日々のことば
自分流・日々のことば「耳が痛いぞ」 Posted on 2025/06/12 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
今日、フランス人の友人から、ぼくが作った美術サイトについて、長いアドバイスのメールが届きました。
冒頭は褒めてくれていたのですが、その後、ああしたらいい、こうしたらもっとよくなる、というアドバイスの連続でした。
それを全部やり直すとなると、管理人にも説明をしないとならず、なかなか簡単ではありません。
それに完璧だと自負していたので、ちょっとがっかり、笑。
でも、友人のアドバイスはぼくを思ってのアドバイスなのでこれは耳を傾けたらもっといいwebサイトになるんだろうな、というのこともなんとなく、わかった、わけです。
はい、現在、思案中・・・。笑。
英語のことわざに、
Good advice is harsh to the ear.
というのがあります。
いいアドバイスというのはだいたい耳に痛い、という意味ですかね。
そうそう、同じようなものが、孔子にもあります。
「良薬は口に苦けれども病に利あり、忠言は耳に逆らえども行いに利あり」
ほらね、先人はいいことを言っておりますなぁ。
要は、役立つアドバイスほど、訊くのがつらい、ということです。
素直に受け入れることが出来たら、お前はもっとよくなる、ということですね。そうかー、悔しい~。
フランス人の友人からの長いメールを読んだぼくは、一瞬、ここまで頑張って作ったのに、細かいチェックするなーと思ったのですが、ちょっと待て、とむかついている自分を宥めたわけです。
これだけの長いメールをなぜ、彼が書いたのか、ということを考えてみましょう。
もし、彼にとってぼくがどうでもいい存在だったら、こんなに長いメールを書かなかったはずです。
友だちだから、ぼくの美術サイトをもっとよくさせたい、と思ったから、そして、フランス人というか、世界の人たちに届けるのに、必要なものを彼が提示してくれていたわけで、それはおせっかいではなく、愛情なのです。
この忠言を無視したら、ぼくは「井の中の蛙」で終わるかもしれない。ですよね?
そこでぼくは彼のものすごく長いメッセージの分析に入ったわけです。
多岐にわたるアドバイスでした。
本当の友人というのは耳に痛いことを言ってくれるものです。
長いメールの一行一行が友情のあかしでもあります。
なるほど、と思うと、割と素直に彼のメッセージを受け入れることが出来ました。
「忠言耳に逆らう」
ということわざには、反対のメッセージが隠されていた、というわけです。
だからこそ、良薬なのだ、ということ。
あなたを思う人はあなたが嫌なこともはっきり言います。だから、友だちなのです。
子を思う親のことばがそうですね。
ということで、ぼくは一昨日アップしたばかりのウェブサイトをもう一度、彼のアドバイスに耳を傾けながら、微調整していこうと思います。
さて、今日も精一杯生きたりましょう。
えいえいおー。
今日のひとこと。
「忠言耳に逆らう」
今日のごはん。
「たまご雑炊」
ええと、お恥ずかしい限りですが、その忠告を受けたぼくの美術サイトがこちらです。
少しずつブラッシュアップしていきますので、長い目で、お付き合いくださいね、えへへ。
下のURLをクリックください。画質的には、パソコンで入場していただくと、より美しい映像をお愉しみいただけます。
☟
https://tsuji-art.com/
そして、展覧会のお知らせ。
・辻仁成の個展開催
7月9日から、三越日本橋本店、コンテンポラリーギャラリーで、※ 初日、7月9日だけ、混雑をさけるために、入場抽選があります。それに関して、以下のURLからご確認ください。
☟
https://www.mistore.jp/store/nihombashi/shops/art/art/shopnews_list/shopnews0696.html
☆
7月23日から、岡山天満屋本店美術画廊にて。
10月13日から、パリ、マレ地区にある画廊、20THORIGNYで2週間、開催いたします。出没しますよ!
・日々のことばを、生放送ラジオで、ツジビルは毎月3回、5の付く日にオンエアー中。
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※ 今日はアトリエ(ガレージ)に作業台を作りました。彫刻とかもやろうと思っているので。天板が石、下は木材と段ボールです。笑。描いた絵を乾かしたり、スケッチ描いたり、いろいろな作業が出来るでしょう。
posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。