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「自分流塾という神出鬼没なオンライン教室はじまる」 Posted on 2020/05/12 辻 仁成 作家 パリ

新型コロナウイルスが世界中で猛威をふりっているこの春から、ぼくは帝京大学の冲永総合研究所に席を置くことになった。学部をこえて学生たちと向き合いながら、この大学の精神的ポリシーである「自分流」を生徒たちと考えていく。春から集中講義や社会人向けの私塾「自分流塾」もスタートさせる予定だったが、このようなことになり、日本に戻ることもままならなくなり、その上に、緊急事態宣言が発令され、大学も自粛期間に入った。そこでぼくは一計を案じたのだ。こういう時代だからこそ、オンラインを通じて学生たちと繋がりたい。方法としては自宅で短い動画を作り、少しYouTubeっぽい要素も取り入れ、ぼくが様々な主題に合わせてパリの自宅から語っていくというもの。とりあえず実験的に二本ばかり作って大学に送ったところ、千人くらいいる先生たちに回覧し、授業の中で副教材的に使えないか、という素晴らしい逆提案を頂いた。その流れの一つとして、帝京大学の図書館の方から、学生たちに向けた「本を読む」動画がほしい、と依頼されて何本か撮影したものの一本がこれになる。

この動画は短いものだけど、長いものもある。「新型コロナの時代を生き抜く方法」や「問いかけて答える問答」あるいは「表現について」など。今後は先生方と話し合い、授業の導入部やきっかけになるような動画をどんどん作成していきたい。まだ見ぬ学生たちだが、ぼくが大学の教壇に立つ時にはすでに顔見知りの関係からスタートできるかもしれない。動画を交えながら進めるぼくの生徒たちとの向き合い方を「自分流塾」と名付けた。非リアルなオンラインの授業から、リアルな面談授業まで幅広く、形式にとらわれないニューノーマルな学びの現場を模索していきたい。 

自分流×帝京大学



posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。