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パリ・アート情報「パリの『グランパレ』が完全復活!夏の無料エキスポも開催中」 Posted on 2025/06/21 Design Stories  

 
パリでもっとも美しい展示空間といえば、「グランパレ(Grand Palais)」の名前がまず挙がるだろう。2024年のパリ五輪ではフェンシングとテコンドーの競技会場にもなったので、その華やかな姿を覚えている人も多いかもしれない。
2025年6月、そんなグランパレが、長い改修工事を終えリニューアルオープンを果たした。これまで外から眺めるしかなかった巨大なガラス屋根を、今は内側から、澄んだ空とともに見上げることができるのだ。
 

パリ・アート情報「パリの『グランパレ』が完全復活!夏の無料エキスポも開催中」

※グランパレの内部



 
1900年、パリ万国博覧会のために建てられたグランパレ。ここが歴史的建造物に指定されていることは疑いようのない事実だが、展示のたびに内部が劇的に変化するのもまた興味深い。
たとえば、シャネルのランウェイショー。現代アートの大規模なインスタレーションに、「アート・バーゼル」といった国際的なアートフェア。まるでフランス中の芸術がここに集結しているようで、「次はどんなエクスポジションが待っているのだろう?」といつもワクワクさせられる。
 

パリ・アート情報「パリの『グランパレ』が完全復活!夏の無料エキスポも開催中」

※その美しい建築にもご注目

パリ・アート情報「パリの『グランパレ』が完全復活!夏の無料エキスポも開催中」

 
今回、生まれ変わったグランパレで待っていたのは、なんと“入場無料”のインスタレーションだった。
ジャンルは、現代アート。ブラジルを代表するアーティストのエルネスト・ネトが、新作のインスタレーション『Nosso Barco Tambor Terra』をここで発表している。
 



パリ・アート情報「パリの『グランパレ』が完全復活!夏の無料エキスポも開催中」

※展示はグランパレの北側身廊に

 
タイトルの『Nosso Barco Tambor Terra』は、ポルトガル語で「我らの舟、太鼓、大地」を意味する。自然とともに暮らす、アマゾン先住民族の精神をモチーフにした作品だ。「観る」だけでなく、「触る」「嗅ぐ」ことまでできる、体験型のインスタレーションになっている。
 

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天井から吊るされた巨大な繊維素材に、床一面に敷かれた木製のチップ。列で待っている際にはスタッフから「靴を脱ぐように」と説明を受けるのだが、それと同時に、「ぜひ触って、香りも嗅いでみてください」とおすすめされる。
というのも、このインスタレーションでは、アマゾンの大地に根ざした「生きるための知恵」と「地球との対話」がテーマになっている。作品の中に“入る”ことで、頭ではなく身体でそれらのメッセージを受け取ってみよう、というわけだ。
 

パリ・アート情報「パリの『グランパレ』が完全復活!夏の無料エキスポも開催中」

※世界5大陸の楽器が設置されている(太鼓も叩いてOK)

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※かぎ針編みを通して見るガラス屋根も圧巻



 
なお『Nosso Barco Tambor Terra』は、アーティストの個人制作ではないという。ブラジルの先住民族、フニオ・クイナワ族との共同作業によって生み出されている。アマゾン発というあまり知ることのできない地域芸術も含めて、今夏のグランパレで見逃せない一作になりそうだ。
 

パリ・アート情報「パリの『グランパレ』が完全復活!夏の無料エキスポも開催中」

 
さらに今回は、2階部分にも無料で訪れることができる。グランパレならではの美しい階段を上がると、4人のブラジル人アーティストによる巨大な絵画が設置されていた。2階から見下ろす、華麗なネフ(グランパレの身廊)も必見だ。
 

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※2階の絵画展



 
2025年夏のグランパレでは、この他にもいくつかのエクスポジション(そちらは有料)が開催されている。リニューアルオープン記念ということで今夏は興味深いインスタレーションが揃っているが、これからもきっと個性的な展示が続くのだろう。企画によっては無料で公開されることもあるので、ぜひホームページをチェックしてみてほしい。(大)
 

パリ・アート情報「パリの『グランパレ』が完全復活!夏の無料エキスポも開催中」

 
【グランパレ(Grand Palais)】

エルネスト・ネト『Nosso Barco Tambor Terra』
入場無料、予約不要
2025年6月6日~7月25日

住所:Avenue Winston‑Churchill, 75008 Paris
開館時間:火〜日曜 9:30〜20:00(展示によって異なる)
休館日:月曜日
公式ホームページ:https://www.grandpalais.fr
 

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