日々のことば

日々のことば「青空」 Posted on 2025/08/01 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
今が過酷な状況にある人に、とっても役立つ、というか、救われることばがあります。
「雲の上はいつも晴れ」
そうなんです、そうなんだよ、そうか・・・。
そりゃあ、そうだよな、と思います。
ぼくはもうすぐ日本を離れパリに戻るんですが、飛行機が深い雲の中へと潜り込み、しばらくすると、それを突き抜け、青空が広がる瞬間がとっても好きなんです。
ああ、地上はあんなにどんよりしていて、雨で鬱々としていたのに、雲の上はいつも晴れ、なんだな、と窓の外に広がる、青い宇宙を眺めながら、人生も同じだね、と思うわけです。
辛いこと、苦しいことがあるけれど、そういうものの向こうには、必ず青空が待ち受けているんだ、と。
だから、もうちょっと頑張ってみようじゃないか、と思う時に、「雲の上はいつも晴れ」とぼくは自分に言い聞かせるようにして生きてきました。
成層圏は清々しいです。
えいえいおー。

辻仁成 Art Gallery

日々のことば「青空」



ところで、「若草物語」を読んだことがありますか?
これは、19世紀のアメリカの小説家、ルイザ・メイ・オルコットが書いたベストセラー小説です。
彼女も似たような考えを物語の中で書いていたんです。
こんな一節が出てきます。
There is always light behind the clouds.
直訳をしますと、
「雲の向こうにはいつも光がある」
となりますかね。
分厚い人生の試練という雲の向こうに行けば、そこは光あふれる世界が待っている、だから、がんばろう、ととることができる名文ですね。
眼を閉じて、想像をすると、苦しみが和らぐ気持ちになりませんか?
きっと、大丈夫だ、という希望が溢れてまいります。
そう思うことが、何よりも大事です。
良い未来は分厚い雲の向こうで待っているわけです。
「曇り空のどんよりとした世界であろうと、その向こう側には、必ず、光が溢れている世界があるんだ」と思えば、もう少しやれるような気もしますよね。
よーし。
だから、だから、今日も、乗り越えてください。
お互い、精一杯生きたりましょう。
えいえいおー。

今日のひとこと。
「雲の上はいつも晴れ」

自分流×帝京大学

日々のことば「青空」

今日のごはん。
「小茄子ときゅうりの漬物」

日々のことば「青空」


パリ、10月13日から26日まで、パリ、ピカソ美術館そば、GALERIE20THORIGNYにて「辻仁成展」開催します。
この秋の作品は、これまでにない、新しい世界となります。その第一歩という感じです。

2026年、1月中旬から3月中旬まで、日動画廊パリにて、グループ展に参加します。秋頃に、詳細が決まります。
また、お知らせします。

そして、毎月3回やっている人生を語り倒すラジオ・ツジビルはこちらから、です。どうぞ。

TSUJI VILLE



posted by 辻 仁成

辻 仁成

▷記事一覧

Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。