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自分流・日々のことば「ボンジュール」 Posted on 2025/05/24 辻 仁成 作家 パリ
おつかれさまです。
人生というものはいつだって、過去に振り回され、未来にたぶらかされておりますね。
でも、実は、常に、今日、そして、今、がその人生のすべてなんです。
なのに、どうしても過去に引きずられ、未来に怯えてしまうのだから、困ったものです。
どう生きても、しかし、実は一生は「今日」の連続なんです。
大金持ちでも不幸な人はいるし、貧しくても幸福な人がいるように・・・。
それは、きっと、今日をどれだけ楽しく生きることが出来るか、にかかっているのじゃないか、・・・。
ということで、もっとも大事なのは、毎朝、ということになります。
朝をもっと大事にしてください。
夜じゃなく、朝です。
朝、目が覚めた時に、その日、一日というものはすでに決まっているのじゃないか、と思うことありませんか?
いい一日のスタートは、いい朝に、かかっているわけです。
「素晴らしい朝だ。清々しい」
と笑顔で一日をスタートできるなら、人生は間違いなく、豊かになるでしょう。
目が覚めたら、その新しい朝を愛でることから、はじめましょう。
え? いや、マジですよ。
「ああ、また朝が来た。奇跡だ。新しい人生がはじまる。すごいじゃないか、よーし、いい一日にしてみせよう」
と、気合いを込めて起き上がってみてください。いい一日はすぐそこまで、すでにおびき寄せられています。
ぼくの場合ですが、朝、起きたら、まず、笑顔を作るように心がけています。
それから、ベッドの横にあるマットで、ローラー運動をやります。なんでもいいんですが、身体を動かすわけです。
筋が伸びるし、血が流れますし、筋肉が緩みます。
動きだす感じが伝わってきませんか?
そしたら、ちょっと落ち着くために、まず、コーヒーを淹れて飲んだりするわけです。
犬(三四郎)を飼っているので、次に、さんちゃんを愛で、一緒に散歩に出たりします。
田舎に住んでいる時は田んぼ道を歩き、パリにいる時は近所の公園までいって、ベンチなんかに座って、空を見上げたりします。
晴れていら、めっちゃ、気分があがりますね。
曇っていても、ま、悪くないね、と肩をすくめる。
雨だったら? らんらんらん、と水たまりを踏んづけて遊んでもいいでしょう? そりゃあ、そんな日もありますよ。
でも、捉え方次第です。大丈夫。
どんなに忙しくても、心に余裕がないといけないので、苦しい時であろうと、問題を抱えている時であろうと、朝の時間は、大切にしているわけです。
そのまま、行きつけのカフェに立ち寄り、もういっぱい、コーヒーを飲むこともありますね。
「やあ、ボンジュール」
「ムッシュ、ボンジュール、いい日ですね」
フランス人は、みんな、ボンジュール、と必ず言い合います。あれは、自分が幸せになるための呪文のようなもんですな。
ギャルソンが笑顔を戻してくれると、もう、まちがいありません。それが幸せの合図です。
「メルシー」
気持ちがいいじゃないですか?
こうやって、一日をスタートできることを、人生の喜びと思える人は、きっと、いい人生を、歩くことが出来る人かもしれません。
ぼくは、そのあと、アトリエにこもり、創作に向かいます。
昨日の続きの絵や、小説が、待っているというわけです。
午前中が、勝負の時になるんですが、朝のいいスタートのおかげで、筆がすすみますね~。
さ、さわやかな、ノルマンディの青い空を、どうぞ!
みなさん、よい一日を。
今日のひとこと。
「長所を伸ばせば、短所は消える」
個展関連、お知らせ。
今年の個展のタイトルは「LE VISITEUR」(訪問者)さて、何が訪問? ふふふ。
7月9日から、日本橋三越本店で、2週間の、個展。
7月23日から、岡山天満屋で、個展。6日間の個展。
10月13日から、パリ、ギャラリー20THPRIGNYで、2週間の個展。
posted by 辻 仁成
辻 仁成
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作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。