日々のことば
日々のことば「選択」 Posted on 2025/07/17 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
人間にとって、大事なことは「選択」です。
ぼくらは日々、この選択をしないとならないわけです。
コンビニ弁当を選ぶ時、何かの席を選ぶ時、交差点で道を選ぶ時、人生の岐路で、さまざまな選択に迫られます。
実は、人間というものは、その人の歴史の中で繰り返されてきた「選択」によって築かれたもの。
小学校を選択し、中学を選択し、高等学校を選択し、大学校を選択、あるいは学校に行かないことを選択し、友だちを持たないことを選択し、愛を選択し、就職においても悩んで選択し、プライベートにおいても選択し続けてきた、その結果が今の自分を築き上げているわけです。
最終的に、人間はその人生を選択で作り上げてきた、と言っても過言ではありません。
今ある自分は、自分があらゆる分岐点で選んできた結果、ということになりますよね。
それは死ぬまで続くわけです。
人間だから、選択をしなければなりません。
イギリスの女性作家、ジョージ・エリオットのことばに、こういうものがあります。
「成長の最も強力な原理は人間の選択にある」
“I say that the strongest principle of growth lies in human choice.”
長編小説『ダニエル・デロンデ』(Daniel Deronda、1876年)内で書いたものです。
エリオットはこのセリフを通じて、人間が自らの意志で成長を実現する重要性について、説いている、わけです。
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私たちは、物心がついた頃からずっと「選択の自由」という,一見素晴らしそうなことば、実は、信じ難く高い壁を見上げ、生きてきました。
「選択の自由」という名の、不自由のもとで、最大限の努力を繰り返してきたのがある意味「人間」なのかもしれません。
今、ある自分は、つまり、これまでの自分の選択の結果ということです。
だから、現状に不満を言っても仕方がありません。
そこを選んだのは自分自身なのですから。
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そして、人生には必ず、二つの道があります。
幾つもの三叉路があると思えばいいです。
それを選択して、進んできたわけです、みんな。
自分が思う通りの人生を生きることが出来ている、と思える人は決断と選択をやりぬいた人、かもしれませんね。
人生というものはその瞬間の「選択」が決定づけるものでもあるわけです。
どの道に進むのか、ここは、一生懸命考えて選択されるのがいいでしょう。
後悔が残らぬように・・・。
その「選択」こそが、あなたの未来なのですから。
はい、今日を精一杯生きたりましょう。
えいえいおー。
今日のひとこと。
「選択の自由」
今日のごはん。
「冷やしたぬきうどん」
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「Le Visiteur」展、
東京、7月9日から21日まで、三越日本橋本店、コンテンポラリーギャラリーにて。
岡山、7月23日から28日まで、岡山天満屋本店、美術画廊にて。
パリ、10月13日から26日まで、パリ、ピカソ美術館そば、GALERIE20THORIGNYにて。
問い合わせは、各画廊へお願いします。
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posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。