自分流・日々のことば
日々のことば「歳月」 Posted on 2025/09/21 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
ぼくの個人的な哲学といいますか、生き方のひとつに、「時は作るもの」というものがあります。
これの対義語は「時間がない」ですかね。
いつも、人は言います。
「ああ、今は時間がない、無理」
「そんな時間ないよ」
「時間がないから、出来ません」
「やってみたいけれど、時間がないな」
「忙しくて、残念だけれど時間ない」
まさに、こんな感じです。
忙しい世の中ですから、その通りなんですが、これはおかしい、とある時、ぼくは気が付いたのです。
じゃあ、いつまでも、何もできないことになるじゃないか。
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何で時間がないのか、というと、必要ないことをやるから、貴重な時間が奪われているだけじゃないか、と。
そこで、「時間は作るもの」という考え方を持つようになり、何か始めたくなったら、時間を作っておりました。
逆に、興味が薄いもの、将来において必要が無いものは、容赦なく、やめてまいりました。
時間を作るからには、何かを整理しないとならないからです。
その結果、時間は出来、やりたいことに集中することが出来た、という次第です。
この姿勢はずっとかわっておりません。
もっとも、1日は24時間ですから、何かをはじめれば、何か犠牲は出てしまいますが、でも、やるべきことが出来て、最終的には、無理くり時間を使ってよかった、となるわけです。
「歳月人を待たず」
ということばがあります。
これは、中国の詩人、陶淵明の詩から由来していると言われています。
年月というものは、人間の都合などに構うことなく、過ぎていくもの、「光陰矢のごとし」、だから、今、この瞬間を大切にしなさい、という戒めですね。
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むかし、とあるコメディアンの「今でしょ」ということばがブレークしたことがありましたが、まさに、あれですな。
人生というのは、限られているからこそ、待ったなしなんだ、と思います。
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ぼうっとしていると、どんどん月日が流れてしまい、結局、何もできないまま、人生が終わってしまうこともありえるわけです。
でも、逆に、今だ、と気が付くことが出来れば、それが70歳であろうと、20代でも、始めることが出来るし、はじめれば何がしかの結果が伴ってくる、ということであります。
焦る必要などありませんが、ちょっと時間を作りましょう。
時間が無い、忙しい、と言い続けると結局何もできませんから。
忙しい、というのは、「心を亡くす」ということです。
心を取り戻そうじゃないですか?
はい、今日も精一杯生きたりましょう。
えいえいおー。
今日のひとこと。
「歳月人を待たず」
今日のごはん。
「蒸し魚定食」
先日、日本に帰った時に、ステンレス製品の蒸し器を買ったんです。それまでは、古い竹の蒸し器でやっていましたが、日進月歩、すごいですね、いい道具に出会えました。本当に無駄なくすっと、蒸し魚が出来ます。蒸しあがった魚に、熱々に熱したごま油を上からじゅっと回し掛けするんですが、最高に美味いです。ごま油の風味がうつった、蒸し魚に、醤油をちょっと垂らして、ごっつあんでした。
辻仁成、個展情報。
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パリ、10月13日から26日まで、パリ、ピカソ美術館そば、GALERIE20THORIGNYにて「辻仁成展」2週間、開催。
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1月中旬から3月中旬まで、パリの日動画廊において、グループ展に参加し、6点ほどを出展させてもらいます。
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posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。