自分流・日々のことば
日々のことば「豆腐」 Posted on 2025/12/14 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
世渡りにおいて、これは特に大事だな、と思うことがあります。
社会の中で、不真面目にみられるとそれはやっぱり損なのです。
ですが、近づけないくらい真面目過ぎるのも、同じくらいに損ですよね。
「四角四面」といいますね、非常にまじめで堅苦しいこと、です。
これでは誰も話が出来ないし、仕事にしても、人生にしても、うまくいくわけがありません。
とくに今のような時代に・・・。
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ただ、四角四面、けっして悪いわけじゃないんです。イメージというか、堅苦しい真面目だけが取り柄の人のところになかなか人が集まりにくいということでしょうな。
でも、ご安心ください。いい言葉があるんです。


「浮世渡らば豆腐で渡れ」
この言葉は、どういうことを言っているのか、と言いますと、浮世とはこの世のことですね、この世を渡る、つまり、美味く生きぬくためには、豆腐のようになって、渡りなさい、と言ってるわけです。
豆腐って、四角四面の代表みたいな形をしておりますわな。
でも、ご存じのように中はめっちゃ柔らかい。
これをもじったわけです。
見た目は真面目で固そうに見える、けれど、中が、つまり頭は柔らかい。
モテそうですね。
浮世を上手にわたるためには、真面目で柔軟でありなさい、という教えになります。
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ぼくは会社務めはしたことがありませんが、組織とか職場でのコミュニケーションやチームワークにおいて、一見、なんか真面目過ぎる雰囲気を持っているのに、いざ話し合いをすると、柔軟な考え方を持っていて、そのギャップが人を惹きつけ、物事を動かす原動力になり、最終的には、成功をもたらす、という世渡りの知恵を教えた言葉なんです。
たまに、そういう部長さんとか、リーダーいますよね。堅物っぽいのに、笑顔が素敵で、話を聞いてくれて、物分かりも早く、柔軟に対応できる人・・・。
ああ、ぼくにはぜんぜんないなぁ。
ぼくはどちかというと、軟豆腐・・・。
はい、じゃあ、今日も精一杯生きたりましょう。
えいえいおー。
個展情報です。
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2026年の1月、パリの日動画廊で開催されるグループ展に参加します。
1月15日から3月7日まで。結局、11作品の展示となりました。フランス人3人とのグループ展なのに、11作品も、・・・。笑。
場所は、パリ8区ですね。エリゼ宮殿の傍です。
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それから、8月前半に一週間程度、東京で個展を開催いたいます。
今回のタイトルは「鏡花水月」です。(予定)
タイトルは突然かわることがございますので、ご注意ください。
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そして、11月初旬から3週間程度、リヨン市で個展を開催いたします。詳細はどちらも、決まり次第、お知らせいたしますね。
お愉しみに!
posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。



