自分流・日々のことば

日々のことば、「フランス人が立ち直る時に使う魔法の言葉」 Posted on 2026/09/23 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
在仏20年の父ちゃんですが、この国で何度も困難にぶつかっては乗り越えてきたのであります。
父ちゃんはご承知の通り、こういうふてぶてしい人間なので、負けたことはありません。
めったに、勝てませんが、笑。
ま、勝ったかどうかはわからないけれど、少なくとも、負けたとは思ってないわけでし。
自分で負けたと思わない限り、人間に、負けはないのであります。これが大事・・・。

ところで、ぼくは日本語を生業にしているので苦しい時には日本語のことわざなどにすがるが、人生の三分の一も生きたこのフランスだからこそ、役立つフランスの言葉もありました。
言葉は人を殺すほどの怖さがあるが、同時に、人を救う力もあります。
今日は、フランス人が困難を乗り切る時に使う超フランスらしい言葉を紹介しますね。

日々のことば、「フランス人が立ち直る時に使う魔法の言葉」



1. Oh mon dieu.(神様、なんてこった…)
いわゆる英語の、オーマイガー!である。英語人ほどフランス人が口にするのを聞いたことはないけど、むしろ、静かに現実を見つめる時につかうような気がします。
2. Et alors?(だから、なに?)
ミッテラン大統領がマスコミに愛人の存在を指摘された時につかった捨て台詞だけど、これはフランス人、よくつかいますね。で? なんなの? お前に関係ないだろ、みたいな言葉。
3. Ce n’est pas grave. (大したことじゃないよ)
graveは「重大、深刻」という意味の単語で、深刻じゃない、と否定することで相手を気遣いつつ、自分の意思を押し出す、フランス人が実際的によくつかう言葉でもあります。
4. Laissez moi tranquille.(ちょっと一人にしといてくれないか)
周りの人間がおせっかいしてきた時に、必ず、言う。ほっといてくれよ、というニュアンス。ほっとけ、ということ。お前に何がわかる、あっちいけ、という感じかな。あはは。
5. Tant pis!(しゃーない!)
しょうがない、という言葉だけど、潔く諦めるのはとってもフランス人的だったりする。ぐずぐず引きずってもしょうがないよね、という時にさらっと流す言葉ですかね。
6. La nuit porte conseil.(夜が答えを導いてくれるさ)
明日があるさ、ということですね。とりあえず今日はあまり悩まないで寝ましょう。明日がきっと解決してくれるはずだから。よくわかるね。世界は一緒だと思いますよ。

日々のことば、「フランス人が立ち直る時に使う魔法の言葉」



7. Ce sont des choses qui arrivent.(誰にでも起こり得ることだよ)
自分をあまり責めないで、こういうことは誰にでも起こり得る、と他人を励ます時によくつかう言葉です。ま、しょうがない、ここでぐずぐずしないで先に行った方がいいじゃん、いいじゃん、ということ。
8. La vie continue.(人生は続くんだ)
だから、それでも人生は続くんだよ、という、究極の言葉で、ぼくも何度も言われた。シングルファザーになった時に友人ご夫妻に最初に言われたのがこの言葉でもありました。
9. C’est la vie.(それが人生だからさ、…)
とってもフランス人的哲学が凝縮された言葉ですね。友だちが自殺をしたときに、集まったみんながこう言いました。それは彼が選んだ人生だから、とね。
10.  ça dépend des gens(つまり、人それぞれだからね)
結局、人によるよ、ということ。gensは人、これがシチュエーションの時もあります。時と場合による、という言い方。ほぼすべてのフランス人が日常的に使っています。人それぞれだから、気にするな、ということでもあります。気にする必要はない。みんな人それぞれで誰も一緒じゃないんだ、というフランス人の自由思想が詰まった言葉の礫ですね。

結論から言うと、フランス人はあまり自分や他人を励ますことをしません。
みんなそれぞれで違うんだから、一緒くたに出来ないし、答えはだからこそ無限にある、という考え方。
セ・ラヴィ、がそれを代表しています。
それが人生というものだ、と認めて、諦めつつも、苦難に対してぐずぐずこだわらない。
さっと切り替えて乗り切るのがフランス風かもしれませんね。
瞬間的には爆発するけど引きずらない、ということです。
ということで、ぼくは結構、この国で鍛えられてきたと思うんです。フランス人は強く生きるコツを心得ています。個人主義が徹底している国だから・・・かな~。
苦しまないで、もっと自分らしくいられる場所へ行こうぜ、ということかもしれませんね。
ぼくは、言います。
小さな声で、えいえいおー。

日々のことば、「フランス人が立ち直る時に使う魔法の言葉」



父ちゃんの独り言、&、近況のようなもの。
10月は、パリの「モダンアートフェア」に12作品を提出します。22日から、コンコルド広場にて。
11月5日から、リオンで、個展です。
新刊は小説「泡」新譜は「詠み人知らず」です。

日々のことば、「フランス人が立ち直る時に使う魔法の言葉」

日々のことば、「フランス人が立ち直る時に使う魔法の言葉」



日々のことば、「フランス人が立ち直る時に使う魔法の言葉」

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posted by 辻 仁成

辻 仁成

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Hitonari Tsuji
作家、画家、旅人。パリ在住。パリで毎年個展開催中。1997年には「海峡の光」で芥川賞を受賞。1999年に「白仏」でフランスの代表的な文学賞「フェミナ賞・外国小説賞」を日本人として唯一受賞。愛犬の名前は、三四郎。