自分流・日々のことば

日々のことば「大丈夫」 Posted on 2025/08/10 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
ぼくが頻繁につかうことばに「大丈夫」があります。
ツイートなんかでも、「大丈夫です」、で締めくくることが多いですが、この「大丈夫」由来は諸説あるんですが、そんなのは個人的にはどうでもよくて、ぼくは自分自身を安心させるためにもっぱら使っています。
「大丈夫」
と心の中で呟くと、不思議なことに、逼迫した状況であろうと「大丈夫」になることがあるんですよね、不思議なことに。
いや、「大丈夫」にならなくても、なんとかなりそうな気がしてくるから、不思議です。
この「大丈夫」ということばには、人間における根本的な願いが込められている気がしてなりません。
そもそもこのことば、大丈夫じゃない時に、よく使っています。
不安がまだぬぐえないような時に、「大丈夫」と唱えると、否定的だった未来なのに、わずかに、かすかに、可能性が見えてくることがあるんですね。
「大丈夫、なんとかなる」
「大丈夫、なんとかする」
つまり、「案ずるより産むが易し」ということですよ。

日々のことば「大丈夫」



「始める前はいろいろ不安だらけだったことが、実際やってみたら、意外と簡単に出来てしまった」ということです。
ま、そんなに人生かんたんに出来てしまうことなんかないんですけれど、しかし、やってみなければわからない、ということだから、とりあえずスタートラインに立ち、
「大丈夫」
とぼくは一切の根拠なしに、口ずさんでいます。
人間は、みんな母親のおなかから出てきて、人生という海原を泳ぎだし、数限りない苦難と向き合って生きています。
それでも、なんだかんだいって、これまでも、なんとかなってきたじゃないですか?
赤ん坊のころを思い出して下さい。
何一つわからない赤ん坊なのに、泣きながら生まれてきて、この試練だらけの大海原に放り投げられたんです、あなたもぼくも。
そして、果敢に生き始めました。
今日まで、なんとか生きてくることが出来たじゃないですか。
これはある種の奇跡です。
人間の数だけ、奇跡があるというわけです。
ぼくはそれこそが「大丈夫」なんだと思っています。
このことばを辿ると、天につながる気がします。
今日まで生きてくることが出来たこのことこそ、「大丈夫」なんですよね。
大丈夫の根底には、人間の可能性が込められているんだと思うわけです。
安心しなさい、きっと大丈夫だよ。
はい、大丈夫です。今日も精一杯生きたりましょう。

今日のひとこと。
「案ずるより産むが易し」

自分流×帝京大学

日々のことば「大丈夫」



今日のごはん。
「くすくす」

日々のことば「大丈夫」

今日は、友だちの家の庭の草むしりなどを手伝いました。
半日、お天道様の真下で、草をむしっていたので、ちょっと腰が痛いです。日焼けもしました。生まれて初めて「芝刈り機」の運転もやらせてもらいました。
疲れましたが、楽しかったです。
くすくす、頂きました。美味しかった。
☆。
ということで、個展情報です!!!

パリ、10月13日から26日まで、パリ、ピカソ美術館そば、GALERIE20THORIGNYにて「辻仁成展」開催します。

2026年、1月中旬から3月中旬まで、「日動画廊パリ」にて、グループ展に参加します。秋頃に、詳細が決まります。
また、お知らせします。

辻仁成の美術サイトに、この先の展示会の作品が掲載されています。随時、更新されていきますので、要チェックで。

辻仁成 Art Gallery

そして、毎月3回やっている人生を語り倒すラジオ・ツジビルはこちらから、です。どうぞ。

TSUJI VILLE



posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。