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自分流塾「どうしたら、人生をより楽しく、面白くさせられるのか」 Posted on 2022/09/09 辻 仁成 作家 パリ

「生ききってこその一生」である。
もっと正確に言うならば、自分の人生を余すところなく使い切る、ということだ。
やる気が萎えたり、多少鬱っぽくなったり、人生を放棄したくなることもあるけれど、そういう時にこそ、人生を好転させるチャンスがある、といつも自分に言い聞かせている。
「ダメだなぁ、何をやっても」という時、むしろぼくは、「よし、これはチャンスだ。人生を大逆転してみせるぞ」と逆転の発想で、乗り切ってきた。
死にたくなることもあったし、四面楚歌に追い込まれた時も、絶望したこともあったけれど、「ぼく人生を投げ出すのが得意じゃない」と自分にいいきかせて、思い込むことで、結局、そういう苦しい時期を乗り越え続けて来た気がする。
思い込み、も大事だ。
ほんとうに、そういう思い込み、大事なのである。
人生に強い人間なんて、そんなにいない。ぼくも実に弱い人間である。

自分流塾「どうしたら、人生をより楽しく、面白くさせられるのか」



人生は短いのだから、落ち込む暇なんかない、というのか、ぐずぐずしているのがもったいない、と考える癖を身に着けて生きてきた。
一生は交換できないので、与えられた一生を最大限有効に使い切って死にたい、と常に考えている。
借りたレンタカーを路上に放置している暇はない、乗り倒すことに命を懸ける。
がむしゃらに生ききれば、人生に後悔は出ない、と思い込んでいる。
落ち込むのもレンタルされた時間に入っているわけだから、そんなことで動けなくなるより、さっさとレンタカーに乗ってもっと楽しい世界へ旅立つ方がいい、と素直に考える人間なのだった。

自分流塾「どうしたら、人生をより楽しく、面白くさせられるのか」



ぼくは自分の人生の計画をたてるのが大好きだ。
やる気が出ない時は、一日仕事を休み「計画日」とする。
これは、本当に元気になる。
未来しかないのだから、当然であろう。
朝から一人で作戦会議をやる!
午前中は自分のこれまでの反省に立って、どうやったら面白い自分が生きられるかを討論する。
昼食後、まず、文房具屋に行き、ノートを買うことからはじめる。
真新しいノートがやる気を連れてくる。
真っ白なのだ。ページが!
そこに未来を描けばよい。
なじみのカフェに行き、そのノートに、新しい挑戦のスケジュールをどんどん書き込んでいけばいいのである。

そのノートは綺麗に使おうなどと考えてはいけない。
次々ページに思いついた作戦を書いていく。
200円くらいのノートを自分の目標で埋め尽くすのだ。
200円どころかもっと広大な価値が生まれる。
10月、11月、12月のページを作り、そこではこういうことをやってみたい、と書き込んでいく。
人間は作戦会議が好きなのだ。
わくわくするじゃないか。
そうやって、自分の未来を想像していくと、必然的に、やる気が生まれてくる。よく、雑誌などを開くと、「やる気を出す方法」などがかかれている。

1、 朝ごはんを規則正しく食べること
2、 よく眠ること
3、 適度な運動をすること

こんなの当たり前すぎて、これでやる気が出るなら誰も困らない、と思ったら笑えた。
やる気って、自分を焚きつけることなのだ。
大事なことは、「まず、何かはじめてみる」ということだったりする。
「エンジンをかけろ」とぼくは自分に生かせている。

自分流塾「どうしたら、人生をより楽しく、面白くさせられるのか」



さあ、ノートを買いに行こう。
そして、一ページ目を開き、そこに、自分の未来を好き勝手に描いてみよう。
そういうことが、自分を楽しくさせる。」
可能性しかみない。
ぼくは苦しい時には、可能性だけを見るようにしている。
人間は、あたら得られた一生を、自由に生きる権利があるのだから。

自分流塾「どうしたら、人生をより楽しく、面白くさせられるのか」



日々、わくわくしてしょうがない。
この「わくわく」を見つけることも「一生を生ききる」うえで大事なことなのだ。
ぼくは幼い頃から「来世」に囚われず生きてきた。
先を考えて今を生きるのは今を侮辱することであり、今を放棄することだ。
この人生をしゃぶりつくしたら、「はい、終わり」で納得してこの世を去りたい。
納得できるまで生ききるのだ、と自分に言い聞かせると、元気が出る。
じっさい、ここまで書いて、ぼくはかなり元気になった。よし!
自分をその気にさせる天才になればいいのだ。
そうすれば人生は逆転するし、楽しくなる。
「くよくよして生きるの得意じゃないんです」でよろしい。

つまんない世界を楽しく変えることが人間の生きる目的なのである。

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辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。