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自分流塾「長く続かなくてもいい、まず、何かはじめてみる」 Posted on 2024/02/11 辻 仁成 作家 パリ

多くの人が、自分をちょっと変えたい、現状打破してみたい、と思う。
しかし、なかなか、自分というものは変わらない。
どうやって変えればいいのか、わからないのである。
実は、なんでもいいので、ちょっと何か、一つ、新しい挑戦をしてみるだけでも、人生というのは変わることがある。
たとえば、走ってみる、とか、お酒をやめてみる、とか、そのようなたわいもないことでもいいのだ。
変わるための動機のようなものが、大きな流れを生み出す、きっかけを作る。
ぼくは今年になってから、再び、走り始めている。
これは、たぶん、今年の9月のライブが終わるまでは続くはずで、そこで、疲れたら、やめてもいいが、それまではやろうと思って続けていると、意外と、続くものなのである。
その先のことは考えない。
一生やろうと思うと、煮詰まるので、期限付きでまずスタートするのがいい。
それでも、スタートはスタートなので、何かが変化する。
日々に張りが出る。体調もよくなる。食事もおいしい。よく眠ることができるようになった。
小さな変化が大きな変化を連れてくるものなのだ。

自分流塾「長く続かなくてもいい、まず、何かはじめてみる」



何か新しいことをやる、これだけで、人生に希望や喜びや生き甲斐の光がふりそそぐ、というものだ。
「手始めに」という言葉がある。
まず、手始めに、何かはじめてみる。
ぼくはデザインストーリーズというウェブサイトを手始めにやりはじめ、当初は他のライターの方が主に記事を書いていたが、ある日、なんか始めなきゃ、と新たに思いなおし、手始めに、自分も日記を書きだしたら、これが予想外に楽しくて、もちろん、最初は少ない読者さんであったが、続けているうちに、次第に読者も増えて、さらに面白くなって、人生が変わり、おかげで小説が書けなくなったが、これもバカでかい意味で表現の一つじゃん、とか思い出すとその発想に感動をして、気が付けば、5000本近、日記を、今日までに、一度も休むことなくしたためている、という次第だから、まさに、「手始め」もばかにならない。
継続は力、となる。でも、やはり、最初が肝心、なのだ。

何か、思いついたことを、やることで、人生は大なり小なり変化する、という仕組み。
何もしなければ、何も変化はないが、ただ時間は残酷にも過ぎていき、あとで、後悔だけが残ってしまうのも、いやだ。
やると決めたら、やるのがいい。やめたくなったら、いつでもやめればいい。
そして、再びやる気になるのを待ち、元気が出てきたら、またやればいいだけのこと。
それだけのことなのだ。
長く続けようと頑張らないところから、始めるのが気楽でいいだろう。

自分流塾「長く続かなくてもいい、まず、何かはじめてみる」



しかし、何かを始める、ということが人生を面白く変化させるための第一撃になる、というのは間違いない。
「思いつき」、という言葉がある。
これは「思いが付く」という意味なのである。
どこからかやってきた思いがぼくに付いた瞬間に、何かが生まれる。
走るぞ、と決めたら、その瞬間こそ、思いが、付いた、瞬間なのである。
ダイエットするぞ、と決めたら、やってみる価値がある。
禁酒、と決めたら、その日から呑まない。ちなみに、今ぼくは次のライブに向けて、禁酒期間の最中にいる。
アルコールに逃げていたが、今は、呑みたいとも思わなくなった。それより、これを続けたい、と思う気持ちが大きい。
いつでも、また、呑むことができるじゃん、と思っているからかもしれない。
ライブが終われば、また、飲めばいいのである。
長く続かなくてもいいので、思いついたら、やってみよう、の精神が大事だし、うまくいけば、面白くなって、5000本近い日記が書けたりもする。
考え悩む前に、まず、行動だ。
ただ、それだけで人生が動くのだから、やらない手はない。
「手始めに」何かやってみませんか?

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自分流塾「長く続かなくてもいい、まず、何かはじめてみる」

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。