自分流・日々のことば

日々のことば、「友だちと仲間の違い」 Posted on 2026/03/24 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
ことわざに「昨日の敵は今日の友」というのがありますよね。
あるいは「昨日の友は今日の敵」というのもありますが・・・
長い人生を生きてきた小生ですが、このことばは実に真理だな、と思う時が、あります。
小生はどっちも経験してまいりました。
自分から裏切ったことはありませんが、裏切りにあったことはよくあり、まさに、「昨日の友は今日の仇」であったりしましたね。マジで、ありました。
そして、これまでずいぶんといじわるをされてきた人間が長い歳月の中で、味方になってくれたことも、特に、文学の世界では、笑、ございました。
ま、どっちでも構わない、と小生は思っております。
今日のような戦争の時代を生きておりますと、戦争をしている国々って、もともとは同族だったり、兄弟のような存在だったりしたわけです。そして、一度、憎しみあいますと、これがね、100年経ってもその恨みは消えません。

小生には次のような哲学があります。前にも一度、ここで記したことがありますが、「敵を味方にしてこその勝利」というもので、あきらかに自分を貶めようとしている人間たちに、あいつすごいな、と思わせることが出来れば、もっと自分は大きくなれるし、強くなることが出来る、という考え方です。
なかなか難しいですが、小生はいつも問題が起こった時、最初はそう自分に言い聞かせるようにしております。しかし、どうしてもあかん時は、テーブルをひっくり返してよい、というルールもございまして、実際、何度かテーブルをひっくり返させて頂きました。笑。
さて、「昨日の友は今日の敵」のこの「友だち」って、どういうものなんだと思いますか? 「仲間」と「友だち」って、どう違うと思います?

日々のことば、「友だちと仲間の違い」



友だちと仲間の違いについて、大学生くらいの頃によく考えておりました。仲間と友だちって、何が違うのだろうって・・・。それは、この年齢になるまで、ずっと大きな疑問の一つでもあったのです。
そして、小生は一つの真理に辿り着きます。
友だちとは、「損得のない関係で、いわゆる利害関係の一切ない相手」じゃないか、と思うんですね。で、仲間って、「同じ目的に向かっている人たち」じゃないか、と区別するようになります。もちろん、仲間で友だちという人もいるんですけれど、・・・。
個人的に、友だちだな、と思う人間とのあいだで利害関係を持ち込む約束や仕事やお金の貸し借りはしないことにしています。仲間は、同じ夢やゴールを目指している人が多いので、たとえばバンド活動であれ会社経営であれ、金銭が絡むことは仲間の場合、ある程度仕方ないな、と思っています。だから、思えば、仲間の方が小生には多い気がします。純粋に友だちっていうのは、その境界線問題で、なかなか決めかねるところがあります。この人とは損得無しに付き合えるな、と思える人って、よくよく思うと超少ないですね。

それで、何がいいたいかと申しますと、本当の友だちは裏切らないです。「昨日の友は今日の敵」のこの場合の友は、仕事が絡んだ仲間のことなんじゃないか、と思う今日この頃ですな。ただね、人の心というのは変わりすいものですから、ここに、恋愛関係が含まれると、友が仇になりうる場合もままあるのかもしれません。だから、そうなるのは寂しいですから、最終的に「無償の愛」が一番だと思って生きております。人を好きになる時、心がけているのは、損得の無い愛、だったりします。
小生の場合であれば、息子に向けられた愛はまちがいなく、無償の愛、と言えるでしょう」

日々のことば、「友だちと仲間の違い」



日々のことば、「友だちと仲間の違い」

お知らせです。
天下無双のポルケッターメン。

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発売中。新刊エッセイ集「キッチンとマルシェのあいだ」光文社。
文庫「父ちゃんの料理教室」大和書房。
8月5日から三越日本橋本店特選画廊A全面で「辻仁成展、鏡花水月」。
9月4日、小説「泡」、集英社。
11月、リヨンで個展。
他、いろいろ。

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Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。