ノルマンディ、ツジ村便り

辻村相談窓口、「出会い」 Posted on 2026/05/25 辻 仁成 作家 パリ

おつかれさまです。
相変わらず、パリで仕事をしております。営業、あはは。
さて、辻村相談窓口の開店です。
デザインストーリーズのインスタにご質問が届いておりました。

匿名希望Bさん
「辻さん 私、かなりかなり慎重に生きて参りました。素晴らしい方々に沢山出会える星の下なのかと思うくらい、出会ったにもかかわらず・・・。しかし、いつも、ゆっくり構えすぎて、鈍臭い生き方になり、そのチャンスを逃している気がします。辻さん、出会いを見極める秘訣を、教えて下さい」

辻村相談窓口、「出会い」



おこたえしまーす。

「まず、最初に思ったのは、「ご縁」と「しがらみ」について、です。この二つをきちんと自分の中で理解して、区別できると、いい出会いをより良い出会いに変えることが出来るようになるかな、と思いますし、その出会いが実はあなたの人生を不自由にさせているのかもしれない、と判断させ、切り分ける力も生まれるのじゃないか、と思うのです。ちょっと難しいので、より具体的な話をしましょうね。
 まず、「ご縁」というのは何か。ご縁って、みなさん、普段よく使いますよね。ああ、これはご縁だな、とか、これも縁の結果ですね、とか・・・。人とのご縁もあれば、仕事のご縁、運が上がるのにもご縁が関係しているのがわかってきます。「ご縁」というのは、日々の人生の積み重ねの中で生じる様々な出来事があらゆる方面から手繰り寄せ合って偶然もあるでしょうが一つの結果を導くある種の流れのことを指すように思います。たくさんの要因があたかも偶然を装うようにして合流し一つの思いもよらない状態を生み出すまでの運動を「ご縁」と捉えてみることも出来ます。人間関係だけじゃなく、心の在り方も意味するでしょうし、仕事とか生きる条件などが、そのご縁により大きな力を加える時に、「ご縁」というものが瞬発活発するのではないでしょうか。いろいろな条件がそろって、一つの流れへと合流した時に、或いは「つながり」というものが意識される時に、この「ご縁」がマックスになる。なので、「ご縁」というものは人間関係だけじゃなく、タイミングとか場所とか、人知を超えた、偶然を超えた、つながりのスパークを表すことだと思います。

つまり、あなたが生きてきた歴史、場所、人生の積み重ね、様々な出会いが、複合的にこの「ご縁」へと集結されている、ということです。だからこそ、この「ご縁」というものは、いい意味で使われることになります。悪いご縁とはあまり言いませんよね。でも、意識していなくとも、自分が生きてきた集積が、この良縁の支えになっている、と思うといいですよね。悪いご縁というのがあるとすれば、それは「しがらみ」になるのかもしれません。

「しがらみ」というのは、昔、激しい川の流れを緩やかにさせるために、人々が、川の中に杭をうち、そこに竹などを並べて、強い水流を押さえようと工夫したんですが、その柵のことを「しがらみ」と呼んだことにはじまり、今では、それが人間関係の悪いつながりを示す言葉となりました。つまり、流れを意識と置き換え、自分の意思をせき止めてしまうものを、「しがらみ」と呼んだんです。古いしがらみから解放されたい、と思う、それです。人間関係のしがらみというのは、そのせいで、自由になることが出来ない関係をさします。しかし、これが、最初から「しがらみ」だったわけじゃないところが問題で、いつしか、しがらみのようになっていくんです。「しがらみ」自体が悪いわけでもないんですが、からめとられてしまい、そこから逃げ出せなくなってしまうような人間関係だったりするものが多いですからね、じゃあ、どうするのか、というと、縁なのか、しがらみなのか、見極めることが出来れば、いいということになります。

気を付けたいことは、ご縁は、運命ではない、ということです。ご縁には、大きな振れ幅があり、良縁もあれば、普通の縁もあるし、継続できない縁もあるでしょう。運命とか奇跡というものとは区別されるべきだと思います。ご縁は、よい方向へと導く流れだと思っておくといいです。それを最終的に、落ち着く場所にしていくのは、そこからの話で、せっかくのご縁も、「しがらみ」になることもある、ので、ここです、見極めが大事なところは・・・。植物を育てるような根気と優しさで、そのご縁に小さな花が咲くように、人生の流れを操ることが出来るように、心のバランスを整えていくのがいいかもしれません。数多くの出会いがあり、思ったようにならないことは、普通にだれにでも起こることで、縁を切る、と考えるより、縁が育たなかった、と思うのがいいように思います。人生は長いですから、縁も薄れたり、縁が増えることもあるでしょうが、一喜一憂せず、心の空の高いところを見つめて、生きていくことで、しがらみから解放され、良縁を増やすことに繋がっていくように思います」



今日のひとりごと、&、近況のようなもの。
パリに来ると、とたんに眠れなくなります。これね、東京でも一緒で、都会って、熟睡出来ない何か地場がありますよね。自然の中に自分の身を置くようになって、やっと気づいたことが、それでした。何がなんでも長く生きたいとは思いませんが、ほどよくよく生きたいので、自然が今は、自分に必要なのがわかります。
西荻窪のワインバー、エルボンビーノのマスター、堀さんから、写真が届きました。ぼくを応援してくださっている方々が、堀さんに、日本酒「雨降」を届けたんですって。びっくり。堀さんはぼくにワインを教えてくれた先輩です。ここで、マルサネの赤を飲んだのが、ワイン好きになるきっかけでしたよ。

堀さんは、ぼくの「ご縁」の「つながり」です。もう、30年くらい、会ってないのに・・・。あはは。

辻村相談窓口、「出会い」


8月5日から、いよいよ、日本で個展がスタートします。三越日本橋本店、特選画廊で、11日まで。63点。
10月22日から、コンコルド広場のアートフェアに参加。15点くらい。
11月5日からリヨンで個展です。45点程度、詳しくはまた、のちほど。

電子書籍版「サヨナライツカ」はこちら。


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