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自分流塾「どんなに今が大変でも苦しくても”それでも人生は続く”で乗り切る!」 Posted on 2024/12/06 辻 仁成 作家 パリ

生きていると、苦しいことが続くことがある。
たしかに、めげそうになることの毎日である。
フランス人は「La Vie continue(人生は続く)」と言い合ってこういう苦しい時を乗り越えて行く。
ぼくは物事が思い通りにいかない時、ベッドの中で丸まってこの言葉にすがる。

「人生は続く」という言葉はぼくらにどのような示唆を与えるのであろう。
なぜ、フランス人は「人生は続く」と自分に言い聞かせて困難を乗り越えて行くのだろう。
でも、「人生は続く」と唱えることで、なぜか、なんとかなるかもな、と諦めがつくというか、少し、落ち着くことが出来る。

自分流塾「どんなに今が大変でも苦しくても”それでも人生は続く”で乗り切る!」

※ ノルマンディの砂浜に書かれた「人生は美しい」という砂文字。



「人生は続く」という言葉は、いいことが来る、と煽ってもいないし、悪いことが繰り返されるとももちろん言ってない。
平たく言えば、長い人生を生きる自分、のことを現した的確な言葉なのだ。
今日、自分に降りかかったことは、残りの時間の中で、少しずつ、受け入れることが出来るようになり、その人生と和解できるようになる。
いいことも、そうじゃないことも、これから繰り返し起こる様々な出来事も、「人生は続く」の中にある。
全てひっくるめて「人生」と呼ぶのだ、と・・・。

それでも、人間は生きていかなければならない。
つまり、この言葉、「人生は続く」を呟いて、なんとなく心を癒すことがを出来るのであれば、「よし」としよう。
「人生は続く」まさに、その通りである。

自分流塾「どんなに今が大変でも苦しくても”それでも人生は続く”で乗り切る!」



たまには「逃げて」もいいとは思うけど、逃避し続けることは無理なので、ならば、時の流れにゆだねて、出来るだけ無理せず立ち直れ、と自分に言い聞かせるようにしている。
人生は全ての人に与えられているステージでもある。
ちょっと不平等ではあるが、それでも人生は人生で、マラソン大会の出発地点からスタートできる人間ばかりじゃないように、継続して頑張ったものだけが完走できる、それが人生のマラソンだと思えば、この通過点でいつまでもぐずぐずしてはいられない、ということに気が付く。
「人生は続く」のだ。

自分流塾「どんなに今が大変でも苦しくても”それでも人生は続く”で乗り切る!」

自分流×帝京大学



posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。