日々のことば
自分流・日々のことば「待つ」 Posted on 2025/07/09 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
ぼくは時々、「焦ってもしょうがない、ぼちぼち行こうよ」と自分に言い聞かせます。言い聞かせるというよりも諭す感じです。
現在、10戦9敗が続く人生にいると思い込んでいるぼくですが、このなかなか一勝できない焦りというものは、あります。
割と、いい意味で、一勝するか、一敗するか、はらはらしながら、日々見守っているようなところはあります。
人生は最終的に「勝った負けた」ではなく「納得できたかできなかった」ではないか、と思うのです。
死ぬ間際に、納得、出来た人こそが「幸せ」を手に入れることが出来る、とずっと信じ込んでいるところがあります。
なので、現在、ぼくのところには、「結果待ち」案件がいくつかあるんですが、これが日々、ダメでした、という結論ばかりで、マジで、がっかりしている、この数年ではあります。
しかし、腐ることがありません。
諦めずに、次の矢をしこんでは、撃っているからです。
常に努力をしながらも、待ち続ける方がいい、というぼくの教えです。あはは。
勝手にことわざにしてみますと、
「次の矢がダメな矢を打ち落とす」
でしょうか、笑。
今現在はあまり物事がうまくいってない、としても、それはしょうがないことだから、焦らず、気長に待てば、そのうちに、きっといい知らせがふっと舞い込んで来るものだよ、というのんきなことばがあります。
「待てば海路の日和あり」
ですね。
「回路の日和」とは、航海に適した穏やかな天候を指します。
風が吹く日って、ありますものね。そういう日はいいことが続くものです。その日を待て、焦らずに、という戒めですな。
ぼくのようなせっかちにはもってこいのことばで、苦しい時には、「待てば回路の日和あり」
と唱えております。
「果報は寝て待て」
というのも、同じような意味です。
運と言うものは人間の力ではどうにもならないものだからね、気長に運が向くのを待つしかないのさ、ということで、「待てば海路の日和あり」と通じることばとなります。
どちらも類義語ですが、「運は寝て待て」ともいいますし、ともかく一番大事なことは、寝て待つ、なんですよ。
「寝て待て!!!」
いい知らせが、明日でにも入るのじゃないか、と、待ちながらいつもドキドキして生きてきました。
挫折も(落選通知)もかなりありましたが、思えば、幸運な知らせって、忘れてるときに舞い込むものですからね。
じゃあ、この件、一度、忘れときましょうかね。
笑。
はい、今日も精一杯生きたりましょう。
えいえいおー。
今日のひとこと。
「待てば海路の日和あり」
今日のごはん。
「スパイシー・フルーツ・ライス」
いよいよ、本日、7月9日より、辻仁成の個展がスタートしますよー、やった!!!!
待った甲斐がありましたぞ。
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「Le Visiteur」展、
東京、7月9日から21日まで、三越日本橋本店、コンテンポラリーギャラリーにて。
岡山、7月23日から28日まで、岡山天満屋本店、美術画廊にて。
パリ、10月13日から26日まで、パリ、ピカソ美術館そば、GALERIE20THORIGNYにて。
問い合わせは、各画廊へお願いします。
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そして、毎月3回やっているラジオ・ツジビルはこちらから、です。どうぞ。
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posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。