自分流・日々のことば

日々のことば、「成る」 Posted on 2026/02/28 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
今日は「成る」について語らせてください。
この「成る」という漢字、ぼくの名前にもあります。仁成の成は「成る」から来ています。
仁は「人への思いやり」を成すということで親がつけた名前だということでした。
小学生の頃、道徳の時間に、「自分の名前の由来を調べなさい」と宿題がありまして、やんちゃだった辻少年は翌日「親が適当につけた」と提出をしたところ、当時の担任の先生に耳をひっぱられて、家まで連れていかれ、その道中、
「親がこんないい名前をそんないい加減につけるわけがなかろうが」
と・・・
その夜は、父さんと母さんにこっぴどく叱られました。
「いいか、仁成、この名前は、父さんが一生懸命考えたんだ。思いやりのある人間になってもらいたいからだ」
ごめんなさい、父さん、母さん・・・。
それから、この「成る」をみると、担任の先生に耳を掴まれて家まで戻ったあの時を思い出すんです。
「為せば成る」
の「成る」ですよね。
そこで、調べてみました「成」という漢字について・・・。

日々のことば、「成る」



もともと、この「成」という字は、戉(まさかり、武器ですね)と丁(打ち込む、安定させる)という二つの漢字が合体してできた言葉なのだそうです。なので、成る、という言葉の裏側には強い意思が隠されています。
釘を打ち込むことで家がしっかり出来上がるように、まとめる意思も込められています。とくに成という字の右側のノとレの部分は、釘を表しているんです。
そして、成という字には実を結ぶという意味があります。結実ということです。今、一生懸命頑張っているこの努力は「成る」ために必要なことを意味しています。
成功は結果ですが、成長はプロセスです。どちらにも「成」が入っていますが、大事なことは小さなことの積み重ねが、「成る」へとつながるというプロセスなんだと思います。
ちなみに、「仁」は人と二が合体したことばですから、思いやり、となります。思いやりを成す人になれ、ということで、親が考えた名前なんですよね、ほんとうに、ごめんなさい。名前に負けて生きてしまい・・・。
肝に銘じて、生きて行かないとなりません。

「為せば成る」
江戸時代の名君、上杉鷹山の言葉「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」から来ています。「やろう」と決めて行動すれば、どんなことでも必ず実現できる、という意味ですよね。
「精神一到何事か成らざらん」
心を集中して全力でそれに挑めば、成し遂げられないことはない、ということです。
どちらにしても、背中をおされる強い言葉だと思います。
「成りましょう、何者かに」
えいえいおー。

今日のひとこと
「為せば成る」

今日のごはん
「ロックラック」

日々のことば、「成る」



はい、校長に成った父ちゃんですが、4月2日の開校めがけて、スタッフさんらと一丸になって、突き進んでいます。
ぼくは校長ですが、クラスをまとめる仕事を担当する予定です。対面の講義スクーリングはぼくが夏と秋にやらせてもらいます。アートが何かわからないけれど、興味があるという皆さん、一度、HPをご覧になってください。TPAというアートカレッジです。

帝京×パリ・オンラインアートカレッジ



posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。