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自分流とは人間の中にある可能性に光をあてること。 Posted on 2020/06/24 辻 仁成 作家 パリ

自分流とは人間の中にある可能性に光をあてること。

帝京大学は自分で考え行動し、その結果には責任を持つ「自分流」の生き方の習得をその教育理念として、個性豊かな人材を輩出してきた。2019年に日本を沸かせたラグビーワールドカップ2019日本大会。日本代表が初のベスト8に輝き、ラグビーをあまり知らなかった人たちの中にも、しっかりとラグビーの面白さを伝え、日本に世界にラグビーの素晴らしさを再認識させた。そこで活躍した選手の中に帝京大学ラグビー部から巣立っていったOBが7人もいたことを知っているだろうか。自分の生まれ持った個性を最大限に発揮し、チームの中にあっても自分の役割をしっかり見極め行動する。彼らはまさに自分流の精神を持ってチームの中で輝いていた。
あまりにも有名になった「ワンチーム」という言葉。この全日本のコンセプトは帝京大学が掲げる教育理念、その精神にも通じる部分があるように思う。個を育てながら社会の環境がどうであろうと、その中で自分を輝かせしっかりと対応できる人材を育成する、まさにワンチームの精神ではないだろうか。
今回はそんなスポーツの分野に焦点をあてて、冲永理事長にお話を伺った。

 



 
自分流とは人間の中にある可能性に光をあてること
 
 最近ぼくを興奮させたものが、ラクビーワールドカップ2019日本大会なんですが(笑)。今、W杯のおかげで日本のラグビーがとても盛り上がっていますが、今回活躍された日本代表(2019年)メンバー中の7人が、帝京大学ラグビー部出身のOBだと伺って、びっくりしました。

冲永佳史氏(以下、「冲永」敬称略) はい、そうなんです。7名のOBが含まれ活躍してくれました。

 彼らも実学と開放性を学び、最後自分で責任を取っているっていうのが、その活躍ぶりから見えてきますよね。堀江翔太選手も帝京大学ですか? 彼はいい選手ですよね。

冲永 はい。彼はいい選手ですね。帝京大学のラグビー部出身で4年生のときに主将を務めていました。日本ラグビー界を牽引し続けている選手の一人だと思いますし、彼らの活躍を見ているとそこに帝京の理念がしっかりと生かされていて本当に嬉しく思いました。
※「ラグビーワールドカップ2019日本大会」の日本代表メンバーに選出された帝京大学ラグビー部OBは、堀江翔太 選手、ツイ ヘンドリック 選手、中村亮土 選手、流大 選手、坂手淳史 選手、松田力也 選手、姫野和樹 選手の7人で、全大学の中で最多となる。
 

自分流とは人間の中にある可能性に光をあてること。

 W杯での日本の活躍はずっとテレビで見ていましたから、ぼくも息子もすっかりラグビーファンです(笑)。

冲永 本当にうちのラグビー部がある種、近代大学ラグビーへと変化する過程で、部の中での重要な役回りを担った人物の一人が堀江選手であることは間違いないですよね。うちで選手として活躍して、ニュージランドのプロに留学もしていますし、そういう他流試合を積極的にやった最初の卒業生なんですよ。

 堀江選手の活躍もありW杯が盛り上がりましたし、ラグビーというのはあんなに面白いスポーツなんだということを、日本中の人が試合を見て感じただろうし、見せてもらった。その中心的人物として堀江選手がいたことはとっても素晴らしいことです。彼は試合中、常に非常にクリエイティブな動きを見せてくれました。ああいう国際的なスポーツマンがどんどん出現し、世界で活躍してほしいです。

冲永 はい、私もそう思いますね。

 堀江さんのような選手が海外での試合や活動でつかんだ国際的視野を日本に持ち込んで、日本を変えていくんでしょうね。

冲永 そうですね。究極のところ、どんな状況になっても自分や周りを冷静に捉えられるか、ということが重要で、それができている選手は強いですよね、一線を退いたとしても生き方がかっこいいですよね。

 堀江さんが第一線を退いた後、まだまだずっと先のことですが、時が経ち現役を退かれた後、ラグビーから離れた後、どのようなビジネスや生き方を見つけていくのか、とっても気になります。一つの道を極めた人というのは、次のステージでも自分流を貫き、面白い活動を続ける方が多いですね。自分に自信が出来上がるのでしょうか。

冲永 そうですね。
 

自分流とは人間の中にある可能性に光をあてること。

 ところで、帝京大学からたくさん世界で活躍する選手が出ていますが、サッカーやラグビーなど、帝京はスポーツに特に力を入れている、その理由はなぜなのでしょう?

冲永 本学は、もちろんスポーツが盛んですが、開学当初から運動活動を教育の一環として重視してきました。これも本学の「自分流」の人材を育てるという理念の一つと捉えています。現在、ラグビー、駅伝などで活躍する選手が目立っていますが、これも突然強くなったのではなくて、コツコツと地道に人材を育ててきた成果がここにきて花開いた結果だと思っています。運動部の活動は運動のみで完結するのではなく、アスリートとしての医療面、栄養面、メディカル面など含め、さまざまなサポートも行っているんですよ。

 素晴らしいですね。「自分流」という理念が学生達の中でしっかりと育っている、その答えだと思います。ラグビーで世界を、日本をあんなに興奮させることの中に大きく「自分流」と言う理念が息づいていますし、自分流とは人間の中にある可能性に光をあてることだと僕は思っています。人間は全ての人に自分流があると思うのです、大事なことは自分流をしっかりと発見し、自分の良いところを伸ばせるということだと思うのです。自分の暗部にさえ、勇気を持って光りを当てられた時に、自分は強く輝くのでしょう。

冲永 ありがとうございます。
 

自分流とは人間の中にある可能性に光をあてること。

 

自分流×帝京大学

posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家。パリ在住。1989年に「ピアニシモ」ですばる文学賞を受賞、1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野にも幅広く活動。Design Stories主宰。