日々のことば

日々のことば「言うべきこと」 Posted on 2025/07/29 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
腹が立つことが多い人生ですね。
ぼくは結構、よく怒る方の人間なんです。
あまり、ためないようにして生きているからでしょう、生意気なことを言われると、すぐに切れて、爆発します。
ま、逆を言えば、小さく爆発をしてガス抜きをしているせいで、大きな喧嘩にはめったになりません。
怒っておいて、怒ったことで納得し、次の瞬間には、だいたい赦してしまっています。
そういう短気だけれど、忘れやすい性格なんですね。
得なのか、どうなのか、悩ましいところですが、今のところ、この気質で乗り切ってまいりました。
しょうがない、と諦めることも、人生には大事だったりしますから。
怒ってばかりだと、そもそも身が持ちません。

でも、それでも、頭にくることがあります、で、つい、きつく言ってしまうわけです。
これが失敗のもとになることも多々あります。
取り返しがつかない事態を招くと困りますね、長引かせないことが大事です。
いいことばがあります。
「腹の立つことは明日言え」

日々のことば「言うべきこと」

辻仁成 Art Gallery



日々のことば「言うべきこと」

日々のことば「言うべきこと」

「腹の立つことは明日言え」
人間は、怒りに任せて言ったことが取り返しのつかない問題にまで発展してしまうということがあるじゃないですか、言い過ぎたな、と思って後悔をしても、もう手遅れだったりするわけです。
ぼくはそうやってけっこうな数の友人を失ってきました。
自業自得というやつですな。
なので、最近、カッとなったら、
「腹の立つことは明日言え」
と呟き、自分を戒めるようにしています。
勢いに任せて怒らず、ちょっと一日考えてみよ、ということです。
一晩立つと、冷静になることが出来ますからね。見え方も多少違ってきます。
このことわざは、ものごとはよく考えてから言いなさい、という教訓なんですね。
たしかに、それが大人というものです。
なかなか、ロックなぼくには難しいことですが、これ以上、友だちを失くさないために、時間をおいて発言するようにしたい、と心がけて、今日も頑張りたいと思います。
はい、えいえいおー。

今日のひとこと。
「腹の立つことは明日言え」

自分流×帝京大学

今日のごはん。
「明太焼き鯖」

日々のことば「言うべきこと」



日本での個展はすべて、終わりました。
個展情報です。

パリ、10月13日から26日まで、パリ、ピカソ美術館そば、GALERIE20THORIGNYにて、「辻仁成展」開催。
2週間、パリで開催、この季節のパリはアートのパリなんですよ。

パリ、2026年、1月中旬から二か月間、日動画廊パリにて、グループ展に参加します。
問い合わせは、各画廊へお願いします。

そして、毎月3回やっているラジオ・ツジビルはこちらから、です。どうぞ。

TSUJI VILLE

日々のことば「言うべきこと」

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posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。