのです。それは同時に、文章教室でありながら、人生教室でもあります。
課題の提出などはなくても、大丈夫。覗いているだけで、「あ、それでいいんだ」と思える場面はいくらでもあるように思うのです。
ですから、ぜひ、気楽に、ご参加していただきたいです。

「何か書きたい。でも、何を書けばいいか分からないでいるあなたへ」



教科書に載っているようなエッセイの書き方はここではやりません。
じゃあ、どういうことをやるのか、といいますと、どうやって自分の中に眠る書くこと、書きたいという情熱を目覚めさせるか、などに主眼を置きます。
そして、実践として、どこから書き出すのか、書きたいという思いをどうやって一つに集約していくのか、など、をお教えしたいと思います。
なぜなら、いかなる創作活動においても、そのモチベーションが最も大事だからです。
そして、自分が書いた文章がそれを読んでくださった方の心にいつまでも豊かな感動を残し続けることの出来る方法を、一緒に考え、伝授させていただきたいと思います。
ぼくは研究者ではないので、綿密なメソッドなどはありません。
でも、大事なことはメソッドではないのです。これは、本当ですよ。

「何か書きたい。でも、何を書けばいいか分からないでいるあなたへ」



ぼくが作家になった時、とある高齢の先輩作家さんが、「辻君、文章がいまは下手でもいいよ。そんなの毎日書いていたらあっという間に上達するからね」とおっしゃっていました。下手だったということですね・・・。笑。
ただ、先生の忠告を心に刻んで、これをぼくは実践し続けたのです。
なので、まず、書くことが大事です。
書きたいというモチベーションは、なお大事。
今回の課題の提出は無理にやらなくても大丈夫ですが、こういう機会を利用して、書いて提出すること、これは間違いなく第一歩になりますよ。
ぼくは今日まで200作品を超える皆さんの応募エッセイに目を通しました。
なかなか、面白いもの、唸らせられるもの、ここをこうしたらよくなるなぁ、という作品と出会えました。
ここからある種の共有傾向を持つ、3,4作品を選び、その作品をもとに授業を進めていきたいなぁ、と思います。
ただ、全作品必ず読んでおりますので、「辻が読んでくれるなら、書いてみようかな」はとっても大事なモチベーションになるはず。
ぼくという読者をイメージして、ぜひ、書いてみてください。

「何か書きたい。でも、何を書けばいいか分からないでいるあなたへ」



3月13日、日曜日、日本時間20時スタートの地球カレッジ・文章教室は90分を予定しておりますけど、間違いなく、(前回も2時間15分程度になりました)前回同様大幅に伸びると思いますので、お時間のご準備をお願いします。
あと、朗報としましては、今回特別に、アーカイブを72時間用意させてもらいましたので、復讐もしっかりやることが可能です。
課題は5日まで募集しておりますので、「じゃあ、書いてみようかな」と思われた皆さん、ぜひ、お試しください。
今回は、まず覗いてやろうか、というはじめての皆さん、それでいいのです。
関心を持つこと、やってみようと思うこと、それは間違いなく書くことを上達させます。ぜひ、トライしてみてください。待っています。
詳しくは下記、地球カレッジのバナーをクリックくださいませ!!

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posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。